
旧齋藤家別邸☆
たゆたゆと流れるセーヌ川(?)
にはどうにも見えないけれど、川が流れる風景は豊かさを感じられるので好きです。
新潟市に流れる信濃川。
数日前の雨の影響か水量が多く、いつもよりたゆたゆ感が増して見えました。
という訳で只今春の新潟帰省中。
気持ちよく晴れあがった週末、初めて「旧齋藤家別邸」へ出かけました。
齋藤家は、新潟の三大財閥のひとつに数えられた名家。
屋号は「三国屋」で、その先祖は越前国三国港から移住したと言われています。
幕末に家業の清酒問屋から事業を発展させ、明治時代に日本海を航行した北前船経営に本格的に取り組み、海運業で財を成した地方財閥。
「旧齋藤家別邸」は衆議院議員・貴族院議員を歴任した4代目斎藤喜十郎が大正7年に建てた別荘で、2009年から新潟市により公有化され、こうして一般公開☆
(外が明るいので室内が暗めに写ってしまいましたが)
まずは1階主屋を入ってすぐの大広間からのワイドな庭の眺めに「うわー!」と感激。
庭の樹木は約1000本、70種類。
今は新緑の緑がそれはそれは美しい!
たくさんの部屋があり、廊下も階段もツルツルでピカピカ。
古い家をこうして綺麗に保持するのは大変ことだと感心もしながらのお屋敷探訪。
畳の生活から縁遠くなっているので、バーンと綺麗に広がった畳とほんのり香る井草の香りに気持ちが癒される。
旧き佳き日本家屋らしい造りの中で部屋の装飾は華美ではないけれど、細部にこだわりが感じられ素敵。
襖絵の色も鮮やか。
ちょっと暗めの廊下の先に突如明るさを放っていた孔雀絵。
西洋絵画を観る機会はあるものの、掛軸はまだまだ。
将来は掛け軸や仏像、書をじっくり鑑賞する時間を持ちたいところ。
四畳半茶室からの眺め。
大広間からの眺めとは一変、あえて庭の池が見えない造りにすることで、まるで山中の趣きとなるよう工夫され、ひなびた草庵の風情を演出。
ちょうど今の時期は五月人形が各部屋に展示中。
大きな土蔵の中では新潟の佐藤家所蔵の五月人形を展示。
カッコイイ兜。
とりわけ素晴らしかったのは、2階主屋からの眺め。
空に浮かんでいるように庭の木々と大空を眺められるパノラマはカメラのフレーム内にどうにも収まりきらずでした。
こうして庭を眺めているだけで時間を忘れる…。
お屋敷内でのんびりした後は、砂丘地形を利用して造られた池泉庭園へ。
池には綺麗な鯉が優雅に泳ぎ、
敷地内には田舎家、雪見灯篭、大灯篭、層塔、茶室「松鼓庵」などが点在。
砂丘地形を巧みに利用し、都会でありながら深山幽谷の趣きを仕立て、滝や尺流れ、池泉と行った水辺空間の回遊式庭園は、実際に深い山の中にいるように静かで、空気が美味しく感じられる。
涼しげな音を立てる大滝、
苔も美しく、庭園内には多くのモミジの木があったので紅葉の季節も相当に綺麗だろうと思いました。
庭園と建物を一体と捉える「庭屋一如」の趣向で造られた開放感のある別荘。
随所に感じる趣きと遊び心は、ここが本宅ではなく「別荘」だからなのかも。
忙しい日々から離れ、素敵な別荘で過ごす時間は貴重で豊かであっただろうと想像します。
また季節を変えて再訪したい素敵な名勝地でした。
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