Paris 連載

今週のPARIS

ダニエル・ビュランの光と戯れるインスタレーション。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンとル・ブリストルにて。

今週のPARIS

太陽よ照れ! こう願わずにはいられないのが、5月11日から公開を始めたフォンダシオン ルイ・ヴィトンのダニエル・ビュランによるインスタレーションだ。「Observatory of Light(光の観測所)と題されている。船に例えられるフランク・ゲーリーが設計したフォンダシオンの建物。それを覆う3,600枚のガラスによる12枚の帆に、ビュランは13色のカラーフィルターをほぼ市松状に、そして彼のビジュアル・ツールとして名高い8,7cmのストライプを要所に配した。

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左:カラーフィルターで覆われたフォンダシオン ルイ・ヴィトンの建物。周囲の光景を一新させるインパクト!© Iwan Baan / Fondation Louis Vuitton
右:ダニエル・ビュラン © Fondation Louis Vuitton / Martin Argyroglo © DB-ADAGP, Paris 2016

建物に光が差し込むと......ああ、まるでステンドグラスのよう!! ピンク、オレンジ、ブルー、グリーンなど13色のカラーフィルターが床や白い壁に模様を描き出す。光の強さ、角度によって投影は姿を変えるので、一期一会の光景が目の前に広がるのだ。色の写り込みが壁だけ、あるいは壁にも床にもという場合では、空間のサイズが異なって感じられるのも興味深い。とても晴れている時は、さまざまな色がはしゃいでいるように見え、知っているつもりのフォンダシオンの建物がまるで初めて見る場所に思えたり......。朝から晩にかけて投影がどのように変化してゆくのかを、じっくり腰をすえて定点観測するのも面白いだろう。建物の地下に向かって、たゆたゆと流れ落ちる水にいったいどのように色が映り込むのかも、気になる人もいるに違いない。フォンダシオンの建物とビュランの対話から生まれたイン・サイチュのインスタレーション。とにかくダイナミックで陽気だ! これは体感するしかない。なお、約1か月を要したという作業の一部とビュランのインタビューを館内のスクリーンで見ることができるので、時間があれば、ぜひ。

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晴天の日は色が床や壁に映る。© Iwan Baan / Fondation Louis Vuitton

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13色のカラーフィルターを使用。© Iwan Baan / Fondation Louis Vuitton

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あらゆる時間帯に、あらゆる角度から体感したくなる!
左:© Phillipe Guignard / Air Images / Fondation Louis Vuitton 右:© Iwan Baan / Fondation Louis Vuitton

Fondation Louis Vuitton
8 Avenue du Mahatma Gandhi, 75116 Paris
Tel. 01 40 69 96 00
開館:12:00~19:00(月水木)、12:00~23:00(金)、11:00~20:00(土日)
休)火
※開館および閉館時間はシーズンにより異なる場合があります。詳細はウェブサイトをご確認下さい。
http://www.fondationlouisvuitton.fr/ja.html

絵画を手がけていたビュランが、このような色彩、透明性、光を組み合わせたインスタレーションを始めたのは1970年ごろから。2012年にサークル状のカラフルな視覚装置でグラン・パレを埋めつくした「モニュメンタ」が記憶に新しい人も多くいることだろう。毎回、まずは場所ありきで始まるイン・サイチュ。今年はフォンダシオン ルイ・ヴィトンに次いで、パリ市内8区のル・ブリストルのホテルの中庭でも彼の仕事が見られるようになった。

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左:「ラ・ペルゴラ」の左側に面しているのがレストランEpicure 右:ホテル宿泊客には上から眺められるというアングルの特権がある。photos:Mariko Omura

ここでの作品のタイトルは場所にふさわしく「ラ・ペラゴラ(蔓棚)」だ。植物の蔓ではなく赤、青、黄、緑、紫のカラーフィルムが棚に絡まって日陰を作るというイメージだ。黒白のくっきりとしたストライプがリズムを刻んでいる。晴れた日には、カラーフィルムの色の投影が光沢のある白い通路に明るい表情を与えるはず。ペルゴラ内には入れるようになっているので、光の戯れの中を歩くことも楽しめる。エリック・フレションがシェフを務める三ツ星レストランEpicureの向かい側に設置されているので、食事をしながら眺めるのもいいだろう。中庭へのアクセスは自由。ホテル見学を兼ねて中庭を訪れることもできるし、あるいは中庭でシャンパンでもいただきながら「ラ・ペルゴラ」が生み出す色彩のフェスティバルに酔うのも悪くない。開催は10月6日まで。

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晴天の日にこの中を歩くと、色彩のシャワーを浴びることになるだろう。photos:Mariko Omura

Le Bristol Paris
112, rue du Faubourg St. Honoré
75008 Paris
Tel. 01 53 43 43 00
http://www.lebristolparis.com/fr/home/

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