Paris 連載
今週のPARIS
次のパリ滞在はドロテ・メリクゾンがデザインした
オテル・パナシュに泊って、レストランで食事をして......
今週のPARIS
近頃、価格も手頃でインテリアもおしゃれ、というホテルが増えているパリ。そのブームのきっかけをつくったのは5年前にオープンしたオテル・パラディ(41 Rue des Petites Écuries, 75010 Paris)だろう。このホテルの若いオーナーであるアドリアン・グロアゲンは、安いホテルでは今ひとつの内装には目をつぶろう的な傾向があるパリのホテル事情に、5年前に反旗をひるがえしたのだ。彼にとって、これが初のホテル。自分が通うカクテルバーの内装を手がけたデザイナーに依頼することにした。そのデザイナーというのが、今をときめくドロテ・メリクゾンである。インダストリアル・デザイナーの彼女にとって、このカクテルバーが初の内装の仕事で、オテル・パラディは彼女にとって初のホテルの仕事となった。このホテルの個性的かつ魅力的な内装が話題となり、その後あれよあれよという間に彼女は海外からもひっぱりだこのデザイナーに! このオーナーとドロテが再びタッグを組んで、新しいホテルをこの春にオープンした。9区のオテル・パナシュだ。
ドロテはオテル・パラディ同様に、内装を手がけるだけでなく、ロゴもデザイン。ホテルは角地にたつため、どの部屋もちゃんとした方形ではなく角度がついているのが特徴ということから、彼女は鏡や家具にも角度をつける遊びを試みた。またホテルが所在する場所からインスピレーションを得て仕事をする彼女なので、パナシュのある界隈が栄えた19世紀末から20世紀初頭を代表するアールヌーヴォースタイルからも内装にヒントを得ている。クラシックとモダンのミックスがどの客室も美しい。
ホテルのオープンより少し遅れて、同名のレストランもホテルの並びにオープンした。ここは宿泊客だけでなく誰でも食事ができる。朝食、ランチ、ディナー、そして日曜のブランチも! 日々仕入れた素材から決まる料理なのでセレクションはそれほど多くないが、どれを選んでも間違いなし。デザートも日替わり。もし、リ・オ・レがあったら、ぜひ試してみよう。このクラシックで、いささかヘヴィーな印象のあるデザートが、ここでは酸味がほどよく効いた軽やかなデザートに変身。後をひく美味しさだ。レストランの内装もドロテ・メリクゾンが手がけた。エッフェル塔のような柱がたっていたり、テーブルの周囲に黒と白のストライプが配されていたり、壁を魚屋さんのようなタイルが覆っていたり......視覚的にも楽しめるスペースである。
このホテルには、もうひとつの話題がある。それは、バスルームに備えられたおしゃれなアメニティ。赤、ブルー、白のトリコロールがフランス的でおしゃれなボトルのシャンプー類は、Bonne Nouvelleというブランド名だ。グッド・ニュースという意味もあるけど、この名前はホテルの近くの地下鉄駅名であり、通りの名前でもある。ヴェルヴェーヌ・タバ、ベ・ノワール、コリアンダーといったユニセックスのフレッシュな香りのシャンプーやローションなど。Bonne Nouvelle はオテル・パナシュと同時に同じオーナーから生まれたグラース産の新しいボディケアのブランド。ホテルで購入も可能だし(品切れしていることもあるが)、9月2日からデパートのボン・マルシェで開催が始まる『パリ!』展でもメイド・イン・パリのブランドとして販売されるという優れものだ。
Hotel Panache
1, rue Geffroy-Marie 75009 Paris
Tel. 01 47 70 85 87
Restaurant Panache
20, rue du Fbg. Montmartre
75009 Paris
Tel. 01 53 34 85 87