
Private viewingでベルギー奇想展☆
夫婦でお招きいただき、只今渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の”ベルギー 奇想の系譜展 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで”をプライベート・ヴューイングで楽しんできました。
プライベート・ヴューイングとは、展覧会を一般公開時間の後や休館日に貸し切って、美術館キュレーター等の専門家の案内で少人数で鑑賞するというもので、前後になんらかの食事やカクテルレセプションがセットになった接待・社交の場となるアートイベントです。
美術館が多くそんな文化イベントに事欠かないパリでは今まで度々経験していますが、日本では初めて♬と楽しみに出かけました。
まずは美術館横のカフェレストラン「ドゥ マゴ」(Les Deux Magots Paris)で軽くディナー。
時短ワンプレートメニューと伺っていたけれど、ちゃんと前菜からのスタート。
冷製のトウモロコシスープ。
つくづく日本のトウモロコシは甘くて美味しい!
そんな美味しいトウモロコシで作られたスープはいくらでも飲めそう…(^u^)
メイン料理は豚肉のマスタードソース(^u^)
シャンパン(ヴーヴ・クリコ)はフリーフロー♬
夫「おいおい、食事に来たんじゃなのに飲み過ぎじゃない?これから美術鑑賞するんだよ。。」
K「大丈夫、大丈夫。あれ、デザートはないの?」
夫「ただメシなのに図々しいよ…。コーヒーだけで十分。」
ところでパリでのイベントの場合は立食のことも多く(初夏は野外で)、実際は食べることはほとんどできず、グラスを片手に知らない方々との会話がスタート。
「ぼんそわ、はじめまして。ケーコです。パリ東京行ったり来たりしてますです。フランス語下手ですみませ〜ん。」
毎度そんな会話で始まり、人見知りな私としてはそれは疲れること。。
でも今回のように同じイベントに集まっておきながら食事も個々のテーブルで周りの方と全く話さない、話さなくてもイイというのはラクな反面、せっかくご一緒したのにちょっと寂しいような気がするな〜なんて思いながら会場へ移動。
本展は、15、6世紀を代表するボスやブリューゲルの流れをくむ作品から象徴主義、シュルレアリスムの作家を経て、現代のヤン・ファーブルにいたるまで約130点の作品を通して500年にわたる「奇想」の系譜を辿るというもの。
3章で構成された会場は、まずは15〜17世紀のフランドル美術からスタート。
ヒエロムニス・ボス「トゥヌグダルスの幻視」
アイルランドの騎士が語ったとされる逸話で主人公の騎士トゥヌグダルスは、3日間の仮死状態に陥っている間に天使によって天国と地獄に導かれ、そこで恐ろしい懲罰を目にし、目覚めた後の悔悛を描いたもの。
左端から時計まわりにアダムとエヴァの嫉妬、傲慢、怠惰、激怒、大食、淫乱、貪欲、そしてトゥヌグダルスと守護天使。
今のようにテレビ、ラジオ、インターネットもない時代、教会で聞く地獄の世界などはなかなか想像できなかった中で、ボスは想像力を巡らせて人の知らない、見たこともない怖く奇妙なもの、モンスター、悪魔、地獄を描き、それが当時の人々の人気を博したそう。
ピーテル・ブリューゲル「大食」
ボスの影響を大きく受けたとされるブリューゲルの版画により、その恐く奇妙な地獄や煉獄の世界はビジュアルに広まり、ますます人々の興味・感心を集めることに。
「傲慢」「嫉妬」「激怒」「怠惰」「貪欲」「大食」「邪淫」の「7つの死に至る罪(=大罪)」がそれぞれテーマにされることが多かったそう。
続く展示の第2章では19世紀から20世紀初頭のベルギー象徴派・表現主義の作品。
フェリシアン・ロップス「娼婦政治家」
これはズバリと言い切ったタイトル、絵のインパクトも強くてメッセージ性が高く、個人的にはこの作品はかなり印象に残りました。
何でも食べ、多産な動物とされる豚の下には、彫刻、音楽、詩、絵画と書かれた擬人像が描かれ、目隠しをした周りが見えない、見ない娼婦と豚はこれらの芸術を全く理解せずに踏みにじる。風刺が効いてる〜!
そして、最後の展示コーナー第3章は20世紀のシュルレアリスムから現代まで。
ルネ・マグリット「大家族」
大好きなマグリットの作品ですが、曇天の海の上に鳩、その中が綺麗な空。
マグリット作品はその絵とタイトルが摩訶不思議…。わかるようでわからない。そこがマグリットの魅力でもあるとキュレーターの方が仰っていたけれど、ベルギーにはベルギー語というものがなく、複数の言語が混ざり合う国の特徴が関係しているのかも。
レオ・コーペルス「ティンパニー」
絵筆をくわえた骸骨がドンドンドンとリズミカルにティンパニーを叩き続ける現代芸術。
こうしてキュレーターの方の説明を受けながら会場を一周し、その後1時間は各自自由に鑑賞タイム。
静かな会場でマイペースでじっくりと間近に、とても贅沢な鑑賞のひとときでした☆
最後に鑑賞記念に図録をいただきました。
ベルギーはヨーロッパの十字路、交通の要所。
フランス、オランダ、ドイツに挟まれるように位置しているので、過去には様々な国に支配され、現在も言語はオランダ語、フランス語、ドイツ語(ドイツ語はかなり少なめで3%ぐらいらしいけど)の3言語が話されています。
今は首都ブリュッセルにはEU本部が設置されている都市☆
昔から交通の要所ということは戦争の渦中となることが多く、そんな歴史的背景や悲惨な経験から奇想的・幻想的な絵画が多く描かれる傾向にあったそうです。
モンスターと言われるものたちも、今見るとユーモアもあってちょっと可愛いくも見えましたけど。
最後にこんな撮影用立て看板があったならやるしかないな!
と鼻から出る金貨の中で溺れる苦しい様子・貪欲地獄で記念撮影。
その私の顔はあまりに断末魔で見せられないけれど、この日見た一番奇想で怖い一枚かも(>_<)
À demain(^^)/
☆おまけのパリをBelle et Bonne Blogで更新☆
今日は、「夏はひんやりチュルチュル」
⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-1593.html
<info>
Bunkamura ザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2丁目24−1
http://fantastic-art-belgium2017.jp/
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