
黒人モデル☆ ジェリコからマティスまで
「黒人モデル」と聞いたら私の中で真っ先に浮かぶのはナオミ・キャンベル♡
その存在を知ったのはスーパーモデルブームの頃だったけれど、とにかく衝撃的だったのは今から二十数年前に日本の某エステティックサロンのCMに登場した時。
いろんなバージョンがあった中で特に覚えているのは普通のOL風の日本人なおみがエステから帰宅するとナオミ・キャンベルになってしまうというもの。そして「ナオミよぉ」なセリフ。
当時20代前半、底無しな食欲で食べ盛りだった私はそのCM広告のナオミ・キャンベルのパーフェクトボディの写真(ロングヘアでバストを隠し、下は黒いおパンツ姿)を冷蔵庫の扉に貼ってダイエットを決意。
冷蔵庫に常備しているアイスクリーム、プリンの類をセーブしようと思ったわけですが、効果があったのは1週間程度。
そのうちその写真を眺めながらアイスを食べ、「そもそも骨格が違うし、ダイエットしたってこんなスタイルになれるわけないし〜」と開き直って終わってしまった…。
と、最初っから話が脇道にそれてしまったのですが、そんなことを懐かしく思い出しながら向かったのが、只今“Musée d'Orsay”(オルセー美術館)で開催中の“Le modèle noir de Géricault à Matisse”(黒人モデル ジェリコからマティスまで展)。
本展は、18世紀末から現代に至るまでの視覚芸術において、黒人モデルはどのように表現されてきたのか、社会的・美学的・政治的な観点から多角的に考察するというもの。
お馴染みの画家マネ、セザンヌはじめジェリコ、写真家のナダールらの作品の中に登場した黒人モデルの作品を鑑賞しました。
マリー・ギユミンヌ・ブノワの「マドレーヌの肖像」
最も興味深く、楽しく鑑賞したのが1920年代に活躍したジャズ歌手で女優のジョセフィン・ベーカーのコーナー。
フィルム映像もあり、そのダンスとクルクルと変わる表情はコケティッシュで可愛い♡
「黒いヴィーナス」と呼ばれた彼女はバナナを腰にぶらさげて踊り一世を風靡☆
この時代に生きていたら彼女のステージ、パフォーマンスは是非観てみたかった!
大好きな一枚、アンリ・ルソーの「ヘビ使いの女」もありました☆
本展で最も注目を集めていた、オルセー美術館所蔵で有名代表作でもあるエドゥアール・マネの「オランピア」。
娼婦オランピアのやや冷めたような、挑戦的な視線を受けるとなかなか目が離せなくなる。
オランピアの隣りには黒人メイド。
セザンヌの家主だったドクター・ガッシェ(ゴッホを看取ったドクター)が、マネの「オリンピア」に興味を持ち、セザンヌが製作したと言われるのが、こちらの「モデルヌ・オランピア」。
なんだか夢心地?なフワっとしたイメージのオランピアとシーツを剥がす黒人メイド、それを眺める男。
アンリ・マティスの描いた黒人モデル。
ジャラっと長いネックレスが印象的で、やはり褐色の肌には大胆で大振りなアクセサリーがより似合う。
マン・レイの作品はファッション誌のようでもあり、スタイリッシュ☆
本展の作品を通じて単に黒人が作品のモデルになったことだけでなく、植民地時代の奴隷問題からこれまでの、そして現在の社会・人種問題についても考えさせられる内容でもありました。
ラリー・リヴァースの「I Like Olympia in Black Face」という作品は、マネの作品をモチーフにメイドが白人にスイッチという、ちょっと風刺が効いた作品。
様々な人種が暮らすメトロポリスなパリ。
町を歩いているとそれぞれ自分の個性を活かし、上手に自己表現をした素敵な人、綺麗な人を見かけます。
いろんな意外性や美しさがあって面白いな、と感じる毎日です。
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