CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

エリゼ宮のテーブルアート

バカンスが終わった途端にぶり返した暑さがようやく収まったヨーロッパ文化遺産の週末(毎年9月の第三週末)、パリ滞在中の知人を誘って今年も大統領官邸であるエリゼ宮の見学に行ってきました。

IMG_9535.jpg

宮殿には庭から並んで入るのですが、待っている間も楽しめるように色々と工夫が凝らされています。通路に沿ってこの一年間の大統領の仕事ぶりが分かる写真が飾られ、ナポレオン1世時代のコスチュームを着た職員さんがエリゼ宮について質問に答えてくれます。ウォーターサーバーや清潔なお手洗いも設置されていて、小さなお子さんがいる家族や足の不自由な高齢者には職員が声を掛けて優先して通してあげていました。

IMG_6911.jpg

ナポレオン時代の大きく膨らんだスカートを着て刺繍をしているのは、実際にエリゼ宮で使用される布地に刺繍をしている職人の方々。

IMG_6915.jpg

マクロン大統領演のTV演説でおなじみ。ピカピカに磨かれた巨大なシャンデリアが天井から下がっている、大統領執務室は豪華絢爛な造りです。

IMG_6954.jpg

過去にはルイ15世の愛妾だったポンパドゥール夫人やナポレオンの妻ジョセフィーヌの邸宅だったエリゼ宮殿。豪華な装飾が施された造りや高価な調度品、そしてポンピドゥ大統領が収集した現代アート作品が至る所に飾られており、まるで美術館のよう。美術館を訪れる感覚で毎年見学していますが、私がいつも楽しみにしているのが実際の公式ディナーや会議、晩餐会のテーブルです。

IMG_6926 3.jpg

IMG_6930.jpg

ポンピドゥ大統領時代に改装された部屋には、モダンなテーブルがセッティングされています。エリゼ宮の見取り図がデザインされたオリジナルのセーヴル焼のお皿。同じ物がセーヴル陶磁器美術館に全種類展示されています。グラスはバカラ、銀食器はクリストフル。

IMG_6921 2.jpg

同様に、絵画に合わせて作られたセーヴル焼、グラスはバカラ、銀食器はクリストフル。花器はラリックでしょうか。

IMG_6925.jpg

軍楽隊が奏でるクラシック音楽が流れる大広間には、クラシックな装いのテーブルが展示されています。

IMG_7014.jpg

IMG_6982.jpg

ある日の公式昼食会のテーブル。最もクラシックなテーブルで、有名なピンク色のシャンパングラスを含むグラスは1867年製作のバカラ、お皿は1758年製作のセーヴル、銀食器は1946製作のピュイフォルカ。

IMG_6974 2.jpg

これはもの凄いことなのです!大統領官邸となる1758年にセーヴル窯で製作されたお皿がずーっとエリゼ宮で割れずに使い続けられているんですから。全ての食器やカトラリー・グラス類は全てつけ置き洗いで、決して擦ることなく汚れを落として柔らかな布で磨き上げるので何百年使い続けても傷がないと、エリゼ宮で食器を扱う専門職の人が仰っていましたが驚いてしまいます。

IMG_6975.jpg

今年の7月14日の革命記念日にルーヴル美術館内で行われたインドのモディ首相を招いたディナーのテーブルは、ローズ模様のお皿、グリーンのグラスとテーブルクロスに施された四つ葉のクローバーの刺繍が爽やか。お皿は1906年製作のセーヴル、銀のカトラリーは1946年製作のピュイフォルカ、グラスはバカラ。

IMG_6997.jpg

IMG_6995.jpg

あら、シンプルな・・と思ったら、執務中の昼食テーブルでした。ベルナルドのKINTSUGI SARKIS(金継ぎ)にクリストフルのクロワゼ・リュバン。ベルナルドのKINTSUGIはフランスで人気があり、金継ぎ=日本の修復技術だと知っているフランス人も多い。グラスはフランスではポピュラーなギ・ドグレーヌ(Guy Degrenne)で実用的なコーディネートです。

IMG_6991.jpg

開催中のラグビーワールドカップのフランスチームの昼食会用に作られたのは、メッセージ入りのベルナルドの白いエキュム。 その後ろに見える両手付きの大きな銅鍋や片手鍋は16世紀のもの。今も現役でエリゼの厨房で毎日使われています。

テーブルだけでなく宮殿全体が良き伝統を守りながら、これからも時代と共に新しい風を取り入れて変わっていくのでしょう。エリゼ宮殿はフランスの象徴なので当然といえば当然だけれども、とてもフランスらしいと感じます。

IMG_6962.jpg

IMG_6967.jpg

2時間半の見学の間、沢山歩きました。疲れたので、マドレーヌのフォションホテルでフォションスプリッツとクラブサンドウィッチでランチとお喋り。スプリッツのグラスが可愛いくて気分が上がりました。どんな簡単な食事でも料理・花・食器・リネンのバランスで美味しさが増しますね。

IMG_7034.jpg

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

ARCHIVE

MONTHLY

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories