ランソン・プレイス・ホテル
香港/中国
香港初のブティックホテルが、いまも愛される理由とは。
ホテルへBon Voyage 2018.07.26
星の数ほどある香港のホテルの中で、2005年11月にソフトオープンを果たし、香港初のブティックホテルとしてスタートしたランソン・プレイス・ホテルは、SLH(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド)のメンバーホテルとしての誇りを礎に、確固たる小規模ホテルの地位を築いてきました。2013年には大がかりなリノベーションも実施され、その快適さは大きく増しています。
コーズウェイベイの便利な場所に佇むクラシカルなホテル。建物は19世紀のフレンチコロニアルスタイル。
1階エントランスを入るとコンシエルジュ席の先には広いスペースのロビーラウンジ。祭事やパーティーにも利用可能。
建物自体は19世紀の伝統的なフレンチコロニアルの建築物として残されたものですが、館内はモダニズムとクラシカルな雰囲気が同居しています。とくに客室内はスタイリッシュで、居心地のよさが追求されています。「コーズウェイベイの中心という便利なロケーションにありながら、静かな雰囲気を保ち、とくに館内ではプライベート感を大切にしている」と、ホテルの総支配人が強調するとおり、なんと45%ものリピーター客がいるということが、その快適さを証明しているようなものでしょう。ホテルの打ち出すコンセプトは、「全フロアがクラブフロア」と設定され、どの客室に滞在するゲストにも、差のない高品質のサービスを提供しているというのです。
メインロビーのラウンジは中央にレセプションデスクがあり、左右2カ所に分かれてラウンジがある。写真はよりプライベートな雰囲気のバーラウンジ。
ラウンジとライブラリー、バーが一緒になった空間。朝食にはすべての席が使える。
26階建てのビルに部屋数は全194室。カテゴリー数はペントハウスを入れて5種類ありますが、ボトムの客室でも充分に広さがあります。またレストランがないホテルですが、すべての客室にキチネットが付き、さらに館内にランドリールームも備わることで長期滞在にも対応できるのが特徴です。香港はグルメシティ、どの街角にも星の数ほどおいしいレストランがあり、食べたい料理は24時間選び放題。こんな街ですから、ホテル内にレストランがなくても困らないのです。ただ朝食は、アイテムを充分に揃え、ロビー階のラウンジ「133 Lounge & Library」で提供されています。
アイテムの揃った豪華な朝食ブッフェ。
客室はそれぞれに広さもレイアウトも違うものの、キチネットはすべての部屋に設置。タウンビューでは香港らしい景色を、パークビューでは緑多き公園やヴィクトリアピークの山側が見渡せる。
また、滞在するとわかる便利な点は持ち出し可能のスマホの利用です。ホテル滞在中には自由に使え、香港市内電話は無料、ローカルSIMを買う必要もありません。しかも現在はフランス、シンガポール、英国、米国など、日本も含め10カ国に限られていますが、国際コールも無料。自分のスマートフォンとして使える大変便利なサービスが付帯しています。香港の多くのホテルは国際的なビジネス客ターゲットのために、こうしたサービスが多くなってきました。
同時に、印象に残るのはスタッフとのフェイス・トゥ・フェイスの会話や交流です。若いスタッフが多いホテルではありますが、彼らの温かな対応や、自由なもてなしの会話が記憶に残ります。ホテルの要素は、どれほどAIが発達しようとも、人を介するサービスの原点は変わらないように思います。
133 Leighton Road, Causeway Bay, Hong Kong
tel:+852 3477 6888
http://hongkong.lansonplace.com/
客室数:194室(スーペリアルーム、プレステージスイート、ペントハウス1ベッドルーム/2ベッドルーム、ほか)
料金(ベストレート):スーペリアルーム1,950香港ドル、プレステージ・スイート3,150香港ドル(ローシーズンSLH特別価格:スーペリアルーム1,365香港ドル)
アクセス:国際空港からタクシーで50分、ホテルリムジン1,050香港ドル、エアポートエクスプレスでセントラル駅下車後タクシー、ほか
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Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com