花で紡ぐパリの日常。

パリジェンヌとスカーフ、2024。

スカーフといえば、もともとパリジェンヌファッションのマストアイテム。秋になると、街で多く目にしますが、最近はとくに、頭に巻くスカーフが再流行しているようです。

パリに来たばかりの、20代後半の頃。

小雨が降ったときに、傘を持たないパリジェンヌがさっとスカーフを頭に巻いていたのを見て衝撃を受け、こなれた仕草がなんと素敵なのだろう!と憧れたことを思い出します。

ヴィンテージショップでエルメスの小ぶりのカレを手に入れて、首もとのお洒落を楽しんだりしたものの、近年は若干熱が冷めていて、ちょっとアクセントが欲しいときにレザーバッグにあしらう程度に。

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ヴィンテージで買った時からさらに10年経ってもなお褪せぬ魅力があります。

ところが先日、やはりスカーフの力って偉大だと感じた瞬間が。

母と一緒に左岸のエルメスへ行ったときのことです。

母の好みに合わせたクラシックなものを何枚か出してもらって、鏡の前で巻いてもらうと、シンプルなモノトーンのカジュアルなコーディネートが、あっという間に見違えるように輝いて見えたのです。それは、色や柄からのみ生まれる輝きではなく、纏う人の表情までパッと明るく、自信と余裕を醸し出してくれる。本当にその人に似合う一枚のスカーフを得るだけで、こんなにも変わるんだと感動しました。

余談ですが、その日に母が身につけていたのも、エルメスのプリーツスカーフとスカーフリングだったのですが、スカーフリングは新婚旅行でパリに来たときに買って今でも愛用しているものなのだと教えてくれました。

小さなアイテムだけど、時間をかけて紡がれた物語がそこに垣間見えて、そんなふうに人の人生に長く寄り添える、タイムレスな美しさを宿すもの。

私は花という、一瞬の生命の儚さを掬い取るような仕事をしているけれど、そんな美しさを宿すような心持ちでいたいなあなどと、シルバーのスカーフリングから思いを馳せたりして。

母のスカーフを見ながら、もっと歳を重ねていっても長く付き合えるスカーフを、私も見つけられたらと思ったのでした。

そんなこともあり、私もスカーフ熱が再燃してきたのですが、頭に巻くのは(しかも今流行のほっかむりスタイル)見ていて可愛いと思いつつも自分ではやはりまだハードルが高く、これってそもそも、パリジェンヌのように小顔でお洒落な造形をしていないと無理なのでは・・・と逃げ腰。

でも、髪を低い位置で一つ結び(ポニーテール)にした上から幅細のスカーフをぐるぐると巻きつけるだけのアレンジなら簡単で間違いがない上、無難で地味になりがちな秋冬の装いにちょうどよく、取り入れ始めました。

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そしてついに、思い切って(というのも大それた言い方ですが・・・)頭にぐるりと巻いてみたら、意外と全体のメリハリがついて、バランスがとりやすいことに気がつきました。

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襟元に巻いたらちょっとコンサバティブに傾きすぎてしまいそうな、お気に入りのホース柄も、頭に巻けば、途端に新鮮な表情でうれしい。

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やりすぎと感じるときは、シルクの白い無地のヴィンテージスカーフをブラックのレザージャケットに合わせるような、シンプルでシックな組み合わせなら、普段の自分のスタイルに着地できるかしら。妄想とトライを重ねる日々です。

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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