シラノ・ド・ベルジュラック☆
フランスの古典、1897年に上演されて一躍人気作品となったエドモン・ロスタンの戯曲“Cyrano de Bergerac”(シラノ・ド・ベルジュラック)は、そのタイトルだけは知っていたもののストーリーをちゃんと把握してはいませんでした。
なのでそのうち原作を読むか舞台を観たい、と思っていたところタイミングよく日生劇場で公演☆
この戯曲は大鼻で醜男の剣豪シラノ・ド・ベルジュラックの従妹ロクサーヌへの悲恋を描いたストーリー。
主役のシラノを吉田鋼太郎さん、彼が生涯愛する女性ロクサーヌを黒木瞳さん、容姿端麗ながら上手く自分の気持ちを言葉にできないクリスチャンを白洲迅さんというキャスト。
シラノ・ド・ベルジュラックという人物は、当時の本国フランスの新聞アンケートではジャン・バルジャンやダルタニャンを抜いてダントツの1位になるほどの人気キャラだったそうで、現在でも頻繁に舞台上演される人気活劇。
そしてこの作品の中で最も有名なシーンがシラノがクリスチャンに成り代わってロクサーヌへの愛を語りあげるバルコニーの場面。
演劇史に残る三大バルコニーシーンと言われるのが、「ロミオとジュリエット」「ウエスト・サイドストーリー」そしてこの「シラノ・ド・ベルジュラック」だそう。
「早く、早く撮って!」
この手のもの、あればつい一緒に写真を撮ってしまうけれど内心かなり恥ずかしい…。
記念撮影した吉田鋼太郎さんのシラノですが、シラノは権力に媚びず、剣1本で己の信念を貫く快男児。その一方で豊かな詞心を持った詩人。
どんな相手も言いくるめてしまうのに、人並外れた大きな醜い鼻がコンプレックスで愛するロクサーヌに自分の気持ちを打ち明けられないシャイな男。
一方シラノの従姉妹で、彼を兄のように慕う(恋愛感情とは別)ロクサーヌは何よりも美しい詩が好き。
天然というか、恋に恋するちょっと夢見がちなお嬢様。
ギリシャ神話から出てきたようなイケメンなクリスチャン。
クリスチャンとロクサーヌはお互い惹かれ合うも、クリスチャンは口下手で自分の気持ちをうまく伝えられず。。
自分の所属するガスコン青年隊に配属されたクリスチャンに気を揉んだシラノは、自分の愛するロクサーヌを失望させないためにクリスチャンに代わって愛の詩を繰り返し手紙で代筆してしまう。その結果、ロクサーヌとクリスチャンは両想いに♡
でもそれも束の間。底意地の悪いド・ギッシュ伯爵(六角精児←これまたハマり役)の策略でシラノとクリスチャンをはじめとするガスコン隊は戦場の前線送りとなってしまう。そしてクリスチャンは戦死。
15年の歳月が流れ、夫を失ったロクサーヌは修道院で暮らしており、毎週土曜日に訪ねてくるシラノとの面会を楽しみにしていた。
そんなある日、宮廷の陰謀で頭に重傷を負った姿で現れたシラノはクリスチャンの生前最後の手紙をロクサーヌに読み聞かせる。薄暗闇の中でスラスラと読み語るその言葉で初めてロクサーヌはあの手紙の主が実はシラノであったことに気付く。だが瀕死のシラノはロクサーヌに己の秘めた想いを決して告げることなく、最後の力を振り絞り死神の前で勇姿をみせる。
「さあ、取れ、取るがいい!だがな、貴様らがいくら騒いでも、あの世へ、俺が持って行くものが一つある!神の懐へ入るときはな、俺はこう挨拶をして、青空の門を広々と掃き清めて、貴様らがなんと言おうと持って行くのだ! 皺一つ、染み一つ無いもの!
それはな、俺の心意気だっ!!」
そして幕。(最後のセリフには痺れた〜♡)
というのがかなりざっくりなストーリーです。
剣士シラノを演じた吉田さんは約10センチの大きなつけっ鼻をつけ、舞台を縦横無尽に飛び回り、劇中では100人斬りのシーンもあり汗だくで熱演。
笑いあり、涙ありの中で騎士道とは!男らしさとは!をまざまざと感じた痛快活劇で、本当に誰かを愛したら自分の気持ちをどうこうする前に相手の幸せを真っ先に考え、願える人だよね…と最後はジーンときて、名台詞に胸が熱くなる素敵なお芝居でした。
「シラノ・ド・ベルジュラック」は、すっかり私の中でもフランス人の中で大好きキャラになりました♡
ところで常々感じるのがフランスでは日本ほど(?)「イケメン」がモテないというか、イケメン崇拝文化はあまり無いように感じます。顔がイマイチ、身長も低めでも演技力の幅がある俳優さんが人気だし、会話が楽しくインテリな男性がモテる!?
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