クラシックダンスのガラ「レ・ボーテ・ドゥ・ラ・ダンス」第5回、スターに交じってシェール・ワグマンも参加。
パリとバレエとオペラ座と 2025.02.07
元パリ・オペラ座バレエ団ダンサーで現在教師のジル・イゾアールがアーティステイック・ディレクションを務めるクラシックダンスのガラ「Les Beautés de la danse(レ・ボーテ・ドゥ・ラ・ダンス)」の第5回が開催された。2021年6月に初回を開催し、3回目にはジルによるクリエイション『ヴィヴァルディ パ・ド・ドゥ』が披露されるなど、回を重ねるごとに内容も配役も興味深さを増している。

昨年4月に次いで、1月12日に開催された第5回の出演者は海外からはマシュー・ボール、マヤラ・マグリ、オルガ・スミルノヴァ、ヴィクトール・カイセイタ、ミッシェル・ウィレム、エステバン・ベルランガ。パリ・オペラ座からドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン、ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク、イネス・マッキントッシュ、シェール・ワグマンと合計12名のダンサーが参加し、12演目を披露した。

今回ちょっとしたミニ・ワールド・バレエ・フェスティバルといった盛り上がりを呈したのは、回転、ジャンプといった鮮やかな技術で会場を沸かせたシェール・ワグマンの参加ゆえだろうか。モナコ王立グレースバレエ学校で学んだ彼は、2018年度ローザンヌ国際バレエコンクールの受賞者である。イングリッシュ・ナショナル・バレエ団の後、ミュンヘンの国立バレエ団ではシーズン2022〜23のプルミエ・ダンスールに任命された。19歳の時にマリインスキー劇場に『ラ・シルフィード』のジェームス役でゲストダンサーに招かれたという実力の持ち主である。その彼がパリ・オペラ座バレエ団の外部試験を受けて、今シーズン、入団したことはちょっとした話題を呼んだ。
過去はどうあれ、カンパニーの規定どおりいちばん下のカドリーユの階級からの出発である。契約団員でもなかった彼なので、昨年11月に行われたカドリーユからコリフェへの昇級コンクールには参加できず。もし来年も従来通りにコンクールが行われれば、初参加する彼の存在はほかのカドリーユのダンサーたちにはおおいなる脅威となるだろう。いまのところ、オペラ座のステージでは彼が持つテクニックをソロで披露する機会にはまだ恵まれていない。今シーズンなら『眠れる森の美女』のブルー・バードで見てみたいと思わせるダンサーだ。

昨年7月に「レ・ボーテ・ドゥ・ラ・ダンス」がフランスの地方で開催された際に、彼はイネス・マッキントッシュ(パリ・オペラ座バレエ団プルミエール・ダンスーズ)とすでに息の合った舞台を披露している。今回のガラでも彼女がパートナー。『海賊』と『パリの炎』という男女ともに超技巧が要求される演目を踊り、会場を盛り上げた。ガラでダニール・シムキンが飛翔し回転して満場の拍手を得る、といった状況をイメージするとわかりやすいだろう。
次回の予定はまだ出ていないけれど、すっかり恒例となった「レ・ボーテ・ドゥ・ラ・ダンス」。写真で順を追って見ることでラ・セーヌ・ミュジカルの椅子に座って鑑賞している気分を味わって!
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第1幕
クリスチアン・スプック『オーランド』 パ・ド・ドゥ

ミハイル・フォーキン『瀕死の白鳥』

マリウス・プティパ『海賊』 パ・ド・ドゥ

フレデリック・アシュトン『精霊の踊り』 ソロ

アルチュール・サン=レオン『コッペリア』

ハンス・ファン・マーネン『3つのグノシエンヌ』

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第2幕
ワシリ・ワイノーネン『パリの炎』 パ・ド・ドゥ

リカルド・フランコ『Casi Fado』 ソロ

マシュー・ボール『To & Fro』 パ・ド・ドゥ

マリウス・プティパ『エスメラルダ』

ジャン=クリストフ・マイヨ『コッペリア』

アンジュラン・プレルジョカージュ『ル・パルク』 パ・ド・ドゥ

editing: Mariko Omura