
神々の黄昏
今シーズン最後のオペラ鑑賞。
という訳でパリ・オペラ座バスティーユに"La Crepuscule des dieux"(神々の黄昏)
最終日公演を観に行ってきました。
これまた素人鑑賞ですが、オペラは"WAGNER"(ワーグナー)が好きです
頭の上でフワフワ心地良いメロディが聞こえるよりも、河川敷で見る花火大会のようにズシーンと
お腹に響く感じや、心臓に突き刺さりそうなダイナミックな音楽が好き
オペラブログではないので、ちょっと簡単に。
Richard Wagner (リヒャルド・ワーグナー)が北欧神話をモチーフにして作った歌劇
『ニーベルングの指環』は4部構成。
全作品を通して聞くと15時間位かかるという異常に長いオペラ
先シーズンから今季にわたって4部全て公演されました。
序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)
第1日 『ワルキューレ』(Die Walkure)
第2日 『ジークフリート』(Siegfried)
第3日 『神々の黄昏』(Gotterdammerung)
で、今回鑑賞したのが最後の「神々の黄昏」。最後のチケット・・・と思うと感慨深い。
休憩2回含めて5時間50分の公演は長丁場
という訳で、とにかく楽な格好を。(紫のコンビネゾンで。らくちん。)
夏休みに入ったこともあり、夏らしいカジュアルな服装な人が多かったです。
幕間も長く、45分と30分なのでお弁当持参(自家製サンドイッチ、フルーツやワイン!)でリラックス。
とにかく長いオペラなので字幕を追いかけても疲れると思い、パリに戻る前に東京で
このNYの「メトロポロタン歌劇場」のDVDで予習を
あらすじに忠実で舞台設定や衣裳もとてもクラシック。
とてもわかりやすい演出になっているので、オペラ初心者にはぴったりでした。
あらすじは、あまりに長い話なのでココでは書ききれない感じ
登場人物は、主に
神々の長ウォータン、ウォータンの子ジークムントと幼い頃に生き別れになった双子の妹ジークリンデ。
その二人の間に(近親相姦)生まれた英雄ジークフリート。
そのジークフリートの妻ブリュンヒルデ。
ウォータンにワルハラ城の建設を任された巨人族。
ライン川で黄金の指輪を守る3人の水の乙女。
闇の国ニーベルハイムに暮らす醜いアルベリヒと息子のハーゲン。
などなど。
今回は4つめの「神々の黄昏」のキャストは、こちら。
全作通して「世界支配の力を秘めた黄金の指輪を巡る争い」 です。
今回の舞台演出はモダンで男性はスーツにトレンチコート、女性はややクラシックなドレスで現代的。
大きなスクリーンに炎や水を表現して効果的。
想像以上にわかりやすく、面白かったです。
このオペラが好きなのは、長くて重くて疲れると思う反面、登場人物の心理描写が丁寧で
いきなり何で?と思うような急展開がなく、そういうこと現代社会にもあるある!と思えたり、
そう考えるのもわかるな・・・と思える部分が多いからかも?と思う。
例えば、見栄を張って建てた大きなお城。建てた後にその支払いができなくなる神々。
そんな不動産の失敗は現代にも十分ある
おもいっきり相思相愛だったのに忘れ薬のせいとは言え、あっという間に裏切った男。
そんな男、許せないと怒りが爆発する女性(ブリュンヒルデ)の気持ちもわかる
ちょっとばかし綺麗だからと言って、醜い男をさげすむ女性。さげすまれた男は益々卑屈に。
容姿にコンプレックスを抱え、その反動で絶大な権力で美女も世界も手に入れたるでぇ、と
思う男性心理もあることかも
そんなことを思うと
舞台は物語的なのですが、起ってることが現代の人間社会に通じる部分が多く興味深いオペラ。
歌手は勿論、オーケストラの皆さんもとても疲れる演奏だと思いながら
「今宵も頑張ってください」な気持ちでピットを覗くと、ブルーの楽譜が。素敵
欲しい。あ、でも楽譜読めないんだった・・・。
今回の若くて元気な指揮者Philippe Jordan氏。
4時間半振るには体力マスト。
客席からも見えるくらい大きな振りと全身の動きがチラチラ見えました。
最終章「神々の黄昏」の主役は、ブリュンヒルデ。
大きな拍手とブラボーの声が。
個人的には、左から3番目のハーゲン役のHans-Peter Konig氏、すごくイイ声でした。
演出上、車椅子に座ってのお芝居&歌なのですが、座っていながらにして大迫力のバス
会場を満たす声、素晴らしかった。
毎回怖いな・・・と思うのはパリの観客達。
イイ時は、大きな拍手とブラボーの嵐。でも、ちょっとでも違う?と感じたらブーイングが。
今回も一幕終えて、ジークフリード役らに対してブーイング
何をやってもブラボーと持ち上げる訳でなく、何をやっても静かに大人しく聞く訳でもなく、
一人一人が自分の判断で良ければブラボー、ダメと思ったらブーーーっと言ってしまう。
怖いな、パリの、というかヨーロッパの観客は・・・と毎回思う。
舞台に立つ側も歴史ある本場ヨーロッパの地で公演するのは一番緊張するのかも。
長い舞台を終えた最後は、大歓声で皆さんスタンディングオベーション。
途中眠くなったものの、ジャーーンと大きなシンバルで目が覚める
やっぱり眠らせてくれないのがワーグナー。
来季のワグナーは「タンホイザー」("TANNHAUSER")だそう。
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