Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

お前の口にくちづけしたよ、

両手で生首を掴み、首からしたたり流れる血。

その血は地面を黒く染め、池となり、そこからユリの花が咲こうとしている...。

そして女は言う、

「お前の口にくちづけしたよ、ヨカナーン、お前の口にくちづけしたのだよ。

お前の唇は苦い味がした。血の味なの? いや、きっと愛の味よ。」

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なんてファムファタルなセリフなのッ!

言ってみた〜い、言わせて!! 

という訳で声に出して言ってみた、ヨナカーンの部分は昔振られた男性の名前にして...。

これは、Oscar Wilde(オスカー・ワイルド)の戯曲『サロメ』でサロメの言葉。

そして上のイラストは、その『サロメ』のために、Aubrey Vincent Beardsley

オーブリー・ヴィンセント・ビアズリーが描いたもの。

この作品を始めとするオーブリー・ビアズリー作品を集めた展覧会へ行っていました。

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19世紀末のイギリスで脚光を浴びた夭折の鬼才オーブリー・ビアズリー

彼は日本美術、特に浮世絵からも学び、6年に満たない創作期間に数々の傑作を残しました。

中でも代表作で、最高傑作とも言われるのが『サロメ』の挿画。

本展は、大正時代に彼の作品の影響力を受けた日本人アーティストの作品と合わせて

ビアズリーを軸に、英国と日本を往還した美の交流を約270点の作品により概観する

というもの。

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場所は、新潟県立万代島美術館

という訳で、先週帰省した際に只今開催中の「ビアズリーと日本」展へ行ってきました。

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オーブリー・ビアズリーは、1872年にイギリス南部ブライトン生まれ。

父は金銀細工師、母は裕福な中産階級出身で、幼少時から父親から工芸技術を、

音楽の家庭教師の母親から音楽教育を受けたそう。

6歳から絵を描き始め音楽の才能にも恵まれたものの病弱で、結核を発症し、

25歳の若さで亡くなっています。

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オーブリー・ビアズリー《 孔雀の裳裾》
『ビアズリーによるオスカー・ワイルド著「サロメ」の挿画のためのドローイング集』

作品を観ながら彼の略歴を追いながらの鑑賞は、黒と白の世界。

その細かい髪の毛ほどの細さで描き込まれたイラストは、鋭く妖しくポエティック。

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オーブリー・ビアズリー《 黒いケープ》
『ビアズリーによるオスカー・ワイルド著「サロメ」の挿画のためのドローイング集』

19世紀末のイギリスで活躍したビアズリーの作品には、時代の空気感?というか、

世紀末なちょっと不気味な怖さや退廃的なオーラも感じます。

また、モノトーンなファッションが好きな私には、この黒と白で描かれる女性の

ファッションも素敵に見えるもの多数ありました。

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オーブリー・ビアズリー《 ヨカナーンとサロメ》
『ビアズリーによるオスカー・ワイルド著「サロメ」の挿画のためのドローイング集』

黒のドローイング作品は、日本の浮世絵からの影響が大きいと言われています。

私が一時大好きだったアール・ヌーヴォーの曲線も感じる...

と思ったら、ビアズリーは、アール・ヌーヴォーの発展においても多大な影響力を持ち、

他の画家たちが次々とそのビアズリースタイルを模倣し、アール・ヌーヴォーを

展開したことから、アール・ヌーヴォーの創始者の一人として位置づけられている

と知りました。

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水島爾保布(みずしま におう)谷崎潤一郎著「人魚の嘆き」挿画

そして今回、ビアズリー以上に私の中ではインパクトが大きく心の残ったのは

彼の影響を受けた日本人の一人、水島爾保布(みずしま におう)の挿絵。

人魚の絵はどれも耽美!

まさに谷崎の小説にぴったりなイメージです。

サクサクとビアズリー作品を鑑賞してきたあと、水島爾保布(みずしま におう)という

今回知った画家の、この人魚シリーズの前からしばらく動けず...。

これまた黒と白の世界なのに、色の美しさとは別の綺麗さで見惚れました。

夫「急がないと、もう新幹線の時間だよ!」

の声で現実に戻り、慌てて新潟県立万代島美術館を後にしました。

おまけのパリは、「サマーコフレでコラボBelle et Bonneで☆

⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-993.html

à demain(^.^)/~~

<info>

新潟県立万代島美術館

新潟県新潟市 中央区万代島5−1

025-290-6655

http://banbi.pref.niigata.lg.jp/

*「ビアズリーと日本」展は2016年06月26日迄

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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