
ポンピドゥーのセザール展☆
只今パリ4区、Pompidou Centre(ポンピドゥーセンター)で開催中のCésar(セザール)展へ行ってきました。
20世紀後半に活躍したイタリア系フランス人彫刻家で現代アーティストのCésar Baldaccini(セザール・バルダッチーニ)の回顧展です。
センター前に設置されたセザールの代表作の一つ、ゴールドの巨大親指と一緒に記念撮影する人は絶えず。
でもそんなに有名で人気のアーティストなんだろうか…?
とんと現代美術に疎く、馴染みのない私にはちょっとピンと来ない気持ちで会場へ入ると、
想像以上にたくさんの人で賑わっていて、本国フランスでは人気のアーティストなのだと思い知らされました。
1921年に、セザールはマルセイユにイタリア系の両親のもと生まれ、貧しい暮らしの中で美術教育を積み、第二次世界大戦後から創作活動を開始。
高価な大理石やブロンズの入手が難しい中、彼が目をつけたのは工場などから出る鉄くずなどの廃棄物。
セザールはこうした廃棄物を人物や動物などの彫刻へと昇華させ、その独特の作品は絶大な支持を受け、一躍人気アーティストに☆
工場で大型プレス機を目にしたセザールは自動車をプレス機で圧縮した作品を発表し、彫刻の既成概念を大きく塗り替えました。
コンプレッション作品は巨大な四角の金属塊に姿を変えた後も、その色彩や断片、部品の一部から自動車がイメージできるところが面白く、シリーズは代表作の一つに。
廃棄されていたものが、全く違った形で蘇ることの意味と面白さ。
セザールによって命を吹き込まれた作品を見ていると、時代に先駆けリサイクルというものにいち早く気がついた人なのだなと思うし、私自身の生活の中でも何でも簡単に捨ててゴミにする以前にリサイクルやリメイクを考えてみよう…そんな気持ちも湧きました。
最初はガラクタのように見えていたのに、言葉や説明がなくても、その素材とユニークな形から自由に想像できるメッセージ性は強烈で、見ているうちに次第に面白くなってきました。
スクリーンには実際のセザールの制作風景が写し出され、その大がかりな力仕事的な作業もおもしろかった。
会場内に色違い、サイズ違いでたくさん展示されたいた親指ですが、これはセザール自身の指を型取りしたものだそう。
そういった作品群を鑑賞しながら自然光が差し込む大きな窓の外にはパリの街が広がっている。
作品と風景をこんな風に眺められるポンピドゥセンターの展示スペースは改めて贅沢で、素晴らしいと感じ入ります。
ところでセザールと言えば、私にはアーティストよりもフランスのアカデミー賞的な権威ある映画賞の「セザール賞」が真っ先に浮かぶものだったのですが、思いきり関係がありました!
その映画賞で贈られる、四角いちょっとトロフィーっぽくないと思っていたトロフィーを制作したのが、このセザール・バルダッチーニだ、と知って納得&スッキリして会場を後にしました。
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Pompidou Centre(ポンピドゥーセンター)
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