Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

バッハ・コレギウム・ジャパン☆パリ公演

日本の演奏家による公演があると知り、「家から近いし、せっかくだから行ってみようか」ぐらいの軽い気持ちでチケット予約したBach Collegium Japan”(バッハ・コレギウム・ジャパン)公演。

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場所はThéâtre des Champs-Élysées(シャンゼリゼ劇場)

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予約当初は気楽な気持ちだったのですが、予習をするにつれてどんどん興味が湧き、とても楽しみになった夜。

「バッハ・コレギウム・ジャパン」は1990年に鈴木雅明氏によって設立されたオーケストラ&合唱団。

世界的なバッハ演奏家、オルガン・チェンバロ奏者、指揮者、また音楽研究者としてもその才能を高く評価されている鈴木氏がオリジナル楽器のスペシャリストを擁して結成。

J.S.バッハの宗教作品を中心としたバロック音楽の理想的上演を目指し国内外で活発な演奏活動を展開しているそう。

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今回のプログラムは、Franz Joseph Haydn(フランツ・ヨーゼフ・ハイドン) の“Symphonie n° 48”(交響曲第48番)とWolfgang Amadeus Mozart(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)の“ Messe en ut”(大ミサ曲 ハ短調 K.427)。

前者は“Maria Theresia”(マリア・テレジア)というニックネームで呼ばれ、これは1773年にオーストリアの皇后マリア・テレジアがエステルハージ家を訪問した際の歓迎行事で演奏されたと伝えられたことに由来するのだそう。

おめでたい席の為の曲らしく華麗なファンファーレで始まり、最初からとても華やかで優雅で祝賀ムードに溢れていました。

そしてフィニッシュは一気に階段を駆け上がるようで個人的にはとても好きな曲でしたし、古い楽器(名称を知らないのですが…)使われていたこともあり、その音色は終始なんとも優しくエレガントでした。

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思えばハイドンはあまり聴いたことがなかったのですが、この曲はとてもエレガントで宮廷の景色が広がるようでした。

「交響曲の父」と呼ばれるハイドンの曲をもっと聴いてみたくなりました。

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(↑今回バルコニー席からこんな角度で鑑賞)

そして本公演の目玉は、後半のモーツアルトのミサ曲“Messe en ut”。

モーツァルトのミサ曲、宗教音楽といえば「レクイエム」。

クラシック音楽に疎い私がその曲を知ったきっかけは、OL時代にボスが

「僕のお葬式にはモーツァルトのレクイエムをかけて欲しいんだよね〜」

なんて言うものだから秘書としては一応知っておこうと調べて聴いたのが初めてでした。

日本のお葬式のイメージとは全く違い、ボスは意外とカッコイイこと言うねーと思ったけれど。

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(↑ちょっと気になった会場にあったプリプラみたいなもの?! でも誰一人興味を示しておらず…。個人的にはやってみたかったけれど、そんなおのぼりさん的な人がなかなかいなテアトル・シャンゼリゼ〜)

閑話休題。

そんなレクイエムではなく、今回聴いた「大ミサ」と呼ばれる“Messe en ut”は曲が作れた背景が面白い!

モーツァルトがこの曲を書き始めた動機が当時の父親との関係にあるという通説。

モーツァルトは父レオポルドの猛反対を押し切ってソプラノ歌手・コンスタンツェと結婚をしたのですが、それ以来父子二人の関係は険悪に。

モーツァルトはこのミサ曲を父親の前で演奏することによってコンスタンツェとの結婚の誓約が確かなものであること、と同時に妻が技量のあるソプラノ歌手であることを証明して、結婚を認めてもらい親子関係を修復したいと考えたらしい。

ところが、あまりに大曲になってしまい演奏会までに曲を完成出来ず。

結局演奏会では従来のミサ曲からの一部が使用されたそうで、結局父子関係も修復できず完全にモーツァルトのもくろみは外れ、一気にやる気を無くしたのか?その後モーツァルトはこの曲を完成させず未完のままに。

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「大ミサ」と呼ばれるだけあって最初から目の前には立派なミサの光景が広がりました。

パリのノートルダム大聖堂など大きな教会で行われる壮大なミサのような雰囲気で、ソプラノ、メゾソプラノの歌声は天国に導く神聖な響き。

最後もワッと盛り上がってフィニッシュ。そんな終わり方は中途半端な未完なのかもしれませんが、素人な私にはとてもカッコよく終わったと言う印象でした。

こうしてこの曲が作られた背景を知ってから聴いたせいか、モーツァルトが父を思い、相当に気合いを入れて作っていたのだろうと想像すると、どんな息子(娘)でもやはり自分が選んだパートナーは親に認められ、その結婚は祝福してほしいものだな、と。

一方子供が可愛いほどに、親としては子供が自分になんの伏線、相談もなく勝手に決めたような結婚には「俺はそんな結婚絶対に認めんぞ!」と言いたくなるのもわかる気も…。

それにしても作曲が期日に間に合わないんじゃ元も子もないぞ、ツメが甘いなモーツァルトっ!しかも未完のまま放ったらかしとは中途半端な男だなぁ、私がコンスタンツァ(妻)ならガッカリだよぉ…などと余計なことを思いながらも素敵なコンサートの余韻に浸りながら帰宅しました。

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<info>
Théâtre des Champs-Élysées(シャンゼリゼ劇場)
15 Avenue Montaigne, 75008 Paris
 

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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