ヴェルサイユ宮殿を堪能した後は、香りの広場でお買い物して、散歩して。
Paris 2013.05.15
大村真理子の今週のPARIS
これまではヴェルサイユといったら宮殿の観光のためだけのパリからの往復だった。でも、4月25日に宮殿から100メートルの場所に香りをテーマにしたスポットがオープンしたので、楽しみが増えそうだ。
場所は宮殿に向かって、左手。つまり見学を終えて宮殿を背にした場合は、右手だ。名称はCour des senteurs(クール・デ・ソントゥール)。香りの広場という意味で、通り側からはわかりにくいが香りにまつわる4店が 建物に囲まれた中庭に並んでいる。
創業1828年のゲラン。装飾を施した木の壁や大理石といった素材がエレガントなブティック。香水だけでなく、化粧品も奥のスペースで扱っている。
4代目オリヴィエがダイナミックに活動する1924年創業のメゾン・ファーブル。最近では映画「グレース・ケリー」で主役を演じるニコル・キッドマンのために20ペアの手袋を作った。このブティックの開設を機にバッグや小物入れなどの革製品も発表。
サンジェルマン大通りに本店をかまえるディプティック。ここではスペースに限りがあるので、パフューム・キャンドルのみの取り扱いだ。
ル・ノートル。散策者のため、サンドイッチやサラダなどテイクアウトの品を販売する試みがなされている。
中庭には複数のアクセスがあるが、シャンスルリ通り8番地から入ると、そこはラ・メゾン・デ・ソントゥールといって、何世紀にも渡る香りの歴史を遊びながら知ることができるスペースだ。建物の左手に、中庭直通のエントランスがあるが、このスペースからも中庭へと出ることができる。
(左)メゾン・デ・ソントゥール内。 (右)中庭に直結しているゲート。
さて、そこに並ぶ4店は今さら説明も不要の名店ばかり。香水のゲラン、パフューム・キャンドルのディプティック、手袋の老舗メゾン・ファーブル、そしてル・ノートルの4店だ。各店、この場所だけの特別商品というのを販売しているというのが、なんともそそられる。ゲランでは、オード・パルファムのCour des Senteurs Versailles。メゾンの調香師ティエリー・ヴァッセールが宮殿の庭にインスピレーションを得た香りは、マリー・アントワネットが愛した花ジャスミンをベースにノーブルで官能的である。パレ・ロワイヤルにもブティックのある手袋の老舗メゾン・ファーブルは、その昔、ヴェルサイユ宮廷で貴族達がはめていた手袋にならって、香りつけした手袋を販売。ディプティックはジャスミン、ミント、バラの3種のミニサイズ・キャンドルを、とてもチャーミングなボックスにセットした。ル・ノートルの限定品はというと、ジャスミン風味のマカロン。ゴージャスに金箔がまぶされている!
左から、ゲランのVersailles、ディプティックのミニキャンドル・セット、ル・ノートルのマカロン。
この新名所の設立には、大聖堂もあり、土曜にはオーガニック市も開催されるサンルイ地区の商店街に活気をもたらし、かつ世界で最も美しい王様の菜園と宮殿をつなぐ散歩道を築く、というヴェルサイユ市の願いがこめられている。これまで宮殿とパリ市内を往復するだけだった観光客にとっても、宮殿以外に楽しめる場所が出来たのは何とも喜ばしいことだ。香りの中庭の先では、5月17日のオープンを目指して、目下Jardin des Senteursと命名された庭作りが進行中。調香師たちに愛され続ける植物との出会いに満ちたこの散策路をたどると、王様の菜園の方向へと導かれる。
(左)庭の完成イメージ。 (中)建築中の庭(4月25日時点)。 (右)庭の入り口。
すでにヴェルサイユ宮殿を見学した人も、改めてヴェルサイユに足を運びたくなる気をおこさせるCour des Senteurs。庭が完成したら、ぜひ出かけよう。
8,rue de la Chancellerie
78000 Versailles
店舗営業 10時~19時
休)月曜