ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ
パリ/フランス
パリの魅力が凝縮した、スモールラグジュアリーホテル。

フランスの地方都市で大学生時代を送っていた私は、パリに出かけるたびにヴォージュ広場に赴き、「いつかこんなホテルに泊まってみたい!」と、パリ3区、マレ地区の美しい広場の奥に建つホテル「ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」(王妃の館)を横目に見て、強い憧れを抱き続けていました。

世界有数の美しさを誇るパリのヴォージュ広場(1612年完成)を囲むアーケード。当時、地方都市の学生だった若かりし頃、ヴォージュ広場から少し奥まった静謐な場所までは入る勇気もなく、蔦の絡まる瀟洒な佇まいのホテルを、指をくわえて見ていたのです。

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パリで最も美しいといわれるヴォージュ広場(Place des Vosges)。スクエア型の広場を囲む美しい建物は1612年、アンリ4世により、王宮のあった地に王族以外も入れるようにと造られたパリ最古の広場。

 

当時のレストランは宿泊客だけに限られ、とてもプライベートなオーラが漂う館でした。そして長い年月が流れ、ホテルジャーナリストとして25年目を迎えた今年、機が熟したのか念願が叶い、この3月にホテルへの滞在がやっと現実しました。

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アーケードの一画にあるホテルは1985年開業。かつてはその入り口をのぞき込み、何度となく通り過ぎるだけだったが、2019年3月、やっとゲストとして滞在。

かつて社交界の中心だったというマレ地区のヴォージュ広場は、いまもなおパリのエスプリを凝縮したような人気の地区となっています。

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蔦の絡まるホテルの前景。秋にはこの蔦が赤や黄色に色付き、違った美しさを魅せる。

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ホテルの前に広がる小さな庭園。春を迎えて緑が徐々に濃くなり、外でお茶や食事を楽しむ人もいる。

広場を囲むスクエアの建物は17世紀のものといわれ、その1階のアーケードにはギャラリーが軒を並べ、有名美術館や雑貨店、グルメなカフェやレストランも店を構え、観光客も絶えません。日本でも知られた老舗紅茶専門店「マリアージュ・フレール」本店はこの広場からも近く、マレ地区は古いパリと斬新なパリが同居する魅惑の地区でもあるのです。

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ホテルのエントランスを入り、左手にバー&ラウンジ、右手にレストランを見て通り過ぎると、奥にレセプションがある。

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自由に使える1階のラウンジ&バーには暖炉があり、人が集まる温かで落ち着いたムードが漂っている。

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リニューアルされて新たに出発したレストラン「ANNE」。スターシェフ、マチュー・パコー監修の料理が口コミで話題に。ライブラリのようなプライベートな雰囲気も好評。

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滞在するゲストは朝食もこのレストランで。混雑の時は自由に座れるラウンジ&バー、外のテラスでも。

どこを撮っても、被写体としてパリらしさが映し出される「ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」でした。滞在2日目の朝のこと、中庭に面した素敵な客室で目覚めた私は、あまりによい天気だったので窓を開けました。同じ中庭に面して建つアパルトマン風の建物の窓からオペラのソプラノの声が聞こえ、その声は晴れた空に響き渡っていました。なんともパリの日曜日らしい朝を迎えたのです。

1612年築の建物を使うホテルは、創立以来、個人所有であり、まさに客室もラウンジも、庭園も、個人の館のような瀟洒な隠れ家ホテルです。内装はディディエ・バンデルリのデザインによる本格的な改装により、アンティーク家具を残しながら、コンテンポラリーな快適さを融合させた気品にあふれたものとなっています。

そのホテル内には、2017年3月に、新たに贅沢なふたつのスイートルーム「Suite de la Reine」と「Suite Madame de Sevigne」が加わり、客室は全56室となりました。

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11室あるデラックスルーム(25㎡)はいずれも居心地のいい客室。

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13室あるジュニアスィートルームのひとつ(30~40㎡)。最大級の客室はシグネチャールームでもある「ラ・レーヌ・スィートルーム」(80㎡)。

1階のレストランは、18年9月以来、外からのゲストも利用できる本格的なレストラン「ANNE」として営業をしています。提供する料理は、ミシュランの星を持つレストランのスターシェフ、マチュー・パコー氏監修のガストロノミーとモダンを融合させたフランス料理であり、すでにマレ地区のグルメどころとして、若く才あふれるシェフが毎日腕を振るっています。

静寂とパリならではの賑わいが交差するマレ地区には、古いパリとモダニズムが同居する現代のパリの魅力が凝縮されています。その中心にあるスモールラグジュアリーホテル「ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」には、長い歴史に培われたマレ地区の魅力や、パリのエスプリを秘めながら、我が道を歩く静かなる時が流れていました。(K.S)

Le Pavillon de la Reine
28 Place des Vosges- 75003 Paris, France
Tel:+33 1 40 29 19 19
客室数:56室
施設:レストラン、ラウンジ&バー、スパ、会議用ラウンジなど
contakt@pdlr.fr
www.pavillon-de-la-reine.com/ja/district.html
取材協力:Small Luxury Hotels of The World

※無断転載禁止

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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