
父のお菓子物語☆
夕方、帰り道に近所のパティスリーに立ち寄りました。
私の前にいたのは、スーツを着た会社帰りと思しき若い男性。
ショーケースを前にかなり真剣な様子、そしてお店の方に「このケーキは?隣りのは?こっちは?」と全てのケーキについて詳細を確認。
あまりケーキを買うのに慣れていないみたい、詳しくて慣れている人の方が少ないか…。
そんなことを思いながら隣りで私もケーキの説明を聞いていました。
そしてその男性は3つのケーキを選び、会計の際に「あ、これもお願いします」と指差したのは、ナンバー「3」の蝋燭でした。
あ〜、今日は子供の誕生日なのね。
きっと奥様に「帰りにケーキ買ってきてね!」と言われて、ここに立ち寄ったのでしょう。
大事にそうにケーキを受け取る姿に、その夜の幸せなお祝いシーンが想像でき、なんだか幸せをお裾分けしてもらった気分になりました。
心の中で、Bon anniversaire!
そんな帰り道、私もふと思い出したのが、父とのお菓子な思い出。
東京に単身赴任をしていた父が時々って買ってきてくれるお菓子は、私や母、祖母の楽しみでした。
と言っても私は毎度がっかりの連続。
当時はまだ餡子が苦手だったので和菓子は基本的にNG、好きなのはチョコレート、カスタード系。
なのに買ってくるのは、どら焼き、月餅、駅ナカの催事で買ったらしい赤福等々。
(今じゃ餡子好き、どら焼き大好き↓)
今思えば、私向けではなくて母向けだったのか?!と思うものの、子供心、乙女心のわからん人だな…と思っていました。
(餡子にバターを合わせるとは罪なお味。ちょっとレンチンすると美味しさアップ↓)
そんなある日、今でもはっきり覚えているのが高校1年生の12月の冬休み。
家に友達・サトちゃんが遊びにきていた日のこと。
こたつに入りながら、高2から理系と文系どっちいく?な進路相談トーク。
K「私は理系は無理、物理は取らないから必然的に文系」
S「私は数学が好きだから理系」
K「サトちゃん、、数学が好きってどういう思考回路なの…?」
S「答えがスッキリ出るから気持ちいいよ。古文とかやって将来なんか役に立つ?」
K「まーね。でも知ればおもしろ!みたいなとこあるしね」
S「そうそう、先輩の話だと化学(の先生)がハヤシになるとヤバイらしいよ。すごい厳しくて、毎回小テストがあるんだって」
K「マジで…。文系でも化学はマストだしね。ハヤシにならないことを祈る!」
(そして迎えた高2の春、私の化学担当はまんまとハヤシ…。噂以上に大変だった)
そんな話をしているところに父がお土産を持って登場。
手にしていたのは、それまで見たことがないほど大きくカットされたプルプルの「わらび餅」。
わらび餅とはまた地味な…と思いながら食べたら、うっま!!
ひんやりと美味しく、きな粉好きの私は悶絶。
そしてサトちゃんも
「こんなに美味しいわらび餅食べたことがないよ。さすがけーちゃんのパパだね」
と喜んでくれ、美味しい上に父を褒められたことが嬉し恥ずかしな瞬間でした。
先日そんなことを思い出し、今日はデパ地下で「浅草梅園」のわらび餅を買い、とても美味しくいただきました。
父が、パパが、お父さんが家族のために買ってくるお菓子っていいものだなと、今はとても懐かしく感じます。
きっとそれぞれの家庭に「父のお菓子物語」があるのだろうな…と思います。
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パリの1枚。
紅葉が額装みたいだったエッフェル塔。
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