ヒッタイト☆忘れられた帝国
陽が長いので夕方16時ぐらいがピークに暑い夏のパリ。
16時とは思えぬ暑さだよ…と涼を求めてMusée du Louvre(ルーヴル美術館)へ行った日、入口で
「今日はもう予約がない人は入場できません!」と。
え〜っ!(この日は入れず…)
数年前からルーヴル美術館の大混雑具合は問題にはなっていて、2020年から事前にオンライン予約を義務化することになっていましたが、それを早めて年内の10月または11月に前倒しすることが先日発表されました。
そしてこれから大人気間違いなし!と思われるのが、10月24日から始まるレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年を記念した大回顧展「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(2020年2月24日まで)。
楽しみです!
という訳で後日予約を取り直しての再訪。
この日のお目当ては、特別展“Royaumes oubliés De l'empire hittite aux Araméens”(忘れ去られた王国:ヒッタイト帝国からアラム人まで)展。(8月12日に会期終了)
混み合うのはやはり常設展のルーヴル所有の代表作品前で、もちろんテーマにも寄りますがこう言った特別展は比較的空いていることが多いです。
私にはあまり馴染みのない、知らない「ヒッタイト文明・帝国」だったのですが、古代文明好きとしてはこの機会に触れてみたいと思った次第。
ヒッタイトは古代エジプトと双璧をなし、覇を競っていた帝国(王国)。
古代ギリシアや古代ペルシア帝国より早く、その中間エリアのアナトリア(現・トルコ)を中心に紀元前17世紀から紀元前12世紀にかけて築かれ、歴史上初めて「鉄」を使用し、絶大な武力をもってオリエント世界に君臨していた!
そんなすごい国だったとは…と、冒頭の解説を読んですっかり驚いてしまいました。
なのに歴史から消え、19世紀になってツーリストが遺跡が発見し、20世紀にドイツの考古学者の発掘調査が行われるまで忘れ去られ、今日もまだまだ謎が多く残る古の帝国。(1986年にユネスコ世界遺産に登録)
本展ではたくさんのレリーフ&工芸品、彫刻、王宮の再現映像や模型を観ることができました。
とても精巧で、これが紀元前十何年のものなの?!と驚くばかりの工芸品の数々が展示されていましたが、これは!なものが残念ながら撮影禁止。
撮影可だったのは、こういった神様や動物の形をした小さなオーナメント。
手の爪サイズです。
ヒッタイト文明の大きな特徴が鉄を開発したことと、それを使っての圧倒的軍事力。
そして記録を残すための楔型文字。
古代文明好きとしては、この種のものを目の前にするとかなり萌える〜っ♡♡
歴史研究の中で解読が進み、当時のことが解明されることを思うと今と3500年前を繋ぐ鍵。
何千年も前に書かれたものを時を超え現代人が読むなんて!!とロマンを感じます。
初期のヒッタイト人、その起源は謎のまま。
帝国の歴史としては紀元前17〜紀元前15世紀頃までを「古王国時代」、紀元前14世紀から紀元前12世紀までの「新王国時代」と二つに分けられるそう。
本展に多かった猫っぽいライオン。
数多く発見されていることからライオンが重要動物だったと考えられているそう。
これらもライオン。
これも。
場所柄もあって風化が激しいものの、その分その長い歴史を感じるわけで。
現地の様子は壁面の写真で。
私にはそう簡単に行ける場所ではないので、こうしてパリで涼しい室内でゆっくり鑑賞できるのはありがたいこと。
ちょっとユニークだった人魚のレリーフ。
紀元前12世紀の終りごろ、突然滅亡したヒッタイト帝国。
その原因は、異民族の侵入によるとされてきましたが、急激な天候異変による飢饉や巨大地震説も有力で、いまだ結論が出ていないそう。
そんな謎がまたロマンをそそるから古代文明は好きなのですが、こういう栄枯盛衰を感じるたびに帰り道では、
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵におなじ。
チーン…
と、中学時代に暗記暗唱させられた平家物語の冒頭が頭に流れてくるのでした。。
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