マレーシアの首都クアラルンプールで、賑やかなのはショッピングモールやレストランが集まるブキッ・ビンタン通りや、近代的なビルやホテルが立ち並ぶKLCC(Kuala Lumper City Center)地区。滞在するのも、一般的にはこれらのエリアが多いはず。
2度目、3度目にクアラルンプールを訪れるなら、ゆっくりと足を運びたいのが、レイクガーデン地区。湖の周囲に、植物園やオーキッド&ハイビスカス・ガーデンズなどが隣接して広がり、緑がとても豊か。いまでこそ大都会に変身したクアラルンプールの街が、かつては、熱帯雨林の森にあったことを思わせます。
このエリアを個人的に好きなのは、緑の多さに加えて、現代的なイスラム建築が集まっていて、しかも、歩いて見て回れるところ。イスラム教を国教とし、国民のおよそ6割がイスラム教徒であるマレーシアでは、公共の建物にもイスラム建築のデザインを取り入れたものが見られます。
まず訪れたいのは、「マレーシア国立モスク(マスジッド・ネガラ)」。マレーシア国内にある13の地方とイスラム教の五行を象徴した、18角形の水色の屋根が超モダン。内部の礼拝堂には、イスラム伝統の飾り文字や装飾などが、コンテンポラリーにアレンジされていて、中東の伝統的なモスクなどとは一線を画す美しさ。


内部に足を踏み入れると、すっと清らかな空気が流れるような気がするのが、「イスラム美術博物館」。マレーシアのみならず、世界各地のイスラム美術や文化、工芸をテーマにしていて、コーランや細密画、陶磁器、宝飾品などさまざまな文物が展示されています。展示室のドーム型の天井には、繊細でモダンな幾何学柄が広がっていて、何とも優雅。建築好きなら、世界中の有名なイスラム建築のミニチュアを展示した建築ギャラリーも見もの。
近くにあるのは、白亜の宮殿のような美しいムーア様式の「クアラルンプール駅(旧中央駅)」。クアラルンプール最古の駅で、ミナレットやドーム天井など、モスクの建築様式が取り入れられた建物は、1910年の建築。いまもマレー鉄道を走る豪華列車が恭しく発着する、ノスタルジックな駅です。
さらに頑張って歩けば、異国情緒たっぷりの「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦事務局ビル)」が。イギリス統治時代に行政の中枢となった歴史的建造物で、ここにはさりげなく南国テイストが漂っています。
©ASEAN-Japan Centre
クアラルンプールのレイクガーデン地区で、ついついカメラを向けたくなる、フォトジェニックな美しい建築ディテールを探してみて!

Michiyo Tsubota
旅エディター・ライター
編集・広告プロダクション勤務を経て、フリーランス。女性誌や旅行誌を中心に、旅の記事の企画、取材や執筆を手がける。海外渡航歴は70カ国余り。得意分野は自然豊かなリゾート、伝統文化の色濃く残る街、スパ、温泉など。