
森 フォレ☆
舞台『森 フォレ』を観に「世田谷パブリックシアター」へ行って来ました。
ベイルートに生まれ、8歳でフランスに亡命した劇作家で演出家で俳優のワジディ・ムワワド氏の作品である『森 フォレ』は「約束の血 4部作」の第3部。
演出は、上村聡史氏。
お芝居が好きで、ジャンルや劇団に拘らずにあれこれ観劇していますが、本作を含むこのシリーズは私の中では一番(?)シリアス系です。
これまでの作品も、そして本作も命の重さを考えさせる深く重いテーマでした。
必然、偶然、また奇跡的に救われる命がある一方で見捨てられる命がたくさんあることを知ることで、私自身はたまたま平和な時代に平和な国に生まれてこうして生きているけれど、ちょっと時代が違ったり、生まれ落ちる場所が違ったらどんなに悲惨な経験をし、苦しい人生になっていたのだろうか…。
作者であるワジディ・ムワワド氏自身がレバノン生まれで内戦を経験していることから、命を感じるセリフが心に響き、今現在も世界の何処かで争いが起こっていることが悲しくなると同時に、同じ時代に自分も生きていると思うと他人事とは思えず、観ながらも観た後もズーンと重く、心の中で木霊するものがありました。
本作は3幕構成で上演時間も長め。
なので演じる俳優さんたちも大変だと思いますが、単に長いからではなく、観る側も気持ち的な体力が必要で、フニャッとした気持ちじゃ打ちのめされちゃうよ…と感じました。
そしてストーリー構成もなかなか複雑。
母の死により自らのルーツを辿ることになる少女の成長を軸に展開するのですが、現代からベルリンの壁崩壊、第二次世界大戦、第一次世界大戦、普仏戦争、産業革命後のヨーロッパへと遡り、約150年間で8世代と2大陸(ヨーロッパ&カナダ)にまたがる壮大な時空間設定なのです。
会場入口に用意してあるこの構成図を開演前に確認しておくのがマスト!
キャストは、こちら。
成河さんと瀧本美織さん以外は一人二役以上なので、しっかり観ていないとストーリーに置いていかれる?!
ミキプルーンのCMでお馴染みの瀧本美織さんがサイド刈り上げのヘアスタイルに黒の革ジャン&スキニー、真っ黒囲み目アイメイクでCMとは全く違った魅力、カッコよさで少女ルー役を熱演☆
瀧本美織公式インスタグラム(@mioritakimoto_official)より↓
人間一人が生きられる時間的長さはたかが知れていると思うだけに、主人公ルーのように家族を辿り、自分のルーツを知る中で、自分が生まれた奇跡や血の繋がりを超えた人々の思いを知るのは貴重なこと。
長い歴史の中で守られた約束、果たされなかった約束が絡み合い、引き継がれて今の自分が存在していると思うと、私自身も今のこの人生や命を大事に生きなくなくては…と、久しぶりに真面目に神妙に感じ考えるお芝居でした。
キャスト&スタッフのインタビュー等の動画、舞台画像も含め詳しくは、ご興味がある方はオフィシャルサイトを→
https://setagaya-pt.jp/performances/202107mori.html
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パリの1枚。
セーヌ川の水面がギラギラ眩しかった日。
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