パリ7区☆Bistronomie Jaïs(ジャイス)
昨年の秋から足繁く通うようになったビストロが、7区にある『Jaïs』(ジャイス)というお店。
メニューは、いずれもオーセンティックなビストロメニューで、しっかりなボリューム、その味に農業国フランスの底力を感じまくり。
まず最初にアミューズの「 Radis beurre」(ラディ ブール=ラディッシュ&バター)がサーヴされるや、瑞々しいラディッシュとクリーミーなバターに塩ちょびっとのハーモニーをかじり、これこれ!と唸る。
そんな鉄板アミューズを摘みながらのメニュー選び。
アパルトマンから徒歩圏内という手軽さも相まって、度々伺う一軒になりました。
コロナになってから東京でもそうなのですが、わざわざ出かける遠いファンシーレストランより(たまには行きたいけど)ガツンと旨い地元の一軒。
パリ生活を再開しても同様で、最近はタクシーで出かける頻度は減り外食は徒歩圏内で楽しんでいます。
<トラディショナルなスタイルのパテ・アン・クルート>
贅沢ふんだんにフォアグラ、ピスタチオがアクセント。
そもそもこちらのお店はコロナ前から知っていたのですが、驚いたのは想像以上の人気ぶり。
いつも満席、客足は絶えず遅めの時間からもどんどんお客さんがやってきます。
外国語はあまり聞こえず、客層は常連、地元7区界隈のお客さんが多い印象です。
<セップ茸のウフ・ココット>
ウフ・ココットは、卵&クリームを半熟状に焼き上げたオーブン料理。
私のこれまでの経験では前菜なので卵は1個だけで作るお店が多い印象でしたが、こちらは2個使用。
しかも黄身が大きい、白身もたっぷりで、少食な人ならこれでメインになってしまいそうな?!
そしてこれでもか!な勢いで入っていたセップ茸。
<Sole meunière (600g), écrasé de pomme de terre et pusses d'épinard (66€)>
K「600グラムってあるけど、それ一人でいく?」
夫「もちろん」
夫「ケーコさ〜ん、俺はとても幸せです!!」
K「知ってる。私と一緒になれてでしょ」
夫「そんなこと一言も言ってねーよっ。コロナになってからずーっと食べたいと思っていたのは、こういう本格的ソール・ムニエル♡ やっと食えた!」
実際余裕の完食であった…。
付け合わせのポテト&ほうれん草もいいお味。
つくづくフランス野菜の美味しさも感じて。
一方私がずっと欲していたのは、仔牛料理。という訳で、
<ブランケット・ド・ヴォー>
肉厚大ぶりマッシュルームのせいで見えてませんが、その下には仔牛肉のクリーム煮の塊がどーん。
そのソースにサラサラのバスマティライスを浸しながらいただく。うまっ!(ビバ、お米!)
更にこのお店が好きになった理由は、サービス担当の皆さんがとてもサンパなこと。
入れ替わり立ち替わりにテーブルの様子をチェックにきては、大丈夫?美味しい?楽しんでる?ワイン気に入った?という具合に親切な人、丁寧な人、明るい人、陽気な人がやってきては声をかけてくれる。
ワイン選びに迷っているとソムリエが躊躇なく、ワインリストをビシッと指差してこのブルゴーニュと。
その様子に、もう素直さを失くした?オバさんケーコは、私のメインがBlanquette de veauなのにブルゴーニュ選ぶのか…。きっと外国人向けなたっかいブランドワインを指してるんだろうな…と身構えた。
夫よ、反論せよ。妻がブランケットだからアルザスリースリングあたりはどうかと言え!言うんだ〜っ!
夫「じゃ、それにします」
K「・・・。」
ソムリエが去った後、
K「高いブルゴーニュでしょ…」
夫「全然。アリゴテ勧めてきた。しかも俺たちの好きなフィリップ・パカレだったからそれでいいと思った」
K「えっ?」
そのワインは、最初はフレッシュな印象でしたが、のちにバターっぽさが増し、バターをふんだんに使ったソール、クリームたっぷりの仔牛肉にもとても合いました。
ソムリエ、ブラボー!(掌返し…)
デセールは、お邪魔するたび同じものを繰り返しオーダーしてます。
それは、オーダー後14分でミニ銅鍋で焼き上げる、焼きたて出来たてマドレーヌ。
15分ではなく、あえて「14分」というところが個人的にはちょっとウケてます。
その微妙な1分にお店のこだわりを感じる。
熱々のマドレーヌに濃厚バニラアイスが溶ける、とろける。
すっかり満腹満足でカフェをいただく頃、初めて伺った日からいつも大きな体のシェフが「どう、楽しんでもらえた?」と挨拶に出てきてくれます。
コロナ禍でレストランは淘汰されたと聞きますが、残ったお店は美味しく、サービスもよく、ツーリストだけでなく地元の人に愛されるお店だと感じます。
『Jaïs』(ジャイス)もそんな一軒ではないでしょうか。
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