
いつかブラス♪
"Entre les Bras-la cuisine en heritage"を観に
モンパルナスの映画館へ行ってきました。
Bras(ブラス)は、父Michel Bras(ミッシェル・ブラス)と
息子Sebastien Bras(セバスチャン・ブラス)で営むミシュラン
3つ星のレンストランとホテルです
フランスの真ん中あたりのオーブラック地方ライヨール村。
あのライヨールナイフで有名な村ですが、人口は約900人という小さな村。
パリから車で550キロ、最寄の空港からも60キロ、
という観光名所などもないこの村に、ブラス親子のレストランを訪ねて
世界中から食いしん坊な人達が集まるのだそう
(以下の画像はお借りしています。)
始まりは、母親が経営するオーベルジュ(民宿旅館みたいなもの)の
お手伝いをするうちに、料理に目覚めたミッシェル・ブラス氏。
セバスチャンにとっては、おばあちゃんですが(写真左)、
そのおばちゃんが今も元気でご健在
彼女がササっと作ったタルティーヌはパンに地元のチーズを乗せ、
そこにチョコレートを刻んだもの乗せたもの
チーズのしょっぱさにチョコレートの甘みと苦みを簡単に
うまくまとめるその姿に、思わず
「おばあちゃん、スゴイ
そんなおばあちゃんの味覚やセンスは、息子ミッシェルに繋がり、
今はミッシェルからセバスチャンへ。
映画冒頭に、真っ白なお皿にシュッ、シュッとソースを何種類も描き、
その上から何種類もの葉モノを中心にした色とりどりの野菜を、
まるで絵を描くように盛り付けていく様子にいきなり目が釘付け
になりました![]()
このお皿↓

そんな誰もが驚く一皿を創り出す父の背中を見て育った息子セバスチャン。
自ら築き上げ獲得した三ツ星レストランのシェフのポジションを、
今はほとんど息子に譲りつつある父ミッシェル。
厨房内では当然師弟関係。
そこに親子だからという甘えや馴れ馴れしさはありませんでした。
でも、お休みの日は祖父母や孫も含め、4世代みんなでワイワイ楽しむ仲良し家族![]()

仕事に関しては、父が息子に任せて自由にやらせている建前の中で、
どうしても息子がやっていること、作っているものが気になって
しかたがない親心が何度も垣間見えました。
親が築いた名声に胡坐をかくとか、父親と同じことをコピーするのではなく、
必死に自分の料理を模索する研究熱心なセバスチャンの姿は、
ひたすら真摯でマジメで、妥協がなくて驚きました。
そのプレッシャーは私のような素人には計り知れないな、と。
天才シェフ(父)に認められるべく、血走った目で、唇をかみ締めて、
ただ一人黙々と厨房で皿と向かい合い、試行錯誤を重ねる
セバスチャンの姿が印象的でした。
食材一つ一つも朝も寒く暗いうちから市場に出かけ、自分の目でみて、
触って、嗅いで選ぶ。
市場からの帰りの車の中で、その日の食材を使った料理のヴァリエーションを
真剣に議論する親子。
まるでデッサンを書くように毎日書き綴る料理レシピと盛り付け記録の
ノートブックの山。
レストランがオープンしているのは4~10月。
レストランが閉まる冬も、全てがキッチンを中心に回る日常を淡々と
写し撮った映画は、料理関係者でなくとも楽しめるものでした。
そして、美味しいものを作るには自分がまず健康体でなくては
いけないという、当たり前だけどなかなかできない自己管理を
徹底している父ミッシェル(旅先の雪の中でもランニング)。
彼は、とても自然を愛してるという感じで季節を全身で感じて、
毎日自然界と会話しているようでした。
パリにはミシュラン星付きレストランがいくつもありますが、
各地方にも地元に根をおろした名店が多くあります。
Bras親子に限らず、生まれ育った町や村から出ることなく、
それぞれのスタイルで独学で築き上げるシェフ達の料理と
お店の雰囲気は魅力的です![]()
私はこの映画を見るまでは、刺激的な料理は刺激の多い都会の方で
育ちやすいと思い込んでいました。
まわりに高尚な文化や最先端の情報がなくとも、身近な自然や食材、
地方の文化というお金だけでは買えないものから、
自分の感性・イマジネーションで、都会では生まれないような
びっくり斬新で芸術的な料理が創り出されてゆく過程を
少し見れて感動しました。
ミシュランの「三ツ星」の定義は、「そこで食事する為にだけでも
特別に旅する価値のある」レストラン![]()
映画で観るだけでも、やはり一度は食べてみたい、と強く思わせる
ブラス親子の料理でした。
そうそう、セバスチャンの奥様は美人でした。

奥様は、プライベートでもお料理はあまりしないみたいです・・・。
おまけのパリ![]()
ブラス親子の映画に刺激されて、普段よりちょっと凝った前菜に
チャレンジしてみました![]()
「温泉卵に燻製香のマッシュポテト」、このアイデアは先日の
レストラン・アクラムのものをパクってみました。
そこに白トリュフオイルを垂らして、香りを立たせ、上にはパリパリに
オーブンで焼いた生ハム砕いて。
生ハムパリパリのアイデアは、今回の映画から。
以上、我が家の素人シェフ(夫)の気紛れ一皿・・・![]()
ただ完成度としてはまだまだ中途半端だね、との食べるだけで
辛口料理批評家(妻)の厳しい感想に、腕組みをして
セバスチャン・ブラス気取りで考え込む夫。
もうしばらくはキッチンでの試行錯誤が続きそうです。
最後に昨日のパリの一枚。
同じところにいるのに服装はバラバラ。
パリではこういう光景がとても多く、体感温度に個人差が
大きいのか?なんなのか?あまり季節感を服装から
感じられないことが時々・・・。
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