
毛皮のヴィーナス
8月20日よりスタートした二人芝居『毛皮のヴィーナス』を観劇すべく、世田谷パブリックシアター・シアタートラムへ行ってきました。
お芝居好き、映画好きでご存知の方も多いと思われる『毛皮のヴィーナス』は、“マゾヒズム” の語源にもなったオーストリアの小説家レーオポルト・フォン・ザッヘル=マゾッホの小説から想を得て、アメリカの劇作家デヴィッド・アイヴズが舞台化し、2010年にオフ・ブロードウェイにて初演、その後ブロードウェイでも上演され、更に2013年にあの(!)ロマン・ポランスキー監督が映画化(La Vénus à la fourrure)した作品です。
という訳で、日本で上演(演出・五戸真理枝さん)と知るや、これは観ねば!と思っていた1本。
(どうでもいいことですが、このレンガな壁も好きなシアタートラム↓)
そのお話は、マゾッホの背徳小説『毛皮を着たヴィーナス』を舞台化しようとしている演出家と、その作品のヒロイン役のオーディションに現れた謎の女優ヴァンダとのやり取りを描いたストーリー。
本作は、演出家トーマス役を溝端淳平さん、女優役を高岡早紀さんによる二人芝居。
理性と本能、色と欲に迫りスリリング且つミステリアスで、グイグイとその物語の中に引き込まれました。
いつも通りネタバレなあらすじは、割愛ですが、
オーディションにやってきた女優のそのハスッパ、ビッチな雰囲気から全くヒロインのイメージにそぐわないと思ったトーマスは、早々に彼女にダメ出しだったのですが、渋々オーディションをすることに。
ところが役に入った彼女は、ヒロインそのもの?!
偶然にも(作品的にはもちろん意図的)ヒロインの名前とオーディションにきた女優は同じ名前=ヴァンダ。
演出家と女優として熱く語り合いながら作品作りに没頭するも、いつしかお芝居とリアルな二人が交錯し出し、戯曲の中の登場人物達が活き活きと動きだし、どっちが本当?!な世界に。
高岡早紀さんのクルクル変わる女性像は、まさに女優!
こんな風にたくさんの女を、人生を、生きられることに軽い憧れも感じてしまいました。
また舞台では初めて観た溝端淳平さんからも目が離せずで、声がなんとも素敵!
たくさん持っている声色のどれもが心に響く。
例えば女性を演じたシーンでも甲高い声や品を作る動きをしなくとも、衣装は男性のままでも、そこに立っているのはマダム!でした。
(世田谷パブリックシアター公式サイトより↓)
自分の無意識の中にある支配したい、されたい、な願望や人の本音・本質が炙りだされ、また昨今のジェンダー平等の問題を考える上でも刺激的だった、まさに「毛皮」(毛皮に感じるエクスタシーに、ちょっとゾゾっときた)の「ヴィーナス」でした。
繰り返し観るたびに新しい気づきがありそうで、これは今後も機会があれば観劇したい作品です。
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