ポワシーの街☆コルビュジエのサヴォワ邸
随分前から一度は行きたいと思っていたパリ近郊の町・ポワシーにある近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計した“Villa Savoye”(サヴォア邸)。
ポワシー駅からあちこち写真なども撮りながらゆっくり散歩気分で30分ちょっと。
高台の通りに面したサヴォワ邸入口に到着。
中へ入ると木漏れ日が素敵なアプローチ。
気温高めでも湿度が低いので、こうして木陰に入るととても清々しく気持ちいいフランスの初夏。サイコー!
しばらく進んで右に曲がると、
パーンっ!と正面に劇的に現れた建物、サヴォワ邸。
こんな登場のさせ方というか見せ方がすでにドラマチック、これも計算された建て方なのだろうな…と。
大通りからは全く見えず、緑豊かな土地にオブジェのように佇み、ここだけに広がる別世界という感じ。
この建物はピエール・サヴォア夫妻の別荘として1931年に竣工。
私自身は建築についても専門的知識がないので詳細に語れませんが、この建物は「近代建築の五原則」を全て満たした20世紀の最高傑作の一つなのだそう。
「近代建築の五原則」とは、ル・コルビュジエ自身が提唱したもので「ピロティ」「屋上庭園」「自由な設計図」「水平連続窓」「自由な立面」のこと。
建物内に入る前にすぐに気がつく、地上階から上層階部分を支える細い柱。それが「ピロティ」。(フランス語で「杭」という意味)
と言う訳で、五原則をチェックしながら感じながら邸宅内へ。
ピロティで持ち上げた下のスペースは、駐車場などにも利用できるし、雨の日に車で乗りつけて濡れずに家の中に入ることができ合理的。
中に入ってまず感じるのは、曲線と直線使い。
スロープや螺旋階段があり、大胆に広々と空間を使っているので開放感が感じられ、バリアフリーで移動が楽。
そして楽しい。そのへんが自由設計。
そもそも建物が大きく広いのですが、部屋がいくつもあるわけではなく、各部屋をちまちまと仕切っていないので各部屋が一段と広く、すっきりと見えモダンです。
一番広い部屋はサロン。
壁一面をガラス窓にした設計なのでとにかく明るい。
刻々と変わる太陽光の色や季節の移ろいを室内で鑑賞できるようにデザインされ、サロンを囲むように水平連続窓が続き、開放感と光に溢れた空間。
大きな窓からは2階中央に設けられた中庭テラスが見えます。
逆にテラスからサロンを眺めるのも素敵。
窓の多い建物ですが、外の緑、自然に囲まれているのでプライバシーは守られていると言うなんとも贅沢な邸宅。
いったいどんな人がこの家に住んでいたのか?
と気になりパンフレットを確認してみると、ピエール・サヴォア氏はフランス北部出身のブルジョワジー、保険会社のオーナーで、週末用の住宅・別荘としてル・コルビュジエに設計を依頼したのだそう。
平日は都市で働き、週末はそれほど遠くない自然豊かな別荘で過ごす生活は良い気分転換にもなり、素敵な生活だと想像できます。
さて、個人的に建物内で一番気になるのは浴室。
サヴォワ夫妻の寝室の中にカーテンで仕切られた浴室がありました。
長風呂な私としては湯船の出入りを繰り返し、カウチに横たわって雑誌でも読みたいところ。
が、カーテンをガバッと開けたらカウチにマッパな私がいたら夫も驚くよねぇ…な妄想をしながら、
思わず寝転んでその寝心地を確認したくなったけれど、
「座っていないことをありがとう」と。
やはり座っちゃダメでした。
夫婦の寝室からは子供部屋につながっていました。
引き戸のクローゼットも機能的。
家具は基本的には建てつけで、ほかにあまり家具を置かなかったそう。
開放的な大きなサロンから繋がっていたのが、キッチン。
アルミニウム製の引き戸のついた収納棚や配膳台も、住む人の動線を計算して設計されているそう。
美味しいご馳走が作れそうな広々キッチンとイートインダイニング。
それも周囲の緑を見ながらとは優雅。
屋上へ。
屋上庭園は周りに眺めを遮るものがないので、そこに浮かんでいるような感じ。
サヴォワ夫妻は、ここで夏の長い夜に食事をしたり、友人たちを集めてのパーティーなどしたのでしょうか。
屋上に植物を植える、庭にするという発想は、いつか自宅をリフォームする際に参考にしたい!と写真を取りまくり、自然光を取り込むこんな天窓もいい☆
ところで、ル・コルビュジエはインテリアデザイナーとしても高く評価され、あの「コルビュジエチェア」でも知る人は多いはず。
そんな「コルビュジエ」という名前は本名と思っていましたが、これはペンネームで、本名はCharles-Édouard Jeanneret-Gris(シャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ)と言うことを今回初めて知りました。
コルビュジエは1887年スイス生まれですが、フランスを拠点に活躍し、フランス国籍も取得。
フランスの田舎に建つ別荘はクラシックというか、その田舎風景に合った田舎風なものが多い印象なので、こうしたデザインの建物を創造したコルビュジエは、大胆斬新で改めて偉大な建築家&インテリアデザイナーなのだと実感・感心したサヴォワ邸訪問でした。
帰り際に気がついた入口脇にあったのは、管理人と庭師使用の小屋。
サヴォア邸ミニチュア版!?
邸宅訪問好きとしては、すっかり楽しめたサヴォワ邸でした。
そして帰りの電車に乗る前に駅でアイス。
というのもサヴォワ邸から駅までお茶できそうなカフェも見当たらず、休憩できず。
駅の売店で売っていたなんでもないミルクチョコアイスがとても美味しく感じた瞬間♡
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