
ウェンディ&ピーターパン☆
できる限りの新型コロナウイルス感染防止対策をしてBunkamuraオーチャードホールへ。
観劇前にラデュレでケーキでも?とダメもで夫を誘ってみたけれど、やはりダメ。
予想通り全く乗らず却下。
窓越しから見えるお客さんは若い女性ばかりだったし、入っても落ち着かず、浮きまくるのは明らかだったけれど…。
この日、観劇したのは、黒木華さん&中島裕翔さん(Hey! Say! JUMP)がダブル主演を務める『ウェンディ&ピーターパン』。
私の中では、「ピーターパン」と言えばディズニーと子供の頃に観たミュージカルが全てで、パーっと斜めにピーターパンが空を飛ぶ、そのシーンだけがやたらと強烈。
そして、それは子供向けのお話だと思っていました。
(キャスト画像は『ウェンディ&ピーターパン』オフィシャルサイトより)
ですが今回のお芝居は、世界的に有名なスコットランドの作家ジェームス・マシュー・バリーの『ピーターパン』を基に、現在イギリス演劇界注目の若手作家兼演出家のエラ・ヒクソンによって、ウェンディの視点から翻案された作品。
ざっくりなストーリーは、(ネタバレしません)
舞台は、1908年のロンドン。
ダーリング家の子供部屋で幕が上がりました。
そこでウェンディ(黒木華)、ジョン(平埜生成)、マイケル(前原滉)、そして体の弱いトム(下川恭平)は戦争ごっこをしながら部屋中を飛び回っている。
そこへ両親であるミスター&ミセス・ダーリング(堤真一、石田ひかり)が入ってきました。
その一家団欒の様子は絵に描いたような幸せ家族。
ところが、その夜に発熱したトムは容体が悪くなり、皆が寝静まった頃、子供部屋の窓からピーター(中島裕翔)がやってきてトムを連れ去っていきました。
それから1年後、ウェンディはトムがいなくなったことが受け止められず、両親の間もギクシャクしてきて、幸せ家族だったダーリング家がバラバラな様子に…。
そんな頃、再び子供部屋にピーターパンが現れました。
驚くウェンディはジョンとマイケルを叩き起こし、トムを探すためにネバーランドへとピーターたちと共に旅立ち、冒険が始まる。
数々の冒険の後に、ウェンディたちが得たものは…。
物語の流れは、誰もが知る「ピーターパン」で、ピーターの描写も原作小説に近く、無邪気で楽しいことが大好きな少年。
ですが、子供ならではの素直さや身勝手さは、時々残酷。
トム(←原作にはいないキャラ)がいなくなったことから伺う死生観や、そして何より原作と異なるのは、ウェンディと母のミセス・ダーリングはじめ、ティンク(ティンカーベル/富田望生)やタイガー・リリー(山崎紘菜)の4人の女性たちの描かれ方でした。
当時の女性はこうあるべきという世界から自ら飛び出して新しい世界、社会へ繰り出していく強さ、賢さ、明るさが気持ちよく、女性ならではの嫉妬や意地悪?もある中で、各々が成長していく様子は、観ていて大人向けストーリーに感じました。
お話は全く違いますが、私の中では大人になって読むとまた深い「星の王子さま」に通じるものも少し感じました。
舞台には大きな海賊船が出てきたり、みんなで大暴れな殺陣シーン、もちろんピーターパンは何度も空を飛びまくりで、視覚的にはミュージカルを彷彿させる派手&華やかさ。
主演のお二人の好演はもちろん、ウェンディのパパとフック船長の二役の演じた堤真一さんはいずれもハマり役。
個人的には同年代の石田ひかりさんがおもいっきりママ役で、急に自分の実年齢を客観的に感じてしまったけれど…。
鑑賞後、そもそも原作「ピーターパン」が子供向けと思うのは思い込みや先入観のせいかも?な気がしてきました。
なぜなら大人になりたくない、いつまでも子供でいたいという発想が大人ならではの思考?!
逆に子供の頃は、自分の子供時代を振り返っても母や祖母にいちいち注意されることがイヤで、早く大人になりたいよ〜と思っていたような。。
改めて大人になるほどに永遠の子供ピーターパンに憧れる気持ちがわかる『ウェンディ&ピーターパン』でした。
と同時に、どの世界でも女性の活躍が期待される未来を感じさせてくれた新しい「ピーターパン」物語でした。
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パリの1枚。
夕焼けの空に貴婦人が一人入るだけで絵になる…。
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