京都市/京都府
パーク ハイアット 京都
京都の老舗料亭とともに歩む、邸宅のようなホテル。
ホテルへBon Voyage 2020.01.23
国内外で高い人気を誇る観光地である京都が、いつも以上に賑わっています。海外からの観光客数も驚くほど増え、街の混雑も半端ではありません。そして、何よりも高級ホテルや旅館が次々とオープンし、京都のグレードをますます上げていると思われます。
“千年の都”と呼ばれる京都。その東山地区に誕生した「パーク ハイアット 京都」も、新規オープンのホテルとして話題のひとつです。最高級クラスのスタイリッシュなこのブランドは、東京でデビューしてから25年以上が過ぎ、後に続く2軒目が待たれていました。そして2019年10月30日、満を持して誕生したのが「パーク ハイアット 京都」です。
パーク ハイアット 京都の正門。新しく造られたとはいえ、武家屋敷門を彷彿とさせる格式のあるエントランス。photo:Park Hyatt Kyoto
ロケーションは、1200年以上の歴史ある京都の東山区高台寺桝屋町。そして、パーク ハイアットを招いたのは、創業明治10年、143年の歴史を育んできた料亭「山荘 京大和」でした。その好立地の敷地内に、パークハイアットと料亭がともに佇む姿を、誰が想像できたでしょう。
名門老舗料亭の敷地内に招かれたホテルは、とても日本的な邸宅のようなスタイルで現れ、新しい形の“もてなし”にも挑戦しています。パーク ハイアット 京都の斬新で革新的な姿は、「山荘 京大和」の伝統とともに互いの魅力を融合させ、京都らしいパークブランドとして登場したのです。
ラウンジスペース「ザ リビングルーム」。木造の美しいスペースは集いの場。「山荘 京大和」の和朝食、ホテルオリジナルでコース仕立てのアフタヌーンティーなどを楽しめる。photo:Park Hyatt Kyoto
料亭の建物は由緒あるもので、歴史の舞台となったことでも知られています。私自身は知りませんでしたが、江戸の末期、桂小五郎や久留米藩の真木和泉守ら各藩士が集まり、倒幕の計画を練った「翠紅館会議」が行われたのが、この料亭「山荘 京大和」の「翠紅館」だったといいます。語り始めたらきりのない、多くの逸話が隠れた老舗の料亭。いっぽうで、東山の一等地にあり、高台寺に隣接した丘陵地に立ち、世界遺産の清水寺へも近く、また二寧坂に面した観光名所であることから、ホテル内の施設のひとつとして、趣の違うカジュアルなビストロも造られています。
ビューデラックスツインの一部屋(68㎡)。八坂の塔や街並み、夕陽の見える人気の部屋。photo:Park Hyatt Kyoto
「パゴダハウス」はパーク ハイアット 京都のシグネチャースイート(135㎡)。最上階にあり、ドラマティックな夕陽、京都の景観が見渡せる部屋。コンセプトは「京都のゲストハウス」で、日本のタモ材やさまざまな素材が使われた贅沢な部屋。photo:Park Hyatt Kyoto
ホテルの建物は京都の景観に合わせ、うっとりするほど美しい日本瓦に覆われ、高級感あふれる邸宅を思わせます。低層建築のホテルには、9室のスイートを含む全70室のラグジュアリーな客室が揃いました。目の前には京都らしい五重塔「八坂の塔」が立ち、ホテルからはその五重塔の傍らに、情緒たっぷりに夕陽が落ちていくのが見えます。また、客室の設えには木が多く使われ、タモ材や地元の木材など温もりあふれる落ち着いた色調が印象的です。広さは45㎡から90㎡、そして1室だけのシグネチャースイート「パゴダハウス」は135㎡の広さがある贅沢な部屋です。
二寧坂からも入れる気軽なホームスタイルカフェ「KYOTO BISTRO」。リーズナブルな料金と待たせないサービスがモットー、オリジナル料理が揃う。photo:Park Hyatt Kyoto
食事もホテルでは大切な要素です。前述の二寧坂に面したホームスタイルカフェは「KYOTO BISTRO」というカジュアルレストラン。独創的なオリジナルメニューが並ぶ、オールデイダイニングです。いっぽうで、シグネチャーレストランである「八坂」では、“革新的な鉄板焼き”として、さまざまなアイデアで作られるユニークな鉄板焼きが提供されます。「鉄板フレンチ」ともいわれる料理は、16年もフランスで修業し、本場でミシュランを取得した気鋭の料理長が腕を振るっています。そして、朝食は老舗料亭「山荘 京大和」が提供しています。手の込んだ小鉢料理も、皿料理も、またひとりひとりの目の前で炊き上げるご飯も、味噌汁も、完璧。とてもおいしく品格のある和朝食でした!
レストラン「八坂」とバー「琥珀」を結ぶパティオから見た感動の夕陽。photo:Kyoko Sekine
シグネチャーレストラン「八坂」のエントランス。京都を中心に全国から取り寄せた旬の食材で作る、革新的な鉄板焼きが好評。photo:Park Hyatt Kyoto
京都府京都市東山区高台寺桝屋町360
tel:075-531-1234
客室数:全70室(スイート9室含む)
料金:要問い合わせ
施設:レストラン「八坂」、 ビストロ「KYOTO BISTRO」、ラウンジスペース「ザ リビングルーム」、バー「琥珀」、ウェルネスセンター(スパ、フィットネス、バスハウス)、ボールルームほか
www.parkhyattkyoto.jp
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Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com