オルセー美術館でドガ・ダンスデッサン展☆
只今Musée d'Orsay(オルセー美術館)で開催中の“Degas Danse Dessin. Hommage à Degas avec Paul Valéry”(ドガ ダンス デッサン:ポール・ヴァレリーによるドガへのオマージュ展)を鑑賞に行ってきました。
本展はドガ没後100周年を記念したもので、フランスの小説家で詩人のPaul Valery(ポール・ヴァレリー)の著書『ドガ ダンス デッサン』に基づき、画家と作家の緊密な交流に焦点を当てた展覧会。
オルセー美術館の常設コーナーで繰り返し観てきた印象派画家ドガ(Edgar Degas エドガー・ドガ)の作品。
その多くは、踊り子(バレリーナ)だったので「ドガ=踊り子の画家」という、なんとも単純なレッテルを貼って観ていました。
印象派とはいえ自然光が美しい風景画はほとんど描かず、ステージやカフェなど室内で人工的に作れらる光と空間を描いた作品は、個人的には特別好きでもなく、嫌いでもなく、という感じでした。
(ポール・ヴァレリーのハガキ&切手)
ポール・ヴァレリーは20世紀のフランスを代表する偉大な知性として認められている大詩人。
(恥ずかしながらそんな有名詩人とは知らず、作品も読んだことがないのですが…)
ドガとヴァレリーは40歳近く年齢は離れていますが、両者の芸術観は一致し、20年以上に渡り親密な交流を続け、友情を育んだそう。
(↑1938年出版のオリジナル。ドガの没後に出版。)
出版当初から絶賛されたという、本展のタイトルにもなっているヴァレリーの“Degas Dance Dessin”(ドガ ダンス デッサン)。
この中でヴァレリーはドガの絵画の中にある動きのモチーフを分析、賞賛しています。
本展は詩人ヴァレリーがドガへの賛辞を込めたオマージュの視点からドガ作品を鑑賞するというものだったので、まるでヴァレリーが案内人でドガ作品を説明、紹介してくれるような感じでした☆
似てる…と、思わず前のめりになってしまった理由は知り合いのソムリエに似ていたから。
って、、これはドガの自画像。
父は貴族の家系で銀行家、母はニュー・オリンズの裕福な実業家の娘という裕福な家庭に生まれ、芸術愛好家の父の元で芸術に囲まれて育ったドガ。
プライドが高く、皮肉屋で友人は少なめ。また、女性に対してはとても引っ込み思案だっとか?!
肖像画を見ていると、そんなちょっと気難しさ、育ちの良さ、オクテ?な感じがなんとな〜く伝わってくる気がしました。
人の身体の骨格や筋肉の動き方を研究していたドガは、たくさんの彫刻も制作しています。
バレリーナの稽古中や休憩中、バックステージのシーンを多く描いるので、その偶然の一瞬を即興的にサッと描いたのだろうと思い込んでいたのですが、ドガはこうして自ら彫刻も作り、いろんな角度からバレリーナの動き、ラインを観察・研究し、何度も何度もデッサンを繰り返したそう。
これもまた本展のタイトルに繋がるダンスデッサンの数々。
アイロンをかけながらあくびする女性や水浴シーンなど、まるで日常のスナップ写真のように描いているのに、実はそれは何度も考察されたライン、見つめる角度、繰り返したデッサンの賜物。
ヴァレリーのコメントを追いながら、ドガが偶然の一瞬に惹かれ、それを描くためにたくさんの時間を費やされたこと知りました。
面白かったのは、たくさんの彫刻がS字に流れる動きとして展示されていたこと。
それはまるで連続写真。
一つ一つのポージングもとても美しい。
こちらは馬の彫刻の連作。
エドワード・マイブリッジの写真集「動物の運動」に影響を受け、馬の連続写真を作品作りの参考にしたそう。
ドガ曰く、「馬と踊り子は似ている。なぜなら馬は蹄(ひずめ)で走るのだから。」
そう言われると確かに馬の軽やかなステップは、バレリーナように優雅でしなやか、爪先立ちっぽい。
馬もバレリーナも共通して一つ一つの動きが美しい。
ドガの描いたその一瞬の美しさは偶然ではなく、ストイックに追求して表現したもの…と本展を通じて感じることができ、今後はドガ作品を見る目がかなり変わりそうな気がしました。
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Musée d'Orsay(オルセー美術館)
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