CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

サン・セバスティアンのバル巡りとゲタリアの魚の炭火焼

遅い復活祭のバカンスを取って、スペインのサン・セバスティアンへ行ってきました。モンパルナス駅から約5時間でフランスとスペインの国境の町のアンダイエの駅に到着。そのままサン・セバスチャンに行く場合は連結しているスペインの鉄道またはバスで行けますが、今回はアンダイエと海を挟んだスペイン側のオンダリビアに一泊してからサン・セバスチャンへ。

5年ぶりに訪れたサン・セバスティアンは、青空が広がっていました。ビーチは夏を待たずに水着姿で日光浴をする人達で賑わっていて、水温が15〜16度にもかかわらず泳いでいる人の姿もちらほら。足を水に浸けただけでも寒がりの私は飛び上がったけれど、ヨーロッパでは水温が低くても平気で水に入っている人が多い。体温が高いから平気なのかもしれません。

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サン・セバスティアンの楽しみといえばバル巡り!山も海もあるバスク地方は食の宝庫なのです。フランス料理は大好きだけど、バスク地方に限っていえばスペイン側の方が美味しいと思う。代々バスクの家系でサン・ジャン・ド・リュズに家を持つフランス人の知人も、マルシェに行くときやレストランやバルへ行くとなるとやはり国境を越えてスペイン側へ行くと言うほど、素材が良いのでスペインのシンプルな料理方法が合うし、何と言ってもタパスが楽しめる。おまけに物価もフランスより安い。

タパスは言い換えれば、フランスのアペリティフ、またはアペリティフよりも豪華な食事代わりにもなるアペロ・ディナトワールのようなものなので、アペリティフの時間が人生の大きな楽しみである私にとっては天国のような場所なのだ。しかも現地に住む従姉妹が「このバルでは〇〇を食べて、次は何処其処のバルで〇〇を食べて…、このレストランでは〇〇がおすすめだよ」と、美味しいものだけをピックアップして連れて行ってくれるし、バルのカウンターに置かれているタパス以外の食べ物も注文してくれるので心強い。

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スペインはフランスよりも食事の時間が遅く、ランチは午後2〜4時、夕飯は9〜11時。だから午後1時とか8時とか食事時の少し前にバルが開き、バルで一杯飲んでタパスを摘んで(タパスは食べるではなく、摘むと言うらしい。)小腹を満たす。従姉妹は朝8時に出勤して昼休みを取らずに15時に終業という日もあり、仕事が終わってからバルに寄って何品か摘んでランチ代わりにすることも多いという。いいな。羨ましいなぁ。

フランスの店で出されるアペリティフのおつまみといえば、チップスやナッツ、せいぜいがオリーブ程度。いつもワンパターンでつまらないなぁと思っていて、家でのアペリティフも乾き物はなるべく食べないようにしているので、バルの種類豊富なタパスはものすごく魅力的で、何を食べても唸る美味しさなので昼も夜も大いに食べまくって飲みまくっていた。楽しいったらない♪

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イベリコ豚の生ハム、注文してから焼いてくれるジャガイモの入ったトロトロのオムレツ。

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チャコリと呼ばれる白ワインとオリーブ・青唐辛子・アンチョビを串に刺したヒルダ。

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ここならでは食べ物には、ココチャと呼ばれるメルルーサやメーグルと呼ばれる魚の頬っぺたや、ウナギの稚魚、緑のキャビアと呼ばれる手摘みの小ちゃなえんどう豆や大きな丸みを帯びたセップ茸などがある。これらは高級品なので、バルではなくレストランで食べることができる。隣同士の国なのにフランスにない食べ物があったり、逆にフランスにある食べ物がなかったりして面白い。

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緑のキャビアと呼ばれる小さなえんどう豆は、涙の形をしていてプチプチとした食感。

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ウナギの稚魚。瓶詰めの稚魚をパンに乗せたのをバルで出していました。1月が旬でその時期は高級レストランでしか食べられない。

IMG_3521.jpgメルルーサの頬っぺた。大きなお皿に20個位出て来ました。ゼラチン質で柔らかく魚の目玉に似ている。

滞在中、サン・セバスティアンから30キロ離れたゲタリアにも足を伸ばしました。デザイナーのクリストバル・バレンシアガが生まれた小さな静かな港町で、チャコリと呼ばれる白ワインや、魚の炭火焼が名物。どのレストランにも外に魚を焼くコンロがあり、食事時はあちこちからもくもくと白い煙があがって、いい匂いが通りに充満している。

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バレンシアガ美術館を訪れた後に、ゲタリアに住む従姉妹の同僚が教えてくれた地元の人が食べに行くという店へ。焼きあがったヒラメにオリーブオイルはかけられてテーブルに運ばれて来ました。ふんわり火が通っていてすごく美味しい。前菜に頼んだタコのサラダや魚介類のスープも、ボリュームたっぷりで濃厚。あんまり美味しいので、ヒラメは口と頭しか残ってないほど全部きれいに平らげたら店の人に「ムイビエン!」(トレビアン)」と褒められました。

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ゲタリアと海岸線歩道で結ばれているサラウツに海水浴に来たことがありますが、ゲタリアとサラウツの海岸線からは、日によってイルカの軍団が集まってくることがあり、真っ赤な夕日に染まるイルカの軍団は息を呑む光景だとか。

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3月のスキーバカンスをキャンセルしたので久しぶりのバカンスでしたが、コロナで長く会えなかった従姉妹に再会でき、美味しいものを食べてたっぷりいい時間を過ごせました。それに今のような不安的な世の中では、海を眺めていると心が落ち着きます。のんびりとしていて自然が多いゲタリアやサラウツで、いつかひと夏を過ごしてみたいな。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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