
Le Talisman de Sérusier☆
水面がキラキラ光るセーヌ川。
その向こうに見えるのはオルセー美術館(Musée d'Orsay)。
あそこまで歩くにはちょっと距離があるな〜とも思ったけれど歩いてしまった。
東京ではすぐに電車やタクシーに乗ってしまうけどパリは街並みが綺麗で目的地までの町歩きも楽しく、モンマルトルエリアなど一部を除いては比較的フラットなので天気、気候のいい日はズンズンと歩けてしまう。
そして夜、iPhoneのヘルスアプリで歩数をチェックしては「今日はこんなに歩いたの?!」と小さな達成感に浸る…。
と言うわけでで、いつものように年間パスポートを片手にやってきたオルセー美術館(Musée d'Orsay)、今回は特別展“Le "Talisman" de Sérusier, une prophétie de la couleur”(セリュジエによる“タリスマン” 色彩の預言」展)を観賞。
ナビ派作品の展覧会です。
わりと好きなナビ派。
本展にも作品が展示されていましたが、「ナビ派」と聞いて私の中にすぐに浮かんでくるのはモーリス・ドニ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤールなど。
(モーリス・ドニ美術館が素敵!な記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-710.html)
『Maurice Denis (Offrande au Calvaire)』
が、しかし本展の主役Paul Sérusier(ポール・セリュジエ)の作品は、これまであまり意識して観賞した記憶がなかったので新たに知るきっかけとなり興味深く観賞することができました。
『Paul Sérusier(Le Champ de ble d'or et de sarrasin)』
ナビ派を語るに欠かせぬナビ派創始者のひとりPaul Sérusier(ポール・セリュジエ)は、1864年パリで生まれ。
既存の絵画表現に限界を感じた彼は、フランス北西部のブルターニュ地方ポン・タヴェンへ行き、そこで新たな絵画表現の指導者として若い画家らに支持されていたポール・ゴーギャンとエミール・ベルナールに出会います。
そして彼らに感銘を受けながら制作し、ナビ派を結成。
色鮮やかで平面的、抽象的な表現は一度見たら忘れられない独特な世界。
『Paul Sérusier(Les Bles vert au Pouldu)』
特に1888年に制作した本展のタイトルにもなっている“Talisman”(タリスマン=護符)がナビ派の起源・象徴となる作品として同派の作品の中でも最も重要視されているものだったとは知りませんでした…。
元々の作品タイトルは、ポン・タヴェンを流れるアヴェン川沿いの風景を描いた「ポン・タヴェンの愛の森」だったそうですが、ナビ派の結成において道標的な作品となったことでナビ派の画家たちが本作を同派の「護符、お守り」として扱った為、“Talisman”(タリスマン=護符)と呼ばれるようになったと。
『Paul Sérusier(Talisman)』
そして本作は制作の際にゴーギャンの助言を受けて完成したとされています。
色面のみで構成されているので遠目には何を描いたのがわからない…と思ったのですが、黄色は樹木、赤は樹木に茂る葉、青は射し込む陽光によって落ちる陰影を表現しているそう。
見ていると気持ちが静かに落ち着いてくる、ちょっと不思議な神秘性を感じたポール・セリュジエの作品たちでした。
『Paul Sérusier(La Pluie sur la route)』
私にとって「タリスマン」のような絵、作品は?と思ってみると、
それはバッグに入れて常に持ち歩く手帳に挟んでいる写真家・ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)がパリで撮ったイヴ・サン・ローランのタキシードの一枚かも♡
*“Le "Talisman" de Sérusier, une prophétie de la couleur”(セリジェによる“タリスマン” 色彩の預言」展)は2019年6月2日まで
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