花で紡ぐパリの日常。

ガレット・デ・ロワにまつわるエトセトラ。

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フランスでは、新年を迎えるとともに皆が楽しみにしているお菓子があります。それが、ガレット・デ・ロワ。日本でもすっかり馴染みのあるお菓子になりました。

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もともとは、キリスト教のエピファニー(公現祭)という祭日(今年は1月6日)に食べるものですが、たいてい1月中はずっと、街のパティスリーやブーランジュリーにガレットが並びます。
ガレット・デ・ロワはアーモンドクリームの入ったシンプルなパイなのですが、店によってかなり味も見た目も個性があるので、食べ比べをする人も多いです。我が家は夫がパティシエなので、必然的に毎年食べるガレットは一択になりますが・・・。
彼の店で出しているのは定番のクラシック、ショコラ、人気のポム・ユズ、フランス人好みのピスターシュ・グリオットの四種類のガレット。私は一番さっぱりしているポム・ユズがお気に入りです。

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いつも一月中は毎日のようにガレットを食べているのですが、実は、ガレットについては知らないことだらけ。私が知っているガレット・デ・ロワについての知識といえば、その場にいる最年少者がテーブルの下に隠れて、あらかじめカットされたガレットの割り当て(誰がどのカットを食べるか)を指名するということ。ガレットの中に一つだけ忍ばせてあるフェーヴ(陶器でできた小さなオブジェ)が当たった人が王様になること。王様にはその年幸運が訪れるらしいこと・・・そのぐらいでしたが、先日、夫からガレット・デ・ロワにまつわる雑学を聞いていたら、面白い話がチラホラあったので、せっかくなのでまとめてみようと思い、今回のブログのテーマは「ガレット・デ・ロワにまつわるエトセトラ」としました。

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そもそも一口にガレット・デ・ロワと言っても、地方によってその形状に違いがあります。南仏の方には、ブリオッシュ生地のリング型の菓子パンに砂糖やドライフルーツがデコレーションされたものが主流になっているのだそう。パリでも、ブーランジュリーとパティスリーでは作るガレットに違いがあり、基本的にブーランジュリーのガレットは粉の配合が多く、パティスリーの方はバターが多くてリッチな味わい。その分、中身のクリームはブーランジュリーの方がどっしり重め、パティスリーの方はあっさり軽めにしているという違いがあるのだそうです。それ以外にも店によって本当にアレンジが様々なのが、ガレットの面白いところです。
現在のガレット・デ・ロワは、レイエ(ガレット表面の模様)に注力するお店が増えて、見た目の華やかさも楽しみの一つになっています。もともとレイエはデコレーションのためではなく、ガレットの表面に切り込みを入れることによって火が均一に入るようにする目的のものですが、特に日本のガレットは細かく美しいレイエが施されたものが多いようです。

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ガレットの中に入っているフェーヴも、それぞれ毎年趣向が凝らされていて、フェーヴコレクターもいるほど。時々ブロカントにもフェーヴが1個数ユーロで売られているのを見かけます。

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一足早く春を感じられるようなミモザやポピーを飾り、家族や友人たちとともにガレットを囲んで楽しむ食卓は、お正月のないフランスにいても、ほっこり温かい新年気分を味わわせてくれます。
今年も、皆様のもとに沢山の幸運が訪れますように。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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