Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

マチルダ姫の"Tapisserie"

ノルマンディーを旅したら、いつか行きたいと思っていたのが
Bayeux(バイユー)の街

そこで見たいと思っていたのが"Tapisserie de Bayeux"
(バイユーのタピスリー)
です

この街のシンボル的存在でもあるのは明白で、標識にも
「タピスリーは右」、「その他はあっち(左)」と。

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そのタピスリーが保存されているのは、
Musee de la Tapisserie de Bayeux(バイユー・タピスリー美術館)

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長さ約70メートル、幅約50センチ、全58場面からなる絵巻物的
タピスリーで、リネン地に青、赤、黄などの毛糸で刺繍されたもの。
いわゆる壁一面を覆う織物タピスリーとは違います。

ワンフロアは、贅沢にこのタピスリーだけの展示です
一気に70メートル全編が馬蹄形に展示されています。
(画像借用)

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なぜ、このタピスリーがそんなに見たかったのかというと、
これは世界文化遺産の歴史絵巻だから

世界史は好きですか?
私は好きです。(日本史専攻でしたけど・・・)

このタピスリーを知るには、ノルマンディーとイギリスとの関係を
知らないと楽しめない
という訳で、ちょっと歴史の時間です。(難しくないから)

ここではギヨーム(ウィリアム)、ハロルド、マチルダの3人を
覚えれば大丈夫。
フランス語名ギヨームは英語名だとウィリアム。
このへん、ややこしいけど同じ人


8世紀後半から9世紀にかけて北方のスカンジナビアあたりから
進入してきたヴァイキングたちが住み着いたのがノルマンディー地方。

ノルマン人=ヴァイキングたちは、とにかく暴れん坊で、
「もうこれ以上暴れないでね」と、西フランク王のシャルル3世が
ノルマン人部族の首領・ロロ(ロベール1世)にノルマンディー地方を
与えて、ノルマンディー公としたのがノルマンディー公国のはじまり


イギリスと大きく関わるのは、7代目ノルマンディー公
ギヨーム2世の時。

1059年にイングランド統一の基盤を築いたアルフレッド大王の
子孫にあたるボードゥアン5世の娘マチルダ姫と結婚したことから

ここまでが背景で、この後ギヨーム2世がイギリス王(ウィリアム1世
になるまでの物語が、70メールにもおよぶバイユーのタピスリーに
描かれているという訳です


ギヨーム2世とマチルダ姫が結婚した頃、イギリスはエドワード懺悔王が
統治していたのですが、息子がおらず後継者問題勃発

そこで血縁を辿っていくと、ギヨーム2世が後継者候補に。
それを伝えるためにエドワード懺悔王は義兄ハロルド2世を使者として
ノルマンディーに送ります

ここからタピスリーの始まり。
お土産にタピスリーの重要場面を模した蛇腹式のカードを購入。

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ギヨーム2世に会ったハロルド2世は、当時ノルマンディーで起こっていた
内戦でギヨーム2世をサポートして大活躍
ハロルド2世はギヨーム2世に忠誠を誓いました。

そして将来、ギヨーム2世がイギリス王を継承することを承認する
誓いが行われました。

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イギリスに戻ったハロルド2世は、その報告をエドワード懺悔王に
したものの、エドワード懺悔王の死後、忠誠を破りギヨーム2世ではなく
ハロルド2世がイギリス王として戴冠することに

そんなことになっては、ギヨーム2世は黙っておりませんよ。激怒
イギリスに攻め込みます。(ヘースティングの戦い)

ハレー彗星が不吉に横切る空の下、出陣

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馬も沢山ヴァイキング船に載せて海峡を渡ります。

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その激しい戦いの場面はタピスリーの中でも特に迫力、躍動感たっぷりに
表現されてます。

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死闘の末、ギヨーム2世が勝利して終わります。

このタピスリーは最後の場面が紛失しているそうですが、それはおそらく
1066年12月25日にギヨーム2世がウィリアム1世としてイギリス国王即位
した場面では?と言われてます


長い間、このタピスリーは夫の活躍を伝えるために妻のマチルダ姫が
作らせたもので、「マチルダのタピスリー」と呼ばれていましたが、
実際はバイユーの司教オドンが作らせた説の方が正しいそう。

でも、個人的にはマチルダ姫が夫の活躍を伝えるために作らせたと
思いたい。
「あなた、よく頑張ったわ!ブラボー!」な気持ちを込めて

という歴史的絵巻で、ギヨーム2世がイギリス国王になるまでを軸に
食事風景、洋服など当時の風俗も知ることができる貴重なもの

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ウィリアム1世の誕生に基づくお話なので、イギリスからのツーリストも
とても多いそう。
フランスとイギリス、切り離せない関係ですね~


おまけのパリ
羊のぬいぐるみ?
ではなく、ドアの下からの隙間風を阻止するドアクッション

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そして黒いテリア?らしいカタチの足ふきマット。
足ふきマットは、次回のお土産にしようかな~
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<INFO>
La Tapisserie de Bayeux
13 Rue de Nesmond, 14400 Bayeux
http://www.tapisserie-bayeux.fr/
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KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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