Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

パリ・ユネスコでUn an après

3月11日(日)パリ時間の15時からユネスコ本部大会議場で行われた震災から一年のメモリアルコンサート
"Yutaka Sado en Concert a l'UNESCO 11.3.11 Un an apres"へ行ってきました。

パリ7区にある国連機関・ユネスコ本部からは、エッフェル塔と一緒に見える世界の国々の国旗が。

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プログラム構成、指揮は佐渡裕さん。

フランスを拠点とする名門オーケストラの団員を中心に編成された、この日だけの
スペシャルオーケストラ「オーケストラ・ジャポネード」、
そして日本からは先日のノートルダム大聖堂での演奏と同じく佐渡裕さんが率いる
「スーパーキッズ・オーケストラ」、
そして、ソリストに若手ピアニスト辻井伸行さん、16歳のヴァイオリニスト周防亮介さんを迎えての
チャリティーコンサート。

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ユネスコ本部の第一会議場で行われたのですが、会場は2階席まで満席状態で日本人、フランス人を
中心に沢山の人が集まりました。

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2部構成のコンサートで、第1部は、「スーパーキッズ・オーケストラ」の皆さんによる演奏に続き、
辻井伸行さんが加わってのピアノ協奏曲演奏でした。

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バッハ:管弦楽組曲第 3 番ニ長調 BWV1068 より 第 2 楽章《Air》(G 線上のアリア)


この演奏は、とても心が静まるもので鎮魂の音楽に聴こえました。
演奏の後、拍手無しで、全員1分間の黙祷を捧げました。

芥川也寸志:トリプティークより 第1楽章:アレグロ

恥ずかしながらクラシック音楽にも疎く、この曲はノートルダム大聖堂のミサで初めて聴いた曲です。
とても激しく感じる曲調で、心を静めるというより復興の狼煙(のろし)が上がるようなイメージを
連想しました。

チャイコフスキー:弦楽セレナードより 第3楽章:エレジー、ラルゲット・エレジアーコ
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲より「パッサカリア」
と続き、

ウィーラン(ヤニック・パジェ編曲):リバーダンス

オーケストラの皆が足踏みをし、最後は立ち上がって元気に演奏する様子は、とてもイキイキしていて
気持ちが明るくなるものでした。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11 より 第2楽章:ロマンス:ラルゲット

こちらは、盲目のピアニスト・辻井伸行さんの演奏でした。

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辻井さんのピアノも初めて聴いたのですが、これまでに聴いたことない綺麗な音色に驚きました。
こんな綺麗な音は、テクニックとかそういう問題ではなく、ものすごく心が綺麗なんだろうな・・・
そんな人にしか出せない音のように聴こえました。

演奏後の満面の笑みが、子供のようにとても無邪気な可愛さがあったのが印象的です。
目が見えないという中で、私生活の中でも大変な場面は色々と思うけれど、彼の音色に暗さとか
悲壮感がなく、本当に綺麗でした。

辻井さんの演奏の素晴らしさに感動しつつも、女性としては彼を育て見守り、可能性を引き出して
道を開いた彼のお母様は母として人として強くすごい女性だな・・・とも思いました。

休憩の後の第2部は、
ベートーヴェン:「エグモント」序曲 Op. 84 でスタートしました。
昨年4月10日に同じ会議場で催されたチャリティーコンサートの為に結成されたL'Orchestre JAPONAIDE。
指揮は佐渡さんから、パリでも活躍し、昨年のチャリティーコンサートでも指揮棒を振った女性指揮者の
阿部加奈子さんに。

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
I. アレグロ・モデラート II. カンツォネッタ アンダンテ III. フィナーレ アレグロ・ヴィヴァーチッシモ

ヴァイオリンは、周防亮介さん。指揮は再び佐渡さんに。
周防さんのヴァイオリンにも、ホントにホントに驚きました。
見た目はほっそりした長髪の高校生。でもヴァイオリンてこんなに幅広い音が出るのか?と、鑑賞素人な
私は感激しっぱなしでした。
技術を要求される長い曲をクールにサラリとこなすその姿に、天才ってこういう人なのかも・・・と。
今後も注目したい周防さん!

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ラヴェル:ボレロ

この曲を選んだことに関して、佐渡さんは、
「(「ボレロ」の曲のように)皆様の祈りと支援の輪が少しずつ広がり、被災地へ力強く届く事を
願ってやみません」と表現されていました。

小さな小さな小太鼓が刻むリズムが、少しずつ少しずつ大きくなり広がる音楽は、まさに誰かの最初の
一声が周りを巻きこみ、大きな力に変わっていくようで、最後にシンバルやチューバが鳴り響いて終わった
瞬間は鳥肌が立ちました。

岡野貞一(山口真希子編曲):故郷(ふるさと)


最後は、合唱団も参加しての「ふるさと」合唱。会場にはスーパーキッズオーケストラの子供達が。

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今回のコンサートには、津波に巻きこまれながらも助け出された旅館蓬莱館の女将さんがいらしていて、
彼女が津波に飲み込まれるところを写した衝撃的なビデオが流れた後、本当に心に響く、前向きな
スピーチをされました。

東北では津波が来たら、「とにかく一人でも多く生き延びろ」という言葉があるそう。
でも、地震後は生きていても、あの世とこの世を行ったり来たりするような大変苦しい毎日だったと。
そんな中で、被災地を訪れ、蓬莱館の前の広場で聴いた佐渡さん率いるオーケストラの皆さんの演奏に
心を癒され、また生きる勇気も湧いたそうです。

音楽をはじめとした芸術全般は、生活に余裕のある人が楽しむようなものだという印象があるものの、
本来歌ったり、踊ったり、奏でたりは、人間が太古の昔から喜びや悲しみ、願い、祈りを込めてやって
きたこと。
そう思うと、そういう芸術を大切する気持ちや愛する心は、生きていく中で忘れないでいたいと
今回の演奏と蓬莱館の女将さんの言葉を通じて感じました。

素晴らしい演奏をしてくださった皆さんに感謝と同時に、集まった皆さんの祈りと募金がしっかり東北に
届くことを祈ったチャリティーコンサートでした。


おまけのパリ

グルグル巻きのカタチでレーズンがたっぷり入った「パン・オ・レザン」は大好きなパンの一つ
朝ごはんに登場率も高いのですが、今日はパン屋さんのレジ前の籠にこちらが

omake

み、緑のパン・オ・レザンは、初めて!
と思って、迷わず「コレもください」とお願いしました。

早速食べてみると、というかよく見ると黒いツブツブはレーズンではなくチョコチップ
パン・オ・レザンじゃないじゃないか・・・。騙された というより完全な思い込み

レーズン!と思って食べたので、ちょっと驚きましたが味はなかなか美味しかったです。
ちなみに緑色は、ピスタチオクリームでした

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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