CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

ローランギャロス、ボックス席の空席

とうとう全仏オープンの観戦へ行って来ました。

ある日、幸運が降って湧いたように男子シングルの準決勝に行けるチャンスが訪れたのが2020年。パートナーが仕事絡みで協賛スポンサーから招待状をもらうとポロっと言ったを聞き逃さず、すかさず頼み込んで同伴者ということで招待客の中に入れてもらった。ところがコロナで人数制限がかかり部外者=私は招待されないことになってしまい行けなかった…。

昨年の2021年こそはっと意気込んでいたら、提案していただいた日程がどれもパートナーの都合が合わず当然私も行けず…。

とういうわけで三度目の正直でようやく念願のローランギャロスへ!しかもランチの後はLogesと呼ばれるボックス席での観戦だという。ローランギャロスにはレストランやラウンジが利用できるチケットがあるのは知っていたけれど、非常に高額で自分とは無縁のものだと思っていた。う、う、う、嬉しい。

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招待状によると正午からカクテル、続いてランチ、2時半からはフィリップ・シャトリエで観戦の予定。2時間半ものカクテルとランチ・・?!

「ドレスコートってあるの?皆んなどんな服装で来るの?」

「スマートカジュアルでいいんじゃない?僕は一応ジャケットで行くけど、家から歩いて行くからスニーカー履いて行きなよ」

「スマートカジュアルって何?」

「ジーンズとポロシャツを着ていけばいいんだよ」

何度も行っている本人がそう言うならとその通りの服装で行ったら、スポンサー企業のゾーンに入った途端に先ほど道ですれ違った観客達とは明らかに違うお洒落な人達がカクテルを片手にソファーでくつろいでいた。女性はワンピースにサンダルというふうなきれいめな組み合わせが多く、高級ブランドにハイヒールの女性も目に付く。そして皆んな手には小さなハンドバック。ここはセレブの集まり?!私のようにジーンズにポロシャツ、スニーカー姿で、帽子や上着をパンパンに詰め込んだ大きなバックを肩から掛けている人はいない。今更着替えに帰るわけにもいかないし、そのままで通すしかない。せめて履き替えの靴を持って来ればよかったと後悔したけれど既に遅し。

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案内されたスポンサーのフロアにはバーと8人掛けの丸テーブル席が5〜6個設置されており、皆んなが揃うまでカクテルタイムやシャンパンを飲みならが待つ。ローランギャロスに因んだオリジナルカクテル4種類もあり、バーテンダーがシェイカーを振っていた。メートル・ドテルが皆の間をプチフールが乗った銀のお盆を持って回っていて、ひとつ食べてみたらすごく美味しい。よくあるオーソドックスなカナッペではなく、スズキのカルパッチョの柚子マリネの大根巻きとかプチポワのチーズムース乗せとかクオリティーが高い。本心はカクテルもシャンパンも飲んで全種類のプチフールを食べたいところだけれど、同伴者として出来るだけ足手まといにならないようにしたい。ノンアルコールカクテルにして、パートナーが知り合いと挨拶したり名刺交換をしたりするのに付いて回って頑張りました。

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皆が揃ったところで着席。同じテーブルのメンバーは某高級宝飾会社の方とそのご婦人、某高級イタリアブランドのマネージャーをしているという全身そのブランドを纏ったモデルか女優のような美しいイタリア人女性と彼氏、私とパートナー、そしてこのスポンサー会社の社長とご婦人。緊張する!そして話が早すぎてフランス語が全然わからないッ!社長が気を遣って、パリの有名日本人シェフの話を振ってくれるものの、そのシェフの店に行ったことがな〜い。背中から冷たい汗が流れました。

さて、フルコースの食事はカクテルと同様に非常に美味しく、ワインもいいものが出されました。食後、シェフとパティシエが挨拶するためにテーブルに来ましたが、二人とも世界大会の優勝者だそう。だからこんなに美味しかったわけだ。食後のエスプレッソ、焼き菓子、コニャックと続き、試合はもう既に始まっているのに雑談を止める気配がない。テレビで見てると有名選手の対戦でもボックス席がガラガラなことが多いのは、こういうことだったのかと謎が解けました。VIPやスポンサー関係者は優雅に食事をしながらラウンジやレストランの画面で試合を見ているのだ。それに、スポンサーフロアからは他の2つのコートが見渡せるようになっていて、ダブルスの試合ならコートに行かなくても見れる。

某イタリアブランドの美人はテニスに興味がないので、少し観戦したら帰るわよと彼氏を促していた。せっかくローランギャロスに来たからには生で見たらいいのに勿体無い。

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試合はローランギャロス出場が最後となるジル・シモン(フランス)とマリン・チリッチ(クロアチア)の対戦で、試合開始後30分が過ぎてようやく皆んなが腰を上げた。コートに行く前に冷たいミネラルウォーターが入った魔法瓶とパナマ帽が一人一人に配られ、まさに至れり尽くせりのボックス席なのでした。

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それにしても、初めてのボックス席は最高でした!選手の独り言まで聞こえる近さで、迫力がダイレクトに伝わって来る。シモンに熱い声援が送られるなか、チリッチが3セットを獲りシモンは敗退してしまったけれど、ふたりの強靭な精神力と集中力はすごく、彼らが懸命に戦う姿を興奮しながら夢中で目が追いました。試合後のふたりのインタヴューも人柄が表れていたし、スポーツは素晴らしい。

こんな良い想いをしたらもう一般席では満足できなくなってしまいそうだけれど、人生で一度きりだとしても貴重な体験ができました。明日は決勝!

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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