Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

フェルナン・クノップフ☆謎多き巨匠

天気も良いし近所だしと訪れたパリ市立プティ・ パレ美術館(Petit Palais)

事前にどんな特別展をやっているのか詳しく予習、確認もせずに気楽に買い物へ行く前にブラリと立ち寄ってみた次第。

すると只今、“Fernand Khnopff・Le maître de l’énigme”(フェルナン・クノップフ 謎多き巨匠展)でした。

(もうすぐ会期終了 3月17日まで)

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その作品はなんとなく見覚えはあるものの恥ずかしながらFernand Khnopff(フェルナン・クノップフ)という画家の名前を知らず、それ誰?状態からの鑑賞スタート。

フェルナン・クノップフ?会場もさほど混んでないしょ…なんて思った私が浅はかでした。

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どのセクションもたくさんの人で賑わい、みんなかなり真剣に熱い視線で鑑賞しているではないか!

ありがちなパリマダム達のひそひそ話もため息交じりの「マニフィーク!」(素晴らしいわね)がそこかしこから聞こえてくる。

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フェルナン・クノップフ(1858〜1921年)はベルギー象徴派を代表する画家で、本展はパリでは約40年振りとなる回顧展。

約150点の作品を一堂に会し、画家、素描家、版画家、彫刻家、演出家といった様々な顔をもつクノップフの創作の全貌に迫るというもの。

まず最初に入口にアトリエ兼自宅の模型を見てびっくり。

こんなに立派なアトリエ・自宅を持てたということは生前早くから成功したか、元々お金持ち?

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などど思いながらクロノロジーを確認すると、

1858年ベルギーのグレムベルゲン=レ=テルモンド生まれ、元ハイデルベルクの貴族という由緒正しき旧家の長男として生まれたフェルナン・クノップフ。

父親は控訴院判事で代々法律家の裕福な家庭で育ち、本人も18歳でブリュッセル自由大学法学部に入学。

おもいきりブルジョワジーだ!

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そして本展は画家のアトリエ兼自宅にインスパイアされたデザインで展示ルームが構成されていたため、ちょっと邸宅訪問気分にもなれました。

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英国好きで、洗練されらダンディ男だったというフェルナン・クノップフ。

育ちの良さも伺えるようにどの作品にも漂うオーラがノーブルで上品に見えるような…。

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フェルナン・クノップフは法学部に入ったものの、その後文学に傾倒し、マックス・ワラー、エミール・ヴァラーレンらと親交を結び、法学部を中退。

ブリュッセル王立アカデミーで本格的に美術を学ぶ。

パリに移りドラクロワやアングルに強く感銘を受けるほか、ギュスターヴ・モロー、エドワード・バーン=ジョーンズと知り合い、象徴主義に傾倒。

1883年にベルギー20人会の創立メンバーとなる。

その後、 神秘主義者ジョセファン・ペラダンが率いるカトリック薔薇十字会、イギリスのラファエル前派、グスタフ・クリムトを頂点とするウィーン分離派などと親交を結ぶ。

50歳で2人の子連れのマルト・ウォルムスと結婚するも3年後に離婚。

1921年に死亡。

というのがかなりざっくりなクロノロジー。

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彼が描く女性は美しく妖しくミステリアス。

そのモデルとなっているのはほとんどが6つ下の妹マルグリット・クノップフなのだそう。

白いドレスが清楚に似合う。

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違ったテニスウェアを着た女性がたくさん写った写真。

女性が全員同じ顔?と思ったら被写体は同一女性でやはり妹マグリット。

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その写真を元に描いたのがこちらの作品。

それぞれ違ったウェアとポーズ。

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フェルナン・クノップフが好きだった本や音楽を集めたコーナー。

ヘッドフォンもあり彼が愛した音楽を聴くこともできました。

また、ユニークだったのが数カ所に香りのディフューザーが設置されていたこと。

作品を鑑賞しながら展示のテーマに合わせた香り(バラ、パウダリー)も楽しむという趣向。

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神秘的な作品たち。

それにしても妹を描きまくってるところからも明らかにマグリットは彼の理想の女性、ミューズ的な存在だったのかなと思うのですが、その執着はかなり強そう?!

一番身近な異性として母親や姉、妹が理想的だったらなかなか他人にときめかないかも?!

K「うちの弟は結婚が結構早かったんだけど…」

夫「お姉さんには幻滅しまくりだったことは想像できます」

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私はギュスターヴ・モローが好きなので、ちょっとその神話的、幻想的な部分に通じるものも感じられるフェルナン・クノップフの作品にもどんどん惹かれました…♡

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叫び声が聞こえてきそうなブロンズ像のメドゥーサ。

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そして本展の目玉は、フェルナン・クノップフの最高傑作と言われる『愛撫』。

人間の頭と獅子の体を持つ神話上の生物「スフィンクス」が、男性とも女性とも受け取ることができる両性具有的な人物を愛撫する姿。

その人物は右手に杖を持ち、寄り添うスフィンクスへと身体を預けながら無表情的。

そんな彼(彼女)を愛撫するスフィンクスは明らか女性的顔立ち。

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画家自身の言葉によると、このスフィンクスの肉体は獅子(豹)ではなく、邪悪な生物とされる蛇に最も近い生物であるネコ科のチーターで、黄褐色と黒色の斑点模様や柔らかく曲線的な肉体的造形が採用の大きな理由と。

両性具有的な人物、スフィンクスの両方がこれまた画家の最愛の妹マルグリットがモデル。

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本作の解釈については諸説あり、一般的には支配への欲望(両性具有的人物)と快楽への欲求(スフィンクス)との葛藤と考えられているそう。

なんとも幻惑的、謎めいた美しさの一枚は一度見たら忘れられない作品。

気楽に出かけた展覧会でしたが、とても見応えがあり面白く、すっかりフェルナン・クノップフに興味が湧きました。

☆Belle et Bonne Blogも絶賛更新中☆
 
<info>
Petit Palais(プティ・パレ)
Avenue Winston –Churchill 75008 Paris
 
*Fernand Khnopff   Le maître de l’ énigme展は2019年3月17日まで

 

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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