花で紡ぐパリの日常。

花のこぼれる帽子箱

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これは、私が初めてクリニャンクール(パリで有名な蚤の市)へ行ったときに買ったもの。パリから東京に連れて帰ってきて以来、開催するワークショップやポップアップイベントでもよく活躍してくれる、相棒のような存在です。ちなみに、猫の方ではありません。今日の主役は、お隣の、すこし不思議な形をした箱。

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中央に向かって低くなる、ウェーブがかかった形。かなり年季の入った蓋をそっと開けてみると、真ん中に穴が空いていて、首を傾げて眺めていたら、アンティークショップの店主が「帽子箱」だと教えてくれました。
今日にももちろん帽子箱というものはありますが、帽子を一つ一つ、こんなに素敵な箱に保管するなんて、昔はものを丁寧に扱って、長く使っていたのだろうなと思いを馳せます。しかも、箱の内側をよく見ると、細かく採寸されたような跡もうっすらと残っていて、もしかするとオートクチュールであつらえられた、特別な帽子の専用箱だったのではないかしらと思っています。

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時代を超えて海を越えて、私はこの帽子箱を、花器として、かれこれ5年ほど愛用しています。この内側の穴の部分にシリンダーを仕込めば、帽子箱にも花を活けることができるのです。

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箱の淵に首をもたれかけさせるようにして、片方に流すように花を活けます。わあっと、箱からこぼれるように活けるのが好きです。

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大きなブーケを入れたときなど、蓋の隙間から茎やシリンダーが見えてしまうのが気になる場合は、さっとリネンのサービエット(ナプキン)を掛けて隠します。

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また、シリンダーを仕込んで花器にするアイディアは何にでも応用ができて、たとえばパニエ(かご)に花を活けるとナチュラルな雰囲気になりますし、この写真のようにアンティークのミルク缶や、台湾のアンティークショップで買った茶葉の缶も、花器として使っています。

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個人的には、現行品の花器を集めるのも大好き。でも、もともとの用途にとらわれず、花器として使うことで、ものの新たな表情を見出す楽しさは、ヴィンテージならではの醍醐味だと思うのです。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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