CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

40℃の猛暑のなか、ニューカレドニアからのお客さん

猛暑に見舞われた金曜日の夜、パートナーが出張から戻ってきたけれど声が全く出なくなっていた。目も真っ赤に充血している。5日間で3カ国回り、睡眠時間も毎日3時間のハードスケジュールだったそうで、ホテルや飛行機の冷房と疲れで喉がおかしくなったらしい。

「えー!?コロナに感染した人も目が真っ赤に充血してたって聞いたよ」

「テストはネガティブだったし、医者に診てもらったけど寝不足と疲労だから数日休めば声が出るようになるって言ってた」

「ふーん。本当なの?」

それなのに、出張中にパリ滞在中の友人夫婦から会いたいと連絡があり、明日の夕食に招待したと言う。

はぁ?!土曜日は40℃の予報なのに、家で食事会をするなんて絶対に嫌だ〜。数年前、猛暑の日に彼の友人達が大勢やって来て、大量の唐揚げを作って熱中症で倒れた悪夢が蘇る。でも炎天下でレストランに行くのも嫌だ〜。私もその日の夕方に35℃の気温の中でクーラーのないバスに乗ってどっと疲れたし、彼も声が出ないし喋れない。悪いけど今回はキャンセルしてほしいと言ったら、3年前にリタイアしてニースからニューカレドニアの半島に土地を買って引っ越した夫婦で、飛行機で30時間かかるので次はいつ会えるか分からないし、出張でニューカレドニアに行ったときに彼らの家に招待されたので断るのは失礼だという。それならと、気温が下がる日曜日のランチに変更してもらいました。

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私は暑いのがすごく苦手なので、夏に数日間とはいえ冷房のないパリの猛暑は体に堪える。熱中症になったのを機に家庭用クーラーを買ったけれど、パリの古いアパルトマンは室外機の取り付けが禁止されているので、スーツケースくらいの大きさの床置きの移動型クーラーしか選択肢がない。室外機がないので窓を開けて排気ダクトを外に出さなくてはならないため、窓の隙間から熱い外気が入って来るし音も煩い。

結局は早朝に窓を開け放って冷たい空気を家の中に入れたら、暑くなる前に窓と雨戸を閉めてそれ以上室内の温度を上げないようにするという原始的な方法で乗り切るしかない。

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土曜日の朝6時に窓を開け放ってから、朝8時に魚を買いにイエナのマルシェに行ったら、既に魚の数が少なくなっていて、朝ごはん用に買いたかったブリオッシュも売り切れていた。暑くなる前に買い物を済ませようと、大勢のお客が7時半に来たとパン屋のマダムから聞いた。料理係のパートナーが土日も午前中は仕事だったので簡単にクスクスでも買おうと言われたけれど、遠いところから来ている歳上の方に失礼じゃない?それならば私がお寿司を作ろうと思い、スズキ一匹、アジ二匹、マグロのトロそれにサーモンを買った。トロといってもマグロの種類が違うので、日本のように口に入れた瞬間にとろけるような脂がのったトロではないけれど、薄く切ったりタルタル状にすればまあまあ美味しい。

そして夜、むわ〜とする熱気の中を歩いて仕事から帰宅して玄関を開けた途端にもっとむわっとする熱気が。一体どうしたの?!とびっくりしたら、パートナーが西陽が差し込む窓を全開にして、お豆をコトコト煮ていた。

「な、な、な、何やってんのよ!!!!(怒)」

「晩御飯にグリンピースと豚肉の煮込みを作ってるんだけど?」とかすれた声が。

「サラダとかガスパチョとか冷たいものを食べるから火を使わないでって何度も言ったのに、頭おかしいんじゃないの?(怒)」

室内はほぼ40℃か、もっとあるかも。前日の暑さから体調が良くなかったこともあり怒りが爆発。仕事の後、昼食も摂らないで同僚と午後ずっと飲んでいたらしい。酔っぱらって話が通じず声が出ない人とは喧嘩もできず、ひとりでぷりぷり怒ってますます気分が悪くなり頭痛までしてきた。

さらに信じられないことに、その夜爆音をたてるクーラーと扇風機をつけて眠れないままじっと横たわっていたら朝3時にまさかの停電。建物全体の電気系統の故障で3時から7時まで電気が通らなくなったことを翌朝知ったけれど、よりによってこんな日に停電するなんて…。結局ほぼ一睡もしないで朝を迎えて、せっかく買った魚もすぐにクーラーボックスへ入れたけれどもしも友人夫婦がお腹を壊したらいけないので、モロッコ料理の店へクスクスを買いに行きました…。

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ついでにアイスクリーム屋さんに電話して頼んだフランボワーズとグロゼイユのパヴァロヴァ。4〜6人サイズの大きなのを頼んだのに、家に帰って箱を開けたら一人用が4個入っていました。皆んな、暑さで頭がボーッとしているのかも。

幸いなことに友人夫婦はクスクスに大喜び。わざわざ魚屋で魚を買う習慣がないほど家の前の海でいくらでも魚が獲れるそうで、逆にアラブ系住民が少ないニューカレドニアでは美味しいクスクスを出す店が少なくて久しぶりに食べたそうです。なーんだ、それならよかった。ニューカレドニアは天国にいちばん近い島だといわれるけれど、物価が高く、せっかく庭にゲスト用の家も建てたのにフランス本土からは遠すぎて誰も来ないらしい。日本から行く方がずっと近いので、帰国した際に遊びに来てねと言ってくれたのでぜひ行きたい!

彼らが帰って行った後、パートナーに「ほらね。暑いからって、何でもないことで大騒ぎしたりイライラする必要はないんだよ」と言われたけれど、ずっとクーラーのある生活をしてきた日本人の気持ちはフランス人には分からないだろうな。一眠りして、夜はトロとアジのお寿司と、スズキのオーブン焼きを作って食べたけれどお腹は壊しませんでした。

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chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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