横山大観展☆
只今、東京国立近代美術館で「生誕150年・横山大観展」が開催中、ということで鑑賞に行ってきました。
朝一で出かけたものの会場内は既にかなり混雑しており、帰る頃には更に行列が伸びていて、改めてその人気ぶりを目の当たりにしました。
横山大観(1868-1958)は明治元年に水戸藩氏・酒井捨彦の長男として生まれ、明治・大正・昭和の三代にわたり第一線で日本画を革新し続けた画家。
とは言え私自身は日本人でありながら日本画の展覧会は数える程しか鑑賞したことがなく、巨匠・大観の作品も富士山ぐらいしか知らない…という状況だったので、今回の大展覧会で約90点の作品を一気に鑑賞する機会を得られて勉強になりました。
そのパステルのような平塗りの色が他の作品とは一線を画しているようで、とても印象に残った「游刀有余地」。
梁の王が料理人・丁の包丁さばきの技術を褒めると、丁は技術以上の“道”を目指していると答えたというシーンを描いたもの。
波のプラチナ箔が綺麗だった豪華絢爛の屏風2枚に描かれた「紅葉」。
こちも大胆で華やかな「夜桜」。
1930年にローマで開催されたローマ日本美術展に出品された作品で、大観が西洋の好みを考慮しながらも日本らしさを伝えようと制作したものだそう。
「紅葉」も「夜桜」もその魅力はこういった画像や図録上には写し出せない感じで、とにかく本物を目の前にした時に圧倒的迫力で迫ってきました。
「洛中洛外雨十題・三条大橋雨」。
日本語には「雨」を使った単語は多言語に比べて多いのだそう。
そう言われてみるとパッと思い浮かぶだけでも霧雨、五月雨、豪雨、氷雨、時雨、梅雨、春雨、通雨とどんどん出てくる。
そんな日本語独特の表現、言葉から大観が描きたいと思った「雨」がたくさんあったことが想像できます。
本展の目玉の一つが 絹本墨画の「
全長40メートル超という長さの日本一長い画巻に水の一生の物語を描かれたもの。
スタートは山間に湧く雲。雲が一粒の滴となり、地に落ちて流れはじめる。
川は周囲の山々や動物、人々の生活を潤しながら次第に川幅を増し、やがて海へと流れ込む。
荒れ狂う海には龍が躍り、水はついに再び雲となって天へと昇る。
(本展オフィシャルサイトより)
順を追って見ていくと、流れるように景色が変わり、まるで映画のフィルムを見ているようでした。
日本画については技法や構図、その流れの歴史などまだまだ知らないことだらけですが、今回の展覧会をきっかけに今後もっと積極的に鑑賞してゆきたいと思いました。
ところで今年は日本とフランスが1858年10月9日に日仏修好通商条約を締結し、両国間の外交関係が開設されてから160年☆
160周年記念イベントが企画されているので、パリで東京で美術鑑賞はじめ文化イベントを楽しみたいと思います。
ARCHIVE
MONTHLY