ラオスの古都ルアンパバンには
宝石のようなホテルがありました。
「3 Nagas by ALILA(スリー・ナガス・バイ・アリラ)」ルアンパバン/ラオス
ホテルへBon Voyage 2009.07.24
フランス人に言わせると、ラオスの古都、ルアンパバンは「アジア一の美しい町」と誰もが絶賛するんですね。渡航前はどれほどの町なのかと、ガイドブック片手に期待と不安が交錯していました。しかし初めてのルアンパバンは想像以上、期待以上に魅惑の町でした。
大河メコン川と枝分かれしたカーン川の合流地点に位置する町ルアンパバンは、現在、ラオスの文化と観光の中心都市として栄えていますが、かつて1975年の社会主義革命では仏教が否定され、僧侶や寺院の存在意義さえ危うかったといいます。多難の時代を超え、80年代後半には開放政策が実施され、さらに1995年には、古い家並み歴史ある寺院の残る町ごと'ユネスコ世界文化遺産'に登録され、一気に世界から注目されました。
印象的なのは、小さな町に80以上も残されているといわれるユニークな造りの寺院、敬虔な仏教信仰の民、フランス文化とラオスの伝統が融合された空気感などですが、何よりも、人々が控えめで優しい民であることでしょうか。こうしたすべての条件が一体となり『ユネスコ世界文化遺産』に登録されたのではないかと思えるのです。
まるで絵画のような町並みに、小さなブティックホテル「スリー・ナガス・バイ・アリラ」が溶け込んでいました。オープンは2003年。2009年からは高級リゾートで名の知れた「アリラ・ホテルズ&リゾーツ」が運営受託する美しいホテルで、3棟からなるホテルの建物も世界遺産に含まれています。古い建物の内部はリニューアルされていますが、あえてクラシカルな雰囲気をそのままに保存し、そこに歴史画を感じるのがなんとも優しい印象です。土壁やチーク材の温もり、傾斜のある床、鉄やスチール材のない伝統の中に眠るほのぼのとした幸せを感じさせてくれます。
夕景に美しく映える別館
ホテルは、ラオス式建築と現代的なデザインが上手く融合されていて、スタイリッシュで新進気鋭のホテルが集まるグループ「ザ・デザインホテルズ」の中で、数少ないクラシカルな趣のデザインホテルとしてメンバーになっています。ちなみに'ナガス'とは'ドラゴン'の意味。「玄関先に3つのドラゴンが書かれているでしょう?」と'スリー・ナガス'の意味をスタッフが教えてくれました。
(左)本館の入り口とすぐ脇に造られているオープンエアのバー(右)小さなホテルのレセプション
(左)スウィートルームのひとつ(右)スタンダードルームの客室
ホテルは本館と、道路を隔てて向かいに建つ別館、そこに隣接するレストランの3棟から構成され、1898年に王立裁判所として建設された建物を利用しているといいます。ホテルスタッフの優しさにも感激しました。
レストラン棟と別館の全景
町にはレストランやカフェ、土産や工芸品を売る店も多く、旅人が1日中散歩していても飽きることなどなさそうです。忙しく動きまわるよりも、早朝の托鉢に参加したり、素朴なクルーズを楽しんだり、マーケットを散策したりなど異国情緒を静かに味わえる、心洗われるような魅惑の町でした。(K..S)
美しく手入れされた中庭から見る別館
3 Nagas By Alila(スリー・ナガス・バイ・アリラ)
Ban Vatnong, Sakkaline Road,P.O.Box. 722, Luang Prabang
Lao. P.D.R
☏:+856-71-253-888 Fax/ +856-71-253-999
http://www.alilahotels.com/3nagas
客室数/15室(本館+別館)
料金/107.US$~(客室の種類や季節により異なるため要問い合わせ)
アクセス/国際線はタイ、ベトナム、中国の各都市から運行。
ルアンパバン空港より町まで車で約20分。

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com