圧倒的な絶景の中に佇むホテル、旅館へ! ~マウンテンリゾート編~

文/せきねきょうこ

写真を見ながら思い切り深呼吸をしてしまいそうなほど美しい情景に、圧倒的なインパクトで佇むホテルの1枚の写真。そのオーラの強さに惹かれて旅に出ました。考えれば、私の旅はいつでもホテル目的ですが、こんなに心が急いたのも久しぶりでした。

星野リゾート 界 霧島

日本神話の故郷を天空から観る、絶景温泉旅館。

5:【界 霧島】湯浴み小屋.jpg

野原にぽつんと立つ湯浴み小屋。露天風呂と、源泉かけ流しの「あつ湯」と、ゆったりと浸かる寛ぎの「ぬる湯」の内風呂がある。

はるか昔、この世に神様がいたなら、この地を選んで降り立ったとしても不思議ではない……。実際にその地に降り立ってみたら、神話と実話の境界線が見えないほど神秘的でした。美しさを極めた壮大な風景が広がる霧島連山の霊峰、高千穂の峰。大自然の原風景をいまに残すここ霧島の山間部には、天孫降臨の伝説が残ります。その一角のはるか桜島を遠望する小高い峰に、開業2021年1月29日の温泉旅館「星野リゾート 界 霧島」が佇んでいます。

4:【界 霧島】ご当地楽「天孫降臨ENBU」.jpg

毎夜、スタッフが演じるのは「霧島に降り立った天孫降臨のものがたり」。日本建国神話が残るゆかりの地に建つ「界 霧島」ならではの演舞。

霧島は日本建国神話のはじまりと言われ、「界 霧島」では食事の後、「界」のすべてで開催されている”ご当地楽”として、天孫降臨の物語を表現したスタッフの演舞を披露してくれます。躍動感のあるこの演舞は、毎夜、プロや専門家から指導を受けた宿のスタッフが演じ「アマテラスオオミカミから命を受けた孫神ニニギノミコトが高天原から地上に降り立ち、この国を豊かに、平和に納められていく……」という伝承物語を披露しているのです。ホテル内には大太鼓の響きと鈴の音が響き渡り、夜の館内はこの迫力ある神話の世界一色と化すのです。

2:【界 霧島】客室リビング.jpg

「薩摩シラス大地の間・和室」(60㎡)から見る圧巻の情景。手前には霧島の野原が広がり、奥に桜島を望むパノラマ。

国立公園である高千穂の峰、その中腹に建つ「界 霧島」では、すべての客室から錦江湾に浮かぶ桜島を眺望でき、宿のコンセプトにも「桜島をはるかに見渡し、湯浴み小屋でうるおう宿」と掲げられるほどです。大浴場は館内ではなく、広大なすすき野原の真ん中に造られました。高台に建つ宿からススキ野原まではスロープカー(ミニ・ケーブルカーのような)で往来します。男女別に作られた大浴場には、内湯の他に絶景を楽しむ露天風呂が造られ、好天ならば、黄金の光を放つ息も止まりそうなほどの夕陽の絶景が眺められるのです。

1:【界 霧島】露天風呂3.jpg

スロープカーで野原に降り立ち、湯浴み小屋の露天風呂から神秘的な美しさを魅せる夕景を望む。左に遠望するのは錦江湾に浮かぶ霧島。

霧島神宮に隣接する「星野リゾート 界 霧島」は霧島神宮温泉郷にあります。かつて霧島神宮参拝客のために作られたのが発祥と言われる温泉郷であり、そのお湯は長い歴史を経たいまもなお、こんこんと湧き出ています。「薩摩シラス大地の間」と名付けた”ご当地部屋”にも露天風呂付きの部屋があり、客室の風呂からは、錦江湾も桜島も見わたすことができるのです。宿では全49室がご当地部屋として造られ、内装には鹿児島県特有の台地であるシラス(火山噴火物)が壁にも使われています。シラスは吸湿性に富み、消臭と空気の浄化作用もある物質。その他にも薩摩和紙、大島紬、薩摩錫器

3:【界 霧島】特別会席_黒豚しゃぶしゃぶ(追いがつお).jpg

畜産が盛んな鹿児島の名産、高級黒豚のしゃぶしゃぶ。削りたての鰹節と一緒にいただく絶品のコラボレーション。

楽しみは温泉だけではありませんでした。豊富な食材の宝庫である鹿児島ではシラス台地ならではの農産物や、豊富な海産物も供される待ち遠しい夕食時となりました。旨味が多くアミノ酸を多く含む特産黒豚は、削りたての香り高い鰹節とその出汁で「黒豚しゃぶしゃぶ会席」としていただく絶品の鍋が登場します。そして「ご当地朝食」は「さつま汁」という汁物が振舞われ、薩摩地鶏肉や数々の野菜など”具だくさん”の郷土食だと知りました。地方では、豊かな食材による豊かな食文化が、はるか昔から継承されていました。

星野リゾート 界 霧島
鹿児島県霧島市霧島田口字霧島山2583-21
tel:0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/kirishima/

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THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田

美食家たちの”理想郷”、森のグラン・オーベルジュ開業!

1:外観_DAY2.jpg

リゾートのコンセプトは「グラン・オーベルジュ」。浅間山を借景に雄大な原始の森に包まれるリゾートは、見通しのいい展望が特徴的。

次々にリゾートを開業している「HIRAMATSU HOTELS」が、軽井沢・御代田のダイナミックなロケーションの地に、最高級ブティック・リゾートをお披露目しました。勇ましくも美しい姿を見せる活火山、浅間山の麓に広がる北佐久郡御代田町がその舞台です。山の中腹から麓に広がる高原地帯の6万㎡以上を敷地とし、緑深い森に包まれ佇むリゾートは、”森のグラン・オーベルジュ”として癒しのリゾートと美食の理想郷としてスタートを切りました。

4:TAKIBIラウンジ.jpg

広い庭を利用して自然との一体感を楽しむ食空間「焚火ラウンジ」。今後はレストランとは異なるカジュアル思考の食体験も提案予定。

注目は、「食と人と土地の持つ価値がマリアージュ」することで生まれる新しい形のオーベルジュ”グラン・オーベルジュ”をテーマにしていること。さらに、より的確なパーソナル・サービスを提供しようと、「ひらまつコンシエルジュ」を創設。旅の始まりから滞在、食、楽しみ、旅の終わりまでをパーソナルに演出するため、ゲストと共に作り上げていく滞在を目指しています。

3:本館_御代田スイート(404).jpg

本館「御代田スィート」のひとつ。すべてに半露天風呂のあるバスルームと広めのテラスが設置されている。

それにしてもこの絶景には息を呑みました。全室が100㎡以上という贅沢な客室は、全37室(うち、ヴィラが9棟)。いずれの部屋からも見える景色は解放感にあふれ、テラスに出て冷たい空気に包まれながら感じる自然との一体感は最高でした。さらに、ほとんどのゲストが期待する「ひらまつ」の真骨頂は食事にあります。さて、ここの食事は? フルコースを堪能するメインダイニング「Le Grand Lys」と、アラカルトでよりカジュアルに楽しむオールデイ・ダイニング「La Lumière Claire」が揃い、連泊しても食事が選択できるようバリエーションも整っています。

5:オールデイダイニング_Dinner アラカルト_肉.jpg

本館最上階「オールデイ・ダイニング」で供されるアラカルトメニューのディナー「肉料理」のひとつ、付け合わせは旬の野菜類。

この御代田では、「HIRAMATSU HOTELS」が展開する他のリゾートとは異なり、初めて尽くしが多くありました。”グラン”を名乗るオーベルジュに始まり、ドッグランを設けたヴィラ棟「ドッグヴィラスィート」の設置、すべての客室に南向きのテラスを付けていること、そしてすべての客室に半露天温泉風呂が設置されていることも加えましょう。

6:朝食_1.jpg

盛りだくさんの新鮮野菜スープ、フレッシュジュース、美味しいパン、薫り高いコーヒーなど大満足の朝食、元気な朝の始まり。

もうひとつ、敷地の広大さから贅沢な離れの「ANNEX」の存在もご紹介しましょう。1階にはゆったりとしたライブラリカフェが造られ、2階はウェルネスサロンに。そこでは筋膜リリースや水素吸入、サンセットフォレストヨガなど、贅沢な環境でボディケアのプログラムが提供されます。滞在してみて感じたことは、これまでの「ひらまつ」とはどこか違う、ダイナミズムや解放感、何かに解き放たれたような自由さが漂っていました。ひらまつブランドのリゾート作りが大きく成長を遂げ始めた、その分水嶺に立ったのかもしれません。

THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
長野県北佐久郡御代田町大字塩野375番地723
tel:0267-31-5680
www.hiramatsuhotels.com/miyota

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ニセコ樺山の里 楽 水山

1/羊蹄山_夏.jpg

見るだけで爽快、雄大なニセコ地方のシンボル的存在、成層火山の羊蹄山(標高1898m)の裾野に宿が佇む。山は、後方羊蹄山(しりべしやま)として日本百名山に選定されている。

ここ数年のニセコの町を思い起こすと、まるでどこか外国の国際的なスキーリゾートにでも行ったような趣が浮かんできます。国内のリゾート地でよく見かけるリゾートマンションやホテルとは趣を変え、何か別の感性を感じる大型リゾートマンションが立ち並び、店やレストランなどの看板も英語表記が多くみられます。オーストラリアを始め、中国やヨーロッパ各地のスキーヤーが、いかに世界トップクラスの上質さを誇るニセコのパウダースノーを目的に往来し、彼らの独特な感性で”スキーリゾート”を作り上げたのかがわかります。

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ラウンジから見える景色は、春夏秋冬、常に羊蹄山と共に。

そんな華やかなリゾートの中心からは少し車で移動した隣町、倶知安(くっちゃん)町に「ニセコ樺山の里 楽 水山」という和のリゾートがあります。むしろリゾートのある倶知安町樺山の里からの絶景は、どこにも負けないダイナミックな北海道を感じるのではないでしょうか。蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山と、日本海に面して連なるニセコ連山の主峰、ニセコアンヌプリに囲まれ、清々しい大地が広がります。また清流、尻別川の清らかな流れが自然の豊かさを象徴しています。こうした美しい大自然の中に「ニセコ樺山の里 楽 水山」が佇んでいます。開業は2020年12月1日でした。広大な敷地に、客室はわずか18室。いずれの部屋も75㎡以上の余裕の広さに造られ、どの客室からも羊蹄山が一望でき、さらに全室に源泉掛け流しの温泉が設えてある贅沢さです。山のリゾートならではの落ち着いた安らぎ感に包まれ、連泊するに相応しい上質な時間が、ゆったりと過ぎていきます。

3/客室から望む羊蹄山.jpg

客室からの景色。どの客室にも源泉掛け流しの温泉風呂を設置。客室は「山の間」、「水の間」がある。

リゾートでのアクティビティは、もっぱら自然に遊んでもらうこと。近くを流れる尻別川は、蝦夷富士の湧水が流れる大河として知られており、アウトドアのアクティビティスポットとしてももってこいの場所です。この川ではインストラクターと共に、夏のラフティングを楽しむこともできます。そして冬は「日本のサンモリッツ」とも言われる倶知安町では、パウダースノーのスキーの聖地として賑わいます。

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誰もが知る北海道の夏野菜の一部。トウモロコシや春キャベツも甘くておいしい大地の贈り物。

「楽 水山」は、こうして北海道を満喫できるリゾートを構成しています。四季の織り成す自然の情緒はもちろんのこと、豊饒な大地が育む農産物や、北の海から水揚げされる豊かな海産物が旬の食事となってテーブルを飾ります。料理人は、後志(しりべし)を中心に地産地消の旬の恵みを厳選し、確かな技術と手を抜かない心意気で、北海道ならではの美食を提供してくれています。

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カラフルな秋冬の根菜。四季を通じて北海道ならではの食材や、珍しい野菜が生産者から直送される。

美辞麗句を幾つも並べてリゾートを称賛するのではなく、一度、この宿に滞在してみるといいでしょう。山の空気に包まれて元気をもらい、美食に五感を震わせ、温泉にゆったりと癒される…、時計の要らない贅沢な休暇が待っています。

6/冬の魚介.jpg

北海道の冬は魚介類好きのグルメ達にはたまらない。その豊富さもクオリティも日本一。雪の倶知安ではスキーヤーが中心の観光地だが、夏の北海道はアクティビティ豊富で理想的なリゾート地と化す。

ニセコ樺山の里 楽 水山
北海道虻田郡倶知安町字樺山119-1
tel0136-22-0520
www.raku-suisan.com

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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