
騎馬スペクタクル・Zingaro(ジンガロ)の新作☆
今年30周年を迎え、13作品目となる新しいプログラム"On achève bien les anges (élégies)"
を発表した"Zingaro"(ジンガロ)の公演へ行ってきました。
場所はパリ郊外のオーベルヴィリエの専用劇場☆
サーカス小屋っぽさと移動遊園地が混ざり合ったような雰囲気、ジプシーの馬車風の
トレーラーなどが広々とした敷地内に置かれた、ここにしかない世界観がユニークな劇場。
Zingaro(ジンガロ)は、フランスが誇る人馬スペクタクル集団。
その存在を私が知ったのは、やはりパリ暮らしがきっかけの十数年前。
シラク元大統領が「フランスが誇る芸術」と賞賛した騎馬舞台芸術であることと、元馬術部で
大の馬好きの夫の影響で度々劇場に足を運ぶようになりました。
そして今年、約5年ぶりの待望の新作"On achève bien les anges (élégies)"上演ということで
早くからとても楽しみにしてました。
(舞台画像はジンガロオフィシャルサイト、公式プログラムより)
Zingaro(ジンガロ)の舞台は台詞はなく、幻想的な音楽と照明の演出に合わせて人馬一体で
織りなす独特のパーフォーマンス芸術。
馬と人の知性と想像力が融合し、「演劇」と「音楽」、「舞台」と「美術」が渾然一体となった
斬新な芸術世界を創出する騎馬スペクタクルなどと言われ、フランンス国内はもちろん
ヨーロッパで大変人気があります。
劇場へ到着したら、まずは隣接のテント小屋の中へ。
そこにはもう開演を待つたくさんの人!
壁や天井にこれまでの上演作品で使われた衣装や道具が所狭しと展示されています。
日本やアジアをテーマした演目も過去にはいくつかありました。
壁には歴代の宣伝ポスター、関連グッズの販売。
そしてこのテント内では簡単な軽食を食べることができるので、皆さん早めに来てワイン片手に
楽しく食事です。
という訳で私もワインとサンドイッチをオーダー♫
とても簡単なオーダーなのに時間がかなりかかりました...。
というのも、フランス人は比較的暗算が不得手な人が多い。。
計算が遅く、しかも間違えることも日常生活の中ではよく経験します。
ここでも計算が遅く、計算する度にお客さんに「合計が違うよ」「おつりが違う」と。
そんなことが何度も繰り返されているものの、販売員さんが陽気に明るくて、お客さんも
楽しみな公演前なので、そんな計算間違いぐらいでピリピリすることもなく、一緒になって
笑い合うというなんとも和やかムード。
私はおつりがいらない用にお金を用意して待ち、
「計算ぴったりだから、おつり不要です!」と、渡すと
「ありがとう!サービスしておくよ!」と、グラスいっぱいにワイン注いでくれました♡
こうして賑やかに待っていると突然テントの一角が開き、白塗りピエロの音楽隊が登場。
そして一曲演奏した後に驚いたのが、その音楽隊は入っていた小箱のような部屋ごと
テント外の宙高くにクレーンで運ばれて去っていってしまった...。
楽団が去った後、そこには劇場へ続く通路が現れ、
「では皆さん劇場へ移動です!アナウンスに従ってシート番号○〜○番人は進んでくださーい!」
の指示に従って移動。
なんだかちょっとディズニーランドっぽい感じも?!
(追記:ライトアップもされ、この当時は撮影可でしたが後に撮影禁止になりました)
席につくまでの渡り廊下の下には厩舎があり、たくさんの馬がスタンバイ中。
劇場は円形で、ステージには砂が敷き詰めれ、昔の映画で見るサーカス小屋のような雰囲気。
最前列は砂を被ることもあるので、2列目以降がオススメ。
ところで、このZingaro(ジンガロ)の制作・演出・オーケストラシェフ・馬調教師などすべてを
取り仕切るのが主宰者 Bartabas(バルタバス)氏。
本名、年齢などプロフィールを明かしていないミステリアスな方で、馬の気持ちがわかり、
馬と話すことができる、フランスでは「現代のシャーマン」とも言われています。
そして「ジンガロ」とは "放浪の民"の意味だそうで、その名前の通りに様々な国籍をもつ団員と
馬、ガチョウや七面鳥、音楽隊がパリを拠点に主にヨーロッパ各地を移動しながら公演しています。
先日見たドキュメンタリー映画"Le Caravage"で、バルタバス氏と馬が24時間生活を共にしている
様子を観て、ここまで人と馬が親しくなれる、信頼関係を築けるものなのか...と驚きました。
とにかく驚くのは馬が無理に演技をしている感が全くなく、人と対話をするように自然に動くのです。
ムチもなく、声もなく、馬が主体性を持って演じている感じ。
新作"On achève bien les anges (élégies)"は、Tom Waitsのハスキーでエレジーな音楽の中で
天使たちと馬たちが天国と地獄、生と死、をジンガロらしくポエティックでファンタスティックに
魅せる素晴らしい舞台でした☆
公演後は、劇場外のキャンプファイヤーのような炎で心身ともに温まるのですが、この炎がまた
ドラマティックで公演後の余韻に浸れます。
何回でも観たい魅惑のジンガロ公演、確かにフランスの誇る生きた芸術だと思います。
おまけのパリは「Mr Kristmas 」をBelle et Bonneで
⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-814.html
à demain(^.^)/~~
<info>
Théâtre Equestre Zingaro
176 Avenue Jean Jaurès, 93300 Aubervilliers
01 48 39 18 03
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