ローズウッド香港
香港
香港愛に満ちた調度品が迎える、邸宅のようなホテル。
ホテルへBon Voyage 2019.11.01
ウルトララグジュアリーなホテルとして世界中に知られる「ローズウッド」が、香港に新規ホテルをオープンさせました。ロケーションは九龍半島尖沙咀(チムシャーツィ)の一等地、ウォーターフロントに聳える65階建ての複合施設「ビクトリア・ドックサイド」ビル内です。
香港島から見た九龍半島ハーバーサイドに聳え立つ高層ビル。このビル内に最高級ホテル「ローズウッド香港」がある。
photo:Courtesy of Victoria Dockside
2019年3月、「ローズウッド香港」はヴィクトリアハーバー脇という立地を生かし、全413の客室の約80%をハーバービューとし、それら客室の窓からは、情緒的で香港らしい景色が広がっています。またベーシックな客室でも53㎡の広さがあり、ゆったりと過ごすことができます。
ホテル館内に入れば、世界各国から集められた多くのアート作品や、細部にまでこだわった美しいデコレーションで埋め尽くされ、本当に驚きました。香港愛に満ちたオリジナルの調度品、モダンでカジュアルなオブジェなど、肩の力を抜いて、まるで邸宅にいるかのようにリラックスできるよう配慮した、とホテル側は話しています。スーパーゴージャスな高級感と、スタッフの笑顔や温かなサービスマインドが居心地のよさに繋がっているのです。
「ローズウッド香港」の紋章でできた取っ手付き扉を開いてエントランスロビーに入ると、高級感あふれる空間。気品のあるスタッフが笑顔で迎えてくれる。
ロビーの一角に置かれた巨大な象のオブジェ。
ローズウッドブランドの主たるコンセプトは「センス オブ プレイス」。そしてそのコンセプトをここ香港で浸透させているのは、このホテルの最高経営責任者であるソニア・チェン氏です。彼女はまさに、このホテルの立つエリアで生まれ育った香港人で、活気に満ちた香港をずっと愛していると語っています。またホテルゲストには「香港カルチャーをこの新しいホテルで体験してほしい」と願っています。
ソニア・チェン氏は、香港有数のコングロマリット「ニューワールド デベロップメント」を率いる一族の3代目。尖沙咀のウォーターフロント地区開発の指揮官でもある精鋭のひとりです。若く、美しい女性として、母親として、また経営者としても多くの重責を担うスーパーウーマンでもあります。
ホテルの至る所で高級感とともに感じるのは、落ち着いたレジデンシャルな雰囲気。アートや本が飾られ、優雅な邸宅のライブラリーかリビングにでもいるかのように感じることが、“邸宅にいるように過ごす”というローズウッド香港の掲げるコンセプトなのです。インテリアデザイナーは、ニューヨークで活躍するトニー・チー氏。ホテルの礎となる“邸宅”(レジデンス)というコンセプトを、高級感とともに、どこかカジュアルなムードに昇華させました。床のタイル、壁の装飾、館内に置かれているオブジェやライティングにもこだわる、逸品揃いの館内です。
パーソナルバトラーのサービスが付いたマナースイートの一室(174㎡)。スイート滞在ではクラブアクセスもOK。
マナースイートのリビングルーム。家具や調度品はオリジナル。チェック柄のカーペットやカーテンもカジュアル。
グランドハーバービューキング。窓からはヴィクトリア湾を通して香港島やヴィクトリアピークが望める。
イタリア産の大理石をふんだんに使った豪華なバスルーム。洗面用シンクは縁起のいい数字「8」にちなんで8角形だ。
滞在中、総支配人のマーク・ブルガー氏とラウンジでお話する機会がありました。「ローズウッド初の試みとして“トータルなライフスタイルの充実”を目指したスパ『ASAYA』が間もなく完成します(6月取材当時)。専任のドクターとともに、代替療法や健康的な食事のプランも提供しますよ」と教えてくれました。そのスパはいま頃完成しているでしょう。
香港ですから何よりも食の楽しみは極めつけです。ホテル内には、カフェを含めて食事処が5カ所あり、特にオーナー由来の名が付けられたレストラン「レガシーハウス(The Legacy House)」では、広東料理、中国南部地方の順徳料理も提供しています。いっぽう、バー「ダークサイド(Darkside)」の名は、昔、中環(セントラル)の人々が九龍サイドをそう呼んで揶揄していたということからあえて名付けられました。実際のバーは、遊び心のあるインテリアで大人の集まるバーとして人気です。
メインダイニングである「レガシーハウス」。ダイニングルーム以外に7つの個室がある。広東料理のほか、オーナーのチェン家のルーツである繊細な順徳料理を提供。
「レガシーハウス」の自慢の料理。人気なのは、味と食感の微妙なバランスをとる順徳料理。順徳料理は4種類に大別される広東料理の中のひとつ(ほかは広州、潮州、客家)。
「バタフライルーム」は、コンチネンタル朝食やアフタヌーンティー、ディナーまで楽しめるオールデイラウンジ。
ウェルネスエリア「ASAYA」にある天空のインフィニティプール(25m)からは香港のパノラマを望める。
「ローズウッド香港」は、こうして高級感とカジュアルさが交差する居心地のいいレジデンスなのでした。(K.S)
Victoria Dockside, 18 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong
TEL: + (852)-3891-8888
客室数:413室
料金:要問い合わせ(参考価格¥60,000前後~)
施設:レストラン&バー、ラウンジ、クラブラウンジ「クラブ53」、
ウェルネス施設(ASAYAプール、ジム、ASAYAスパ)、ショップ、
ウェディング(グランドボールルーム、ブライダルスイート)ほか
アクセス:香港国際空港からエアポートエクスプレスでKowloon駅まで約30分、そこから車で約10分。または空港から車で約30分。
www.rosewoodhotels.com/en/hong-kong
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Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com