名前に惹かれて泊まったら、どれも実力派だったホテル3選!

文/せきねきょうこ

春が速足でやってきました。桜も咲き誇り、誰もが旅に出たくなるこの頃、惹かれる名前のホテルに出逢いました。これらのホテル、実際はどう?心配をよそに、実際のホテルはいずれも充実したホテルばかりで、嬉しい悲鳴を挙げました!

GOOD NATURE HOTEL KYOTO

人にも自然にも優しいホテルは、いまどきの洒落た実力派!

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広々としたロビーに隣接する吹き抜けのラウンジは、植栽のグリーンが瑞々しい雰囲気で開放感たっぷり。

京都の街の好立地、四条河原町の便利なロケーションに、環境に優しいホテルとして“人にも、自然にも、優しいホテル”が誕生しました。昔の環境型ホテルとは大きく異なり、楽しみながら、知らず知らずのうちに環境保護に一役買えるような「GOOD NATURE HOTEL KYOTO(グッドネイチャーホテルキョウト)」です。

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エントランスロビーは4階。ウッディなスペースには、環境や健康に配慮したWELL認証獲得ホテルらしさが随所に。

ホテルは複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」内の4~9 階を占めています。WELL認証とLEED認証を取得し“トータルライフスタイル”をうたうこのビル。心と体に活力をチャージする「トータル・リジュビネーション・スポット」や、安心・安全を貫く「KITCHEN」、ワインや日本酒のテイスティングがリーズナブルな料金で試せるコーナー、そしてナチュラル食品を売るマーケットなどが揃います。世の中の新しい事象や提案を見逃さず、身体にも、環境にも優しいセレクションにあふれているのです。京都らしさは、古くから京都の伝統としてある自然を敬う習慣や、その自然を生活に採り入れてきた先人たちの智慧を生かし、健康的なライフスタイルを提案する店舗が揃っていることにあります。

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1階にある「GOOD NATURE MARKET」には安全で新鮮、美味しいものが揃う。五感で旬を味わう「KITCHEN」もこの一角に。

ホテルはその施設の館内に、2020年12月9日に開業しました。客室数は141室。環境型ホテルの世界的な流れでもありますが、ここでも室内のアメニティポリシーにより、歯ブラシ、ヘアブラシ、シェーバーなどは用意されていません。自分で持ち合わせていない人には、リクエスト・ベースでホテルが用意するのです。また、天然素材にこだわる室内も館内も、リニューアルを繰り返すのではなく、「年を重ね、使うごとに味わい深くなる“経年優化”(通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗)が基本」というポリシーを掲げています。

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こだわりは天然素材と経年優化の思想。写真は「東山テラススィート」(68㎡)。広いテラスから東山の情景を望む、自然光の入る明るい部屋。

もうひとつ画期的なことは、レストランのクオリティです。館内の1階~4階には、話題のレストランやバー、ナチュラルデリ、そしてなど世界が憧れる“プレミアムガストロノミーフロア”が揃っています。ガストロノミー「CAINOYA(カイノヤ)」、「VELROSIER(ベルロオジエ)」、「TAKAYAMA(タカヤマ)」の 3 店舗 が 2020 年 10 月 9 日に発売の「ミシュランガイド京都・大阪+岡山 2021」において、「そのカテゴリー で特に美味しい料理」で“一つ星”を獲得。ホテル自身も“特に快適な3パビリオン”として同紙に掲載されています。

GOOD NATURE HOTEL
https://goodnaturehotel.jp/

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SORANO HOTEL

素敵なホテル名の、本格派ウェルビーイングホテル。

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フランス人デザイナー自慢のロビー。左に進むとレストラン。自然色に絞り、環境や健康の配慮されたコンセプトが伝わる空間。

 

もう1年以上も世界中で続くコロナ禍において、誰もが健康のありがたさを心から感じ、私達はますます健康志向になっています。そんな中、新しい旅の提案“ウェルビーイング・ショートトリップ”を打ち出したのが東京、立川の「SORNO HOTEL(ソラノホテル)」でした。ホテル名も個性的ですが、そのコンセプトも知っているようで知らない人が多いのではないでしょうか。ここではホテル名に惹かれ、早速立川を目指した筆者が、ホテルの本気度をひも解きます。

都心の新宿から中央線でわずか30分。開発の進む駅周辺から少し離れた場所に、“空と大地と人がつながる、ウェルビーイングタウン”とうたう再開発の新街区「GREEN SPRINGS」が誕生しました。ホテルはその一部として中心的な役割をしています。オープンは2020年6月8日、周辺に高いビルもなく、道路を挟んで隣には広大な国営昭和記念公園が広がります。新街区には、いくつものレストランやカフェ、コンサートホール、ブティック、案内所、美術館、オフィスなどが登場。近郊の人々も遊びに、食事に、買い物に、そしてホテルでの会食にと、宿泊客とはまた別に、このスタイリッシュなコンセプトを打ち出すホテルの開業を待ち望んでいた様子です。

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アースカラーが上品な落ち着きの客室。国営昭和記念公園を見下ろす「スカイキング パークビュー」(52㎡)は和・洋4タイプのある基本の客室のひとつ。

さて、“ウェルビーイング”とは「肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」(日本WHO協会)を言います。「SORANO HOTEL」では、いまも、未来も、人がこうありたいと願う“心にも身体にも健やかであるライフスタイル”を提案しているのです。客室はたったの81室。最小の部屋でも52㎡もあり、贅沢な高級感とナチュラル志向の優しい客室は、充分な空間が満喫できるのです。

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「DAICHINO RESTAURANT」人気メニュー、シグナチャーサラダ「大地のサラダ」。“適地適作”を主旨に、近隣生産者から仕入れた安全な新鮮野菜を30種以上詰めこむ、宝石箱のようなサラダ。

また、ホテル内のレストラン「DAICHINO RESTAURANT」は、健康に優しい料理をコンセプトに提供。開業して以来大人気の「大地のサラダ」は、いまもなお、人気を保っています。さらに朝食は、伝統に基づいてウェルビーイング活性御膳が2種類。「晴れ(ハレ)の朝食」(Well-being Slow Breakfast)と、一汁三菜のシンプルな健康食「褻(ケ)の朝食」(Well-being Light Breakfast)を提案するなど、個性と実力を備えています。

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郊外とはいえ都内でリゾート感覚を体験できる快適な施設「SORANO SPA(ソラノスパ)」のハイライト、インフィニティプール60m。隣接して館内にインフィニティラウンジが。10階には温浴施設、ナノミストサウナ、ジムスタジオも。

“ウェルビーイング”とっておきの施設は、館内10~11階にある「SORANO SPA」にありました。ルーフトップに造られた美しいインフィニティプールは、長さがなんと60m。東京で、山並みに沈む夕陽を見ながら入れるプールなんて……感激です。他にも温浴施設のインドアスパ、ジャクジー、ナノミストサウナ、ジムスタジオなどを備え、特にジムスタジオでは、ひとり一人に合うコンディショニングを、本格的なインストラクターが指導してくれます。自身の身体に向き合い、身体と心のリラクゼーションを叶えられる、実力派のホテルでした。

SORANO HOTEL
https://soranohotel.com/

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KAMOME SLOW HOTEL

大海原とカモメが脳裏に浮かぶ…。別次元のリラックスを実現。

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海辺に沿って広大な敷地の中に建つスモールブティックホテル。手前に泊まる可愛い車“トゥクトゥク”で、敷地内のイタリアンレストランにも送迎してくれる。

“何もしないことを楽しむ旅”とは、優しいようで、意外と難しいものです。でも「KAMOME SLOW HOTEL(カモメスローホテル)」は、人生の休息を楽しむという新しい旅の形を提案しています。2020年7月23日、瀬戸内海の淡路島にオープンしたこのホテル。広い海を前に、空を伸びやかに飛翔するカモメのように、自由にスローな時を楽しむ「リゾート ブティック ホテル」をテーマに掲げています。

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客室に居ながら海との一体感が味わえる。むしろ客船に乗っているような感覚にも。

ホームページには、海際に建ち、毎日表情を変える海を目の前に、ただのんびりと景色や自然の音を感じながら自分を見つめ直す優しい時間を、と美しいイメージで訴えかけます。オーシャンフロントに立つホテル棟のどの部屋からも、見渡せるのは大海原。カモメが飛んできても仲良くなれそうな距離です。大空と海、そして潮風に包まれて過ごす“何もしない休暇”に、パソコンや時計は必要ないでしょう。それは、日常を休む“人生の休暇”なのですから。

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究極の“隠れ家ホテル”の室内。インテリアの色遣いは、それぞれ共に1日に変化を見せる海の色がモチーフ。

ホテルの客室は全16室、全室にテレビはありません。聞こえるのは自然の音ばかりですが、こんな自然にいると、人は少しずつ五感が研ぎ澄まされていくんですね。きっと、古の時代から人に備わっていた鋭い感覚が呼び戻されるのかもしれません。だからすべてを自然に任せ、目覚める時も時間は自由。朝食も好きな場所で、お腹が空いたらおやつをいただき、海辺の散策もいいでしょう。別棟には、ミライ型ハウスの1棟貸し「サステナブル コテージ」が造られ、こちらでも省エネ、省CO2など、サステナブル・ライフが体感できます。

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テラスのある客室でのんびりと朝食。好天の日には青空の元、海辺にバスケットを持ち込んで朝食を食べるのもお薦め。

生産者をリスペクトするという食事は地産地消。近くには「GARB COSTA ORANGE(ガーブ コスタ オレンジ)」という同系列のイタリアンレストランがあり、夕陽を見ながら1日を終えるなんて夢のようです。ここではミシュランガイドに掲載されたイタリアン「イル・チプレッソ」の高島シェフを迎え、淡路島の食材をたっぷりと楽しめるメニューでもてなしてくれます。淡路島でしかできないスペシャリテを、是非、お試しあれ! いま、ホテルでは地方自治体と組んで淡路島の未来を目指すプロジェクトも進行中。淡路島の近い将来が賑わい活性化するのが楽しみです。

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まるで客船のキャビンで食べるプライベートな食事のよう。カモメが食事を狙いにやってくる?

KAMOME SLOW HOTEL
https://kamome-slow-hotel.jp/

※無断転載禁止

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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