花で紡ぐパリの日常。

フラットな人。

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突然ですが、昨年の12月、誕生日を迎えて35歳になりました。10代の頃の私には、まさか自分が35歳になる日が来ることなど信じられなかっただろうと思いますが、(当たり前ですが)普通に、しっかり35歳になりました。

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これまでずっと、東京の花市場でも仲卸さんに(屋号のMAISON LOU parisからとって)「ルウちゃん」と可愛がってもらったり、師匠についてアシスタントを務めた期間が長かったり、どの現場でも最年少であることが多かったりして、長女のくせに「末っ子感」をちゃっかり享受していて、頭の中のどこかでいつも、「活躍している人は自分よりも年上」だと思っていました。それで自分を安心させていた部分もあったように思います。
それが最近になって、現場でも年下の方が増えたり、「えっ、あの素晴らしいクリエイションをする誰々さんは年下なの!?」と驚くことが増えてきて、その度に、才能や努力は年齢に比例するわけではないのに、単純に年齢で判断してはいけないな・・・と、しみじみ自戒しています。

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先日、パリの役所で20代前半の日本人の若者と出会いました。彼はパリでも有名な日本料理店で働いていて、日本から出向という形で来たそうですが、少し話しただけでも、物腰は柔らかいけれども芯のある若者で、尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
パリでは概して日本人に対するイメージがとても良く、少なくとも私は、移民として暮らしていて、日本人であることが理由で差別を受けたことはありません。(私の乏しいフランス語力ゆえのコミュニケーションの問題はもちろんありますが・・・。)それは、人種差別撤廃の意識が根付いてきたという背景だけではなく、正式に雇用してもらえることはおろか滞在ビザを得るのさえも困難だった時代から、先人たちがパリで必死の思いで築き上げてくれた信頼のおかげだと思っています。もちろん、日本人だからどうこうと決めつけるのは好ましいことではないですし、「日本人」というステレオタイプに辟易することは多々あります。それでも、せっかく築いてもらった信頼は、損なうことなく次の世代へも継承していきたいとも思っています。
そのときに出会った若者も、きっと先人たちの道を継ぎ、ゆくゆくは次の世代へとより拓いていってくれるのだろうなと期待を寄せました。また、私も大いに刺激をもらいました。

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そしてふと気がついたのは、自分の尊敬する年上の人たちは皆、フラットに年下の人たちと接しているということ。年下だからといって見下すことなく、年齢や肩書きにとらわれることなく誰とでも対等に話をする人たち。きっと、そういった部分に人間の価値判断を依存していないからなのだと思います。表面的なものに左右されない軸、内面を培ってきた自信があるからこそ、世代の違う人から良い刺激を受けて、より一層魅力的になっていく。軽やかで、自由で、しなやかで、格好いいなと憧れます。

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筋肉も脳みそも凝り固まってしまわぬよう、積極的に動いて、いろいろな人と交流するのが私の今年の抱負の一つです。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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