イネス・マッキントッシュとフロラン・メラックがプルミエダンサーに!

今年のパリ・オペラ座バレエ団コール・ド・バレエの昇級コンクールではスジェからプルミエ・ダンスールのクラスについては行われず、その昇級は実験的にシーズン末までに任命形式で行うことがすでに発表されていた。11月9日、10日の昇級コンクールが終わって間もない11月20日、バレエ団総会においてジョゼ・マルティネス芸術監督とパリ・オペラ座総裁アレクサンダー・ネーフはイネス・マッキントッシュとフロラン・メラックの2名をプルミエ・ダンスールに任命すると発表した。ふたりの昇級は来年1月1日からとなる。発表されるやカンパニーのダンサー仲間たちがインスタグラムにふたりの写真をアップしたり、オペラ座のインスタグラムの投稿をリポストしたりと、この朗報を大勢と分かち合おうとしていたのが微笑ましかった。

Inès McIntosh(イネス・マッキントッシュ)

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イネス・マッキントッシュ。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

イネス・マッキントッシュはフランスと南アフリカの国籍を持つ21歳で、2013年にパリ・オペラ座バレエ学校に入り、2019年に入団。2021年にコリフェ、翌2022年にスジェに昇級した。9月のエクサン・プロヴァンス・ツアーではヴィクトール・グゾフスキーの『グラン・パ・クラシック』の第1配役がマルク・モローとヴァレンティーヌ・コラサント、そして第2配役が新エトワールのギヨーム・ディオップと彼女という組み合わせだった。ハードなテクニック満載の作品だが、彼女はどんなスピーディな動きでも勢いに流されることなくコントロールを効かせ、腕の動きは優雅きわまりなく。スジェとは思えぬ堂々たるステージを見せた。10~11月の公演「ジェローム・ロビンス」では『En Sol』を踊る6名の女性のコール・ド・バレエのダンサー中、彼女のムーブメントでダンスと音楽が同時にスタートという大任を毎晩果たしていた。溌溂とした動きとノーブルなダンスが共存する不思議な魅力が彼女の強みである。

12月8日から始まる『くるみ割り人形』では、ポール・マルクを相手に3公演を踊ることが夏前に発表されたことに、すでに芸術監督の信頼が感じられていたイネス。もし2月の来日公演に参加するとしたら、小柄な彼女なので『白鳥の湖』の4羽の小さな白鳥で見ることができるのではないだろうか。

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『En sol』より、右から3人目がイネス・マッキントッシュ。photo:Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

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Florent Mélac(フロラン・メラック)

フランス南部に1993年に生まれたフロラン・メラックは、2005年にオペラ座バレエ学校に入学した。2010年に入団した彼は2015年にコリフェ、2020年にスジェに昇級。その後ドゥミ・ソリスト、ソリストとしての活躍が続いている。昨シーズンは公演「モーリス・ベジャール」の『さすらう若者の歌』ではジェルマン・ルーヴェに途中から代わってユーゴ・マルシャンのパートナーを務め、カロリーヌ・カールソンの『シーニュ』はオニール八菜をパートナーに踊り、また今シーズンの「ジェームス・ロビンス」の『イン・ザ・ナイト』の3組目のカップルも彼女がパートナーというように実力あるダンサーだ。日本で『ロミオとジュリエット』を一緒に踊ったロクサーヌ・ストヤノフ(プルミエール・ダンスーズ)とは「若いダンサーたち」の公演中、『After the Rain』で見ごたえのあるステージを見せていたのでこの昇級をきっかけに、ふたりの組み合わせを再び見る機会があることを期待したい。20名近くいる男性スジェの中で次なるプルミエ・ダンスールとして下馬評が高かったのは技術的に安定している彼とトマ・ドキールのふたりだったが、長身のエトワールおよびプルミエ・ダンスールが不足している状況が今回は彼に幸いしたのかもしれない。振付も行う彼が好むのはイリ・キリアンの作品だという。12月はそのイリ・キリアンによる『Gods and Dogs』に配役されている。

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フロラン・メラック。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

editing: Mariko Omura

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