シンガポール シンガポールの街で、進化する"プラナカン"を味わう。

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世界の金融センターとして機能し、最近、ますますコスモポリタンな雰囲気を醸し出しているシンガポール。

街のグローバル化と比例するかのように、注目度を増しているのが、シンガポールやマレー半島独自の文化「プラナカン」。最近は、歴史としてのプラナカンを回顧するだけではなく、シンガポールが誇る文化や食として進化させようとする動きもあります。

「プラナカン」とは、15世紀後半以降、マレー半島にやってきて土地に根づいた中国系移民の末裔を指す言葉。移住した人々が現地女性と結婚し、中国やマレーの文化と西洋文化を融合させた、裕福な生活スタイルを築き、プラナカンと呼ばれました。また、そのスタイルもプラナカンと称されています。

ちなみに、現首相リー・シェン・ロンの父親、初代シンガポール首相のリー・クワァン・ユー氏も、プラナカンの系譜。

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シンガポール市街で、プラナカンの面影を色濃く残しているのが、チャンギ国際空港とダウンタウンの間にあるカトン地区。カラフルで、ディテールにも凝ったプラナカン様式の建築が多く残り、イーストコーストロード沿いには、プラナカンのお菓子や雑貨などを扱う店が点在しています。

そのなかでもぜひ訪れてみたいのが、プラナカンの雑貨やお菓子などを扱う店「ルマー・ビビ」。細やかなビーズ刺繍のサンダルや陶器、民族衣装クバヤなどの上質なものが揃います。ここは、地元シンガポーリアンが、結婚式の衣装の相談に訪れたりもしている本格派。

花などをあしらった美しくて繊細なサンダルは、かつてプラナカンの女性が結婚する際に、嫁ぎ先の両親や新郎のために心を込めて作ったものだとか。ピンクやペパーミントグリーン、イエローなどのカラフルな陶器は、中国の景徳鎮製で、お祝いの席や、来賓をもてなすために使われました。鳳凰、牡丹、蝶、バラなど、華やかな柄は、富や幸福、女性らしさの象徴。

オーナーのビビさんは、ビーズ刺繍の教室も開催していて、日本人の受講者も多いとか。

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ジョー・チアット・ロードの北端から南に15分ほど歩くと交わるのが、クーン・セン・ロード。ここを左折すると、通称カラフルハウスと呼ばれる、美しいプラナカン建築群が並んでいます。最近は、子どもたちの歴史学習でも訪れるそう。

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プラナカン料理は、中国料理とマレー料理を融合させた味わい深いおいしさ。スパイスや木の実、ココナッツミルクなどマレー半島に伝わる調味料に加えて、インドのハーブからヨーロッパの調味料まで、巧みに使いこなしています。

シンガポールにも何軒がプラナカン料理店がありますが、おすすめは「ナショナル・キッチン・バイ・ヴァオレット・オン」。プラナカンとして生まれたヴァイオレット・オンさんは、70年代から料理ジャーナリストとして活躍し、自ら料理雑誌を主宰したこともある方。現在、3軒のプラナカン料理店を経営しており、叔父叔母などのプラナカンの家に伝わる伝統レシピをベースに、厳選された素材を用いて、洗練されたおいしさのプラナカン料理を提供しています。

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ヴァイオレット・オンさんが経営する3軒のなかでも雰囲気が抜群にいいのがここ。2015年にオープンした歴史的な市庁舎と最高裁の建物を改築した美術館「ナショナルギャラリー」の中にあり、プラナカン様式を取り入れたスタイリッシュでシックな内装も素敵! 壁には、シンガポールの食の歴史を伝える写真なども飾られていて、まさに“ナショナルなキッチン”。

鶏とブラックナッツの煮込み料理「アヤム・ブアクルア」や、ピーナッツソースでいただく「ガドガド」、最上級の「ハイナンチキンライス」などなど……。

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シンガポールならではのおいしさと歴史を、ちょっとドレスアップして楽しみたくなるプラナカン・レストランです。

Rumah Bebe
www.rumahbebe.com

National Kitchen by Violet Oon
http://violetoon.com

Michiyo Tsubota

旅エディター・ライター

編集・広告プロダクション勤務を経て、フリーランス。女性誌や旅行誌を中心に、旅の記事の企画、取材や執筆を手がける。海外渡航歴は70カ国余り。得意分野は自然豊かなリゾート、伝統文化の色濃く残る街、スパ、温泉など。

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