Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

物語なき、この世界。

今日も暑い!

そんな日にまたまた渋谷の「Bunkamura」へ。

この角度から建物を見上げるのは初めてかも?!と思いながら夏空を見上げました。

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今回の目的は、シアターコクーンで上演中の『物語なき、この世界。』を観劇するため。

岡田将生さん主演で、この夏楽しみにしていたお芝居のひとつです。

作・演出は三浦大輔さん。

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お芝居は宣伝ポスター等のビジュアルイメージと内容がちょっと違っていたりすることもありますが、本作はこのポスターのまま。

新宿歌舞伎町が舞台で、その様子がステージ上でカラフルに、賑やかに、猥雑に、リアルな歌舞伎町の世界が再現され、まるで自分もその町にいるかのように感じられ、長い上演時間2時間45分を感じさせない面白さでした。

大がかりなセットは、ドリフターズのコントのようにグルっと回り、居酒屋、スナック、風俗店などへ早変わりし、視覚的に目の離せぬ演出満載。

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そのストーリーは、(公式サイトより)

舞台は新宿歌舞伎町。

人々は皆、猥雑なネオン看板が軒を連ねる通りを抜け、突き当たりにある映画館に向かって歩いていく…。

空虚な街並みに抗うように、何かしらの『物語』を求め、歩いていく…。

そこで、『ドラマ』の主人公に憧れる、売れない俳優と(岡田将生)、人生に『ドラマ』を求める、売れないミュージシャン(峯田和伸)が、うらぶれた風俗店で10数年ぶりに邂逅する。

その出会いは、『運命』というには間抜けすぎ、二人のお互いへの想いは、『友情』という言葉で言い表すには、あまりにも軽薄で浅はかだった…。

「自分達の身の上には、『ドラマ』など起こり得ない」唯一、二人を結びつけたものは、それぞれの人生に対する、共通した『諦念』しかなかった…。

そんなとき…二人の身に、わかりやすすぎるくらい、大きな『事件』が降り掛かる。

二人は、たまたま出くわした、とある中年男(星田英利)と争いになり、男を突き飛ばしてしまう。

男の頭からは大量の血が流れ――!! その場に訪れた俳優の彼女(内田理央)、ミュージシャンの友人(榎本時生)、そして彼らを助けるスナックのママ(寺島しのぶ)を巻き込んで、脇役も出揃ったかのように、二人が主人公の『ドラマ』は、いよいよ幕を開けた!かのように見えたが…

二人は、歌舞伎町の街並みを眺め、呟く…。

「そもそも、この世の中に『物語』など存在するのだろうか…」

<主なキャスト>

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事前に舞台内容の予習もなく気楽な気分で出かけた結果、思いのほか観劇後にズドーンとあれこれ考えさせらえることになりました。。

これまで誰の人生も全て自分が主役の物語で、自分に起こる物事には全て意味があり、今に繋がり、これからに繋がってゆくと思っていましたし、実際に世の中で起こることは、ドラマや映画よりもずっとドラマチックなことが多いと感じてきました。

ところが本作を観ていると、途中何度もそれを否定され、自分に起こること、人々に起こること、それら全てはただの出来事、客観的事実にすぎず、それは「物語」ではないということ。

そう思って視点を変えると「確かにね…実際こんなことは物語ではないかな。自分が勝手にドラマにしてるだけ。きれい事にまとめちゃうのもどうかな…」と、ちょっと悟るような冷めるような気持ちが湧いてきて…。

m2106.jpgまた、舞台が新宿歌舞伎町ということもあり、私の知り得ぬことが多く、例えば風俗嬢の心の内、もはや叫び?のような気持ちの吐露は、ある意味ショッキングで、知らない世界を垣間見た…そんな気分にもなりました。

死について考えさせるエピソードもあり、自死する場合、遺書等を残して覚悟して死を迎えるのだろうというイメージをこれまで勝手に抱いていましたが、本作を通じて必ずしも死にドラマチックな意味や理由があるとは限らないのかも?と。

ふとあちらの世界に行ってしまうこともあるわけで、もしかしたらこの世とあの世はそう遠くなく、ちょっとしたきっかけで渡ってしまえるものかもしれない…。

どんな死であれ、それはとてつもなく悲しいこと。

残された人は突然の悲しみと驚きに襲われるものの、実際は死ぬのは突然なことが多く、覚悟や心の整理をして迎えることの方が少ないのでは…。

ちょうど1ヶ月ほど前に中学時代のクラスメイトの男子が当然亡くなったことも重なり、生きること、死ぬこと、自分に起こる全て=人生をどう捉えるかを考えさせる作品でした。

そしてグルッと考えがひとまわりしたところで、私の場合、人生は物語だと思って生きていく!(その方が楽しいから)という結論に達しました…。

帰宅の車の中で、

K「おじさん役だった人、ぼっしゃんそっくりだったね」

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夫「ぼっしゃんだよ」

K「うっそ!パンフレットには星田英利って書いてあるよ」

夫「それ、ぼっしゃんだよ」

K「芸名変わったとは知らなかった…」

*********

パリの1枚。

パン屋さんでおまけに買ってしまうものNo.1と言えば、今も昔もこれからもシュケット♡

もちろん帰宅まで待てないシロモノ。買った直後にまず2個はいただく♬

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☆Belle et Bonne Blogも絶賛更新中☆
 

 

<info>
物語なき、世界。(公式サイト)

 

KEICO

新潟県の旅館に生まれるも女将にならず、上京、進学、就職、まさかの出逢いと結婚。
約10年間のOL生活の後、2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆


そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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