Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

「ドレス」と「彫刻」の共演

昨夜は"Fete de la Musique"

我が家の周辺は毎年盛り上がるこの日なのですが、昨日は
天気予報が雨だったせいか結果的に降らなかったものの、
例年より静かでした。

この日のためにドイツからバスに乗ってやって来たという
高校生ブラスバンドの演奏は爽やかで良かったです。

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もう夏休みだし、パリ観光して帰るのかな?!
ヨーロッパは夏休みに入り、パリの人口は一気に増えた感じです。


ところで、うちの大家さんは同じ建物のペントハウスに暮らしています。
近くでホテルも経営しており、L夫妻はいつも優雅。
そんな本物有閑マダ~ムLが、「マダム・グレの展示はオススメよ。
是非観に行った方が良い。」と。

更に昨日お茶をしたSAEKOちゃんからも「一見の価値ありですよ」と。
という訳で行ってきました。

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そもそも開催場所である"Musee Bourdelle"を知りませんでしたが、
Antoine Bourdelle (アントワーヌ・ブールデル)
フランス人彫刻家で20世紀の彫刻のパイオニアと言われた芸術家だそう。

この美術館は、彼が24歳の頃から暮らした家、アトリエ、お庭。

マダム・グレとは1930~1980年に活躍した女性クチュリエ(デザイナー)。
本名、Germaine Emilie Krebs(ジェルメーヌ・エミリ・クレブ)。

1933~1934年まで Alix Batonの名前、
1934~1942年まで Alixの名前、
1942~1988年まで Gresの名前で活躍。

で、マダム・グレとはこんな人。
150センチの小柄な女性で、自身がデザインした洋服を
着ることはなかったそうです。

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彼女が生前繰り返した言葉が
"Je voulais etre sculpteur.
Pour moi, c'est la meme chose de travailler le tessu ou la pierrre."

「本当は彫刻家になりたかった。素材が布でも石でも私の仕事は同じ。」と。

なので、初回顧展が彫刻の美術館で開催されたことを、
きっと本人も天国で喜んでいるように思えました。


マダム・グレのドレス達は、ギリシア彫刻のようでした

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特に流れるようなドレープが美しく、体を入れたらきっとギリシャ神話
のミューズのよう?!


無理矢理つき合わせた夫が、このローブの前で
「これ、前にホックがついてるよ。ヘンだね。」と。

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おや?と思ってまわりを一周すると後ろや脇にジッパーがない。
縫い目が見当たらない。
フロントを開けて着るから前フックなんだ、と気づく。

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と、同時に更に夫が
「おい、これアライアの所有だってさ。」と。

ぴか~ん
その言葉で閃きました、思い出しました。
以前、アライアのお店で見たカーキ色のジャージ素材のワンピース。
プライスを見てのけぞった、20万円以上するあのワンピ

思わず「有り得ない値段ですね、」と言いそうになったものの
「安くはないんですね・・・」と控えめに言うと
ショップガールが待ってました!とばかりに説明してくれたっけ。

「よく見てください。縫い目がどこにもありません。
これはアライアにしかできない特殊な裁断と縫製です。
装飾はありませんが、こういう製法は簡単ではありませんから
こういうお値段になります。」と。


この赤いドレスをアライアが所有してるのは意味がある。

アズディン・アライア氏が求めた服づくりに縫い目がない、
もしくは極力目立たなくさせるというヒントを与えたのがこのドレスであり、
マダム・グレの作る服なのよ、きっと

二人のクチュリエが繋がった!


と、名探偵ケイコを気取り、鼻息も荒くほとんどこじつけの
説明していると既に夫の姿はなく、彫刻(しかも裸婦)を
うっとり鑑賞中・・・。

確かに綺麗なボディラインだけどね。

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綺麗な彫刻はどの角度から見ても美しい。
彫刻家になりたかったマダム・グレが、何処から見ても綺麗に
見える服づくりを目指したこともわかる。

で、なければこんなバックコンシャスな洋服は作らんだろう・・・。

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プリーツやドレープをたっぷり施した洋服たち、相当な生地量。
そんな贅沢な生地の使い方に優雅さを感じる。

パリではクチュリエの回顧展がよく開催されます。
これらに共通するのは今でも着れそうなものがあり、イイものって
何年経ってもイイと思えること。

素材の古さ感は否めないとしても、その洋服がもってる雰囲気、
オーラは変わらない

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ブールデルの彫刻と不思議なくらいマッチしたグレのドレスの数々。
沢山の女性達が訪れていましたが、女性なら着てみたいと
思わせる一着は必ずある、そんな気がしました。

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それにしても、こんな場所にこんな居心地のいい美術館が
あるとは知らなかった。

小さな中庭を見上げるとモンパルナスタワーと馬の彫刻。

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これもまたパリ、と思った瞬間。
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<Info >
Musee Bourdelle
18, rue Antoine Bourdelle 75015 Paris
http://www.parismusees.com/madame-gres/
*Madame Gres La couture a l’œuvreは7月24日まで
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KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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