子供から大人まで大好き!フランスの国民食ステーキ・フリット
4月は花冷えの雪の一日から始まりました。数日前まで20度を超える陽気で、白妙桜を見ようと植物園に行ったらもう既に盛りを過ぎて葉桜になっていたほど暖かかったのに…。エイプリルフールは、フランスではポワッソン・ダヴリル(直訳すると、四月の魚)。朝の天気予報のお兄さんも「ポワッソン・ダヴリルの雪です」と言ってました。
夕方映画を観にモンパルナスへ行き、たまたま前を通りかかったLe Relais de l'Entrecôte(ル・ルレ・ド・ラントルコット)。いつも長蛇の列ができているのに、ちょうど二人用のテーブルだけが空いていたらしく店の給仕係の女性が「2名様いませんか?」と叫んでいたので、思わず手を挙げました。早く暖かい所に入りたかったのでツイてる!
15、16年ぶりの、懐かしい Le Relais de l'Entrecôte(ル・ルレ・ド・ラントルコット)。アントルコットは肉のリブロースのことで、名前の通りリブロースステーキを出す、肩肘の張らない老舗のビストロです。学生の頃、ひとり暮らしで簡単なものばかり食べていたから、ときどきここでお肉を食べるのが楽しみだったなぁ。ビストロの給仕係は大抵が男性ですが、ここでは白い襟のついた黒のワンピースに、真っ白なエプロンを着けたクラシックなコスチュームを着た女性達が働いています。
当時行っていたポルト・マイヨのLe Relais de Venise(ル・ルレ・ド・ヴニーズ)店には、ニコリにもせずにテキパキとお客をあしらう、銀髪を夜会巻きに結ったカクシャクとしたオーナーマダムがいたけれど、今もご存命だろうか。
テーブルに案内されて、白いエプロン姿の給仕係の女性に訊かれるのは、飲み物と肉の焼き加減だけ。料理はワンコースのみ。胡桃が乗ったサラダ、そしてリブロースのステーキとフリットで27,50ユーロ。
ワンコースなので、サーヴィスが早い。あっという間にサラダを持ってきてくれました。
サラダが食べ終わった頃合いを見て、給仕係のお姉さんがステーキとフリットがそれぞれ乗ったステンレスのプレートを運んで来ました。
キャンドルが点いたが、台の上にプレートを置いて、お肉を切り分けてフリットを脇に盛って、お肉の上からソースをたっぷり掛けます。
柔らかい赤身のお肉に、ニンニクの効いた緑色がかったドロッとした濃厚なソース。そして、カリカリに揚げた細めのポテト。
お皿が空になると、再びお姉さんが登場。残り半分のお肉とポテトは冷めないようにキャンドルで保温してあり、それを再びよそってくれるのです。食事の間はナイフとフォークより口を動かして喋っている方が多いフランス人でも、これなら常に熱々の料理が食べることができるというわけです。1分前に「濃い味のソースを沢山かけて、お肉の品質をごまかしているのかもしれない」と言ったくせに、お代わり自由だと勘違いして喜ぶパートナー(笑)
ワンコース料理でも、デザートは種類が豊富。私はバニラアイスを挟んだ小さなシューに温かいチョコレートソースをかけたプロフィトール・オ・ショコラを、彼はババ・オ・ラムを頼みました。定番のビストロデザートで、安定の美味しさ。それにしても、相変わらず外国人には読み難い手書きメニューです…。
赤ワイン1本とデザートとエスプレッソを追加して、ふたりで110ユーロ。外食が高いパリではリーゾナブルな値段ですね。
ステーキ・フリットは子供から大人まで大好きな、どのブラッスリーやビストロでも必ずメニューに載っているフランスの国民食。杖をついて背中が曲ったおじいちゃん、おばあちゃんでも血の滴るようなステーキを食べている姿にフランスを感じます。店内は赤ちゃん連れの家族からお年寄りまで、皆んな嬉しそうにステーキ・フリットを食べて、平和で温かい空気が溢れていました。
https://www.relaisentrecote.fr/?page_id=205&lang=fr_FR
ポルト・マイヨのLe Relais de Veniseは1号店。Le Relais de l'Entrecôteは息子へ暖簾分けした店で、メニューは同じです。
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