サンタニ・ウェルネス・リゾート&スパ
キャンディ/スリランカ
スリランカの自然に抱かれる、スタイリッシュなホテル。
ホテルへBon Voyage 2019.01.24
アジア各国の中でも、いまだ神秘的な場所が多く残る憧れの観光国スリランカ。コロンボのバンダラナイケ国際空港からは山道を上り下りして約4時間、古都キャンディに辿り着きました。キャンディを訪れるのはこれで4度目、でも今回はここからまた山奥へと進み、茶畑の広がる山あいのリゾートを目指しました。「サンタニ・ウェルネス・リゾート&スパ」です。
山間に広がるリゾート「サンタニ・ウェルネス・リゾート&スパ」の様子。ヴィラは20棟、現在、もうひとつのスイートレジデンスを別の山頂に建築中。
最寄りの町はキャンディですが、そこからも車で1時間半もかかった場所は、山並みの連なる素晴らしい景色と、フンナスギリヤ山塊、ユネスコ世界遺産のナックルズ保護森林などが見渡せます。周囲にあるのは自然だけ、店も住宅も何もありません。よくこんな場所にホテルを造ったものだと感心しながら、車を降りて驚いたのは、まるで都会にあるようなスタイリッシュなデザインホテルだったからです。
メイン棟。1階はチェックイン・アウトにも使う自由なラウンジ。2階はレストラン。
出迎えてくれた男性スタッフも都会的でした。部屋数はシャレ―型の離れが20棟。いずれの棟もスタイリッシュで、ミニマリズムを貫いたシンプルモダンな造りです。しかも、こんな山の中で5ツ星リゾートのカテゴライズですから驚きです。若くてスノビッシュ、乙にすましたクールな印象のスタッフたちは、どう見てもスリランカの山奥に似つかわしくない。それに、ちょっと尖ったサンタニ流のもてなしに最初は戸惑うほど……。
1階のガラス張りのラウンジ内。
ホテルのコンセプトは、思ったとおり「ミニマリズム」そのものだったのです。客室内には、アートや調度品などはなく、デコレーションは何もありません。でも必需品であるベッドや戸棚、シャワー、トイレはきちんと設置されていました。ここは5ツ星ホテルですから、当然です。もともと涼しい山奥なのでエアコンもいりません。暑い季節でも涼しげな山からの風に吹かれ、「暑い!」のクレームはないといいます。
客室内はシンプルモダン、ミニマリズムが生かされたデザイン。
客室にはどこもベランダが付いており、景色を見ながら寛げる。
レストランにメニューが置かれていないことも、インドの豪華テントリゾート「アマニカス」以来! とても新鮮でした。食事はひとりひとりの希望を聞いて、好みに応じてシェフが作ってくれます。食事の前には、シェフと次の食事の話をするのです。「う~ん、今夜はパスタ料理がいいなぁ……」と希望を伝えると、サラダは? スープはいる? とシェフからの質問。味やソースの好みも伝えると、自家生産の畑からオーガニックな野菜や、安全安心な食材を用いて、可能なかぎり希望どおりに食事が提供されるのです。これって客室20棟だからできる、究極のサービスかもしれません。
リクエストに応じた料理が食べられるレストラン。料理は郷土カレー料理とインターナショナル。
このリゾートの開業は2016年。敷地面積約20万㎡という山を含む広大な土地に、558㎡の自然派スパがあり、アーユルヴェーダドクターが常駐しています。スパも同様にミニマリズムのデザインで作られていました。ドクターは、ここでコンサルテーションをし、健康状態を見て、ひとりひとりに合うハーバルオイルを選んでトリートメントが決められます。私同様、一人旅の英国人女性もカップルも滞在していたのを見ると、まだあまり知られていない隠れ家的存在ですが、口コミで人気が広まりそうです。スリランカにも、ジェフリー・バワの建築人気にプラスできるホテル新風が吹き始めたような……。(K.S)
スパもメイン棟からは少し離れた敷地内に造られており、カートでの送迎がある。トリートメントルーム、サウナ、温水プランジプールなどが整う。アーユルヴェーダが基本の施術を提供。
メイン棟から少し離れた場所にある静謐なプール。
Arantenna Estate, Werapitiya, Kandy Sri Lanka
tel:+94 81 222 8000
客室数:20棟(キャビン)
室料:¥47,000~¥558,000(参考価格)
施設:レストラン、ライブラリー、ラウンジ、スパ、プール
アクセス:キャンディから車で約1時間半、コロンボ・バンダラナイケ国際空港から車で4時間強
www.santani.lk
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Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com