Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

カラヴァッジョ展☆国立西洋美術館

気になっていた「カラヴァッジョ展」に行ってきました!

seiyo.jpg

場所は、世界文化遺産に登録される見通しというニュースで話題の東京・上野の

国立西洋美術館」。

この美術館が「近代建築の巨匠」と呼ばれたLe Corbusierル・コルビュジエ)氏

の設計だとは知りませんでした...。

DSCN11553.jpg

38歳で没したMichelangelo Merisi da Caravaggioミケランジェロ・メリージ・ダ・

カラヴァッジョ)の現存する真筆は60点強と言われているそうで、その多くは

イタリア国内にあります。

そのうち今回11点が来日、合わせてカラヴァッジョの画法を模倣し継承した同時代及び

次世代の「カラヴァジェスキ」と呼ばれる画家達のたくさんの作品の展覧会☆

vacance2013.jpg

私がカラヴァッジョの絵に興味を持ったのは3年前の夏、ローマでバカンスを過ごした時。

ざっくりなカラヴァッジョの人生については、その時のブログに記しているので

ここでは割愛。

(関連ブログ⇒ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/archives/post-52.html )

図録では伝わりきらないカラヴァッジョの本物の絵を観た時は、とにかく衝撃的でした。

CaravaggioEcceHomo.jpg

(エッケ・ホモ)

*Ecce homoはラテン語で「この人を見よ」という意味で新約聖書の一節。

カラヴァッジョは、それまでの絵画界にあった「絵画=美を楽しむ」を一掃して

西洋絵画史の流れを変えた画家と言われています。

それは衝撃的なシーンを、よりドラマティックに描き、一度観るだけで忘れがたいものばかり。

selfp.jpg

(カラヴァッジョの肖像画 作者不明)

この肖像画を見ても、なんだかちょいワルな匂いがしてきそうですが、今回の展覧会でも

カラヴァッジョの犯罪歴を証明する資料がいくつか展示されていました。

彼は、仕事が早いけど喧嘩っ早い(>_<)

暴行、脅迫、器物破損、公務執行妨害、名誉毀損、武器不法所持、最後は殺人

まで犯すという犯罪歴。。

ちょいワルどころか、かなり悪い(=_=)

780px-Caravaggio_(Michelangelo_Merisi)_-_Good_Luck_-_Google_Art_Project.jpg

(女占い師)

企んでる風な占い師と騙されそうなお坊ちゃま。。

Caravaggio5.jpg

(同じタイトルの絵がパリ・ルーヴル美術館にあります。

ほとんど同じ絵だけど光の違いが面白い。)

ただ、画家としての才能が天才的だったからか、罪を犯しても庇ってくれる人

や助けてくれる人(だから脱獄も成功...)、パトロンには不自由しなかったと。

粗暴で無頼、そんな人が近くにいたら嫌だけど、、でも彼の絵を観るとその絵の

魅力には抗えないというか、他に似たような雰囲気のカラヴァジェスキ」の

絵が隣りにあっても、作者を確認しなくとも足が止まって長く見入ってしまうのは

カラヴァッジョ作品でした。

Caravaggio_(1593).jpgのサムネイル画像

(果物籠を持つ少年)

ちょっと中性的な雰囲気を持った少年の初々しさと果物の初々しさ。

少年の顔よりは、その果物籠の静物画の美しさに注目でした。

カラヴァッジョ自身は人を傷つけてばかりの困った人なのに、、絵には粗野な

ところが感じられず、むしろ高貴な雰囲気を持つものがばかり。

そんなギャップが面白くも感じます。

Caravaggio2.jpg

(メドゥーサ)

たくさんの画家がメドゥーサを描いてますが、その恐ろしい蛇髪と首からの血、

今にも叫び声が聞こえてきそうなカラヴァッジョのメドゥーサは迫力大。

そしてなんだかリアル。

caravaggio3.jpg

(エマオの晩餐)

カラヴァッジョの絵の魅力の一つはやはり明暗効果。

暗さと一条の光、スポットライト加減が絶妙。

そしてまるで自分が絵の中にいるような、その場にいるような気持ちにさせる臨場感。

 Caravaggit1.jpg

法悦のマグダラのマリア

本展の目玉!

この絵が観たくて今回足を運んだのですが、この作品は長い間行方不明とされていた

もので、2014年に発見されたばかり! 世界初公開です☆

カラヴァッジョが殺人を犯してローマを逃亡し、近郊の町で身を隠していた1606年の

夏に描かれたもので、その4年後の1610年、彼がイタリアのポルト・エルコレで

不慮の死を遂げた時、彼の荷物に含まれていた「1枚のマグダラのマリアの絵」が

これであると考えられているそうです。

科学調査を受け、カラヴァッジョ研究の世界的権威である ミーナ・グレゴーリ氏が

本作を"カラヴァッジョ真筆"と認定。

上の画像では光の感じがうまく出てませんが、左上の赤っぽい光がなんとも幻想的で

エクスタシーを感じているマリアは他の絵画ではななかなか観ることのない独創性が

感じられる魅力的な作品でした。

caravaggio7.jpg

(トカゲに噛まれる少年)

絵画では笑った顔よりも泣き顔や驚き顔を描くのが難しいと言われますが、その一瞬を

捉えた感じがユニーク。

決して健全ではなく、後半は犯罪を犯しては逃亡の繰り返しだったというカラヴァッジョ

の人生とその作品たち。

以前読んだ本の中にあった一節、「彼の犯罪がエスカレートする程に彼の絵の中の闇は

一層濃くなり、光は神聖さを増した」という言葉を思い出しながら、きっともうすぐ

世界遺産登録!の国立西洋美術館でのカラヴァッジョ鑑賞を楽しみました。

 

おまけのパリは、「3世紀分のモード展Belle et Bonneで☆

⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-983.html

à demain(^.^)/~~

<info>

国立西洋美術館

東京都台東区上野公園7−7

03-3828-5131

http://caravaggio.jp/index.html

*カラヴァッジョ展は、2016年6月12日まで


KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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